Vol.32 相続支援コンサルタント 2019.09.19

インタビュー
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★この企画では、読者のみなさんに代わって日本の資格・検定編集部が資格・検定試験の運営団体にインタビューを行い、その魅力をお伝えしていきます!
Vol.32では、「相続支援コンサルタント」を主催する公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会を取材しました。

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2010年の流行語大賞ノミネートから8年、「終活」ブームはいまだ衰えることを知りません。この流行と併せて高齢者世代の増加や大規模な災害をきっかけに、誰もが自分の亡き後を考えたことがあるのではないでしょうか。

そのような状況で関心を集めているのが遺産相続の問題です。小説やドラマの影響で「相続問題をめぐって争いが起きるのはお金持ちだけ」というイメージが定着しているかもしれませんが、実際は相続する財産が少なければ少ないほど、残された人々の間で争いが大きくなるともいわれています。
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▲データから見る相続
中でも、不動産に関する相続にはきちんとした知識が必要なことや、国内の相続財産の約半数が不動産であることなどから、不動産相続に特化したコンサルティングの需要は伸び続けています。 

そこで今回は、現在の業務や資格にプラスすることで不動産相続のプロフェッショナルになれる「相続支援コンサルタント」をご紹介します。その業務内容や、資格取得までの学習方法、Wライセンスとして相性の良い資格・検定などについて公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会に伺いました。 

Q1 相続支援コンサルタントとはどのような資格ですか?

相続支援コンサルタントは主に不動産の相続について、アドバイスや提案を行うスペシャリストです。

もともとは不動産のオーナーと会話をしたり、マネープランなどの人生設計を共有したりする機会が多い賃貸不動産管理業※に従事する方を対象に、不動産のプロとして相続に関する相談にも答えられるよう創設されました。現在では不動産業界だけではなく、金融業界、保険業界にまで資格取得者の輪が広がっています。
※賃貸不動産管理業:不動産のオーナーに代わって不動産を住宅や施設として管理、貸し出し、運用を行うこと

Q2 相続支援コンサルタントの業務について教えてください。

相続支援コンサルタントとしての主な業務は、不動産オーナーから相続に関する相談を受け、それに対し適切な提案をすることです。

不動産の相続は、建物をそのままの状態で複数人に分けることができない(例1)、不動産を相続しても相続税を納められるだけの資金がない(例2)残された人が現在住んでいる家を追われる場合がある(例3)など扱いが難しく、コンサルティングの需要が大きい分野だといわれています。
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そこで、相続支援コンサルタントは不動産オーナーからの「今持っている不動産を子どもに譲りたい」「自分が亡くなったら、今運用している賃貸住宅を兄弟姉妹で分け合ってほしい」といった相談や、これから不動産を購入しようとする方の「自分が亡くなった際に3人に分割相続できるように不動産を購入したい」といった相談を受け付けることで、相続に対する不安を円満に解消できるよう主軸となってサポートするのです。

ただし、コンサルティングを行う分野によっては法律・税務・登記などの専門知識が必要とされるため、弁護士や税理士、土地家屋調査士などの専門家に協力を求めます。相続支援コンサルタントは各分野の専門家と連携しながら不動産相続の相談を受ける身近な窓口として活躍しています。

Q3 相続支援コンサルタントを取得するまでの流れを教えてください。

近年では、相続に関するリテラシーが高いオーナーも多く、コンサルティングにはますます深い知識が求められています。そのため知識をしっかりと身に付けてから資格を取得してほしいという思いで、認定試験の前に講習を受講することを必須条件としています。講習・認定試験の両方をクリアしてようやく資格取得(認定登録手続き・認定登録)となります。

■資格取得までの流れ

1. 講習受講(9月~翌4月の8カ月間)

講座は月に1回4時間×全8回で、このうち4回以上の出席で修了できます。講習はテキストの内容を中心に、遺産分割、相続税・贈与税、登記、測量、コンサルティングの実例など、相続全般から不動産相続にフォーカスした知識で幅広く構成されています。
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▲相続支援コンサルタント講座の模様
また、開講する地域によっては山や畑が多かったり、軍用地が多かったりと相続する不動産に特性があるため、地域に根付いた講師が担当することがほとんどです。受講者同士の交流や懇親会を開催して、横のつながりを資格取得後の業務に生かしているという活用例も耳にします。
講習の受講期間中は、該当部分のテキストを読んでから各講座に臨むと良いでしょう。耳慣れない言葉や法律も、一度テキストに目を通すだけで内容の理解度が全く違います。 
各講座後には講師に質問をしたり、配布される演習問題を解いたりして理解度をチェックしてください。 

2. 認定試験(5月~6月)

講座を修了した後に受験できます。4肢択一試験で、合格率は8割と高く、各講座をしっかりと受講すれば難しくないでしょう。 
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「相続支援コンサルタント」講習 演習問題 問題3より
※本問題の著作権は、公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会に帰属します。また、本問題の無断転載、無断営利利用を厳禁します。本問題の内容や解答等に関するお問い合わせは、受け付けておりませんので、ご了承ください。 
認定試験に臨む際にはテキストをよく読んで苦手な点を無くすのがベストです。特にテキストの6章「相続税」、7章「賃貸不動産をとりまく税金」はこの資格の肝となります。
四則演算レベルですが計算問題も出題されるため、公式の使い方だけでなく考え方も確認しておくと応用がきくでしょう。 

3. 認定登録(9月)

相続支援コンサルタントの資格を取得!
資格取得後も法改正や世の中の流れに合わせて学習を怠ることはできません。3年ごとの登録更新には年に1回以上のセミナー受講や自主的な知識のブラッシュアップが必要です。
協会からも、改定版テキストを無料で配布したり、相続事例に関するメルマガを送付したりと情報の発信を小まめに行っています。他にも、業務を行う上で疑問などがあれば、協会を通じて税理士資格を持つ方へ質問や相談をすることもできるなど、サポートの体制を整えています。

ぜひこのような制度を活用しながら、相続支援コンサルタントとしての知識やスキルを磨いてください。 
資格取得の動機はさまざまですが、最も多いのが「オーナーからの相続にまつわる不安や疑問に答えられず、歯がゆい思いをした経験があるから」というものです。不動産業界、特に賃貸不動産管理の業界ではこのような経験をした方が多いようで、その歯がゆさを原動力にして資格取得に励んだという声がよく聞かれています。
資格取得者の声 ~資格取得のきっかけと取得後の業務~
例えば、「うちには子供が3人いる。このマンションを誰に渡そうかと考えているが、管理をしている方の見解を聞きたい」と言われると、資格取得前は全く知識がなかったため、「そうですねぇ」としか言えず忸怩(じくじ)たる思いでした。その後、資格を取得して知識を深めたことによって、オーナー様に踏み込んだご提案ができるようになりました。例えば、このままではトラブルになる、通常に分割できそうにない場合などは小手先の相続対策では功を奏さないことが多いので、しっかりと個別相談を行い、きめこまやかなコンサルティングをするようにしています。
賃貸不動産管理会社 売買営業担当/男性(一般を取得)

『相続支援で賃貸管理業を変える 時代の先駆者「相続支援コンサルタント」が語る資産管理の実例 総集編』より(抜粋・一部改変)
また、相続支援コンサルタントの資格取得後に、「上級相続支援コンサルタント」を取得することも可能です。「上級相続支援コンサルタント」の資格取得にはグループで課題を行ったり、プレゼンテーションの練習をしたりと知識のアウトプットに重きを置いた講習・認定試験を用意しています。資格取得後は本来の業務や不動産相続に関するコンサルティングと並行して、社内や不動産オーナーに向けた相続セミナーの講師として活躍する方が多いです。
資格取得者の声 ~上級取得・セミナー開催で不動産オーナーからの親近感UP~
オーナー様に提供できるサービスの中でも、相続セミナーの位置づけは大きいです。セミナー講師としてオーナー様に相対する中で、これまでとは違う親近感を持って下さる方もいます。相続相談がきっかけで不動産売買などの実績も徐々に増え、お互い良い成果にもつながっていると感じています。
賃貸不動産管理会社 資産コンサルティング担当/女性(上級を取得)

『相続支援で賃貸管理業を変える 時代の先駆者「相続支援コンサルタント」が語る資産管理の実例 総集編』より(抜粋・一部改変)

Q4 相続支援コンサルタントとのWライセンスにおススメの資格とその理由を教えてください。

(1)2015年の税制改正で基礎控除が下がり、相続税の申告対象者が従来の4%から10%に増加したことや(2)2018年に約40年ぶりの相続法改正が行われたことを受けて、不動産相続に関するアドバイスを今の業務にプラスしたいと考える方が増加しています。相続支援コンサルタントと相性の良い資格・検定は多く、Wライセンスとして取得すれば業務の幅が広がるはずです。ご自身の持っている資格・検定と照らし合わせてチェックしてください。

宅地建物取引士(宅建士)相続支援コンサルタント

相続についての計算問題や借地借家法など、出題範囲の重複する部分があるためWライセンスとして取得しやすいといわれています。

企業によっては不動産のオーナーと連携して管理を行うところから不動産の貸し出し・売買までを一括で行う場合があるため、これら2つの資格を併せ持てば、不動産業務の流れを把握しながら深いコンサルティングができます。

税理士相続支援コンサルタント

税理士業務では相続税にまつわる相談を扱う機会も多くあります。しかし、税理士試験において「相続税法」は選択科目として用意されているのみで、全員が必ず学習するものではありません。

世の中の流れを受けて「相続税法を選択して資格を取得したが、さらに詳しくなりたい」または「相続税法を選択せずに資格を取得したが、相続に関する相談の需要増加に応えたい」と考える方は、相続支援コンサルタントの資格取得で改めて相続について学ぶことができます。 

ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP)相続支援コンサルタント

人生のマネープランを総合的に提案するFPと相続支援コンサルタントの相性は抜群といえます。高齢化社会において終活に注目が集まる今こそ、相続支援コンサルタントの資格を取得してはいかがでしょうか。

賃貸不動産経営管理士相続支援コンサルタント

相続支援コンサルタントがもともと賃貸不動産管理業者を対象としていることから、賃貸不動産経営管理士とのWライセンスは資格の取得も業務での活用もしやすく、一石二鳥です。これらの資格を併せ持てば、賃貸不動産運用に長期的な目線を加えて企画・提案を行うことができるでしょう。

測量士・土地家屋調査士相続支援コンサルタント

相続支援コンサルタント試験の出題範囲に測量や登記の内容が含まれることに加えて、資格の取得で「相続に強い」という印象付けができるため人気が高まっているようです。

Q5 今後の展望について教えてください。

相続に関する問題の増加に伴って、相続支援コンサルタントの需要もこれからますます伸びることが予想されます。もちろん、それに対応するべく資格所有者数を増やすことも協会の役割だと考えています。

しかし、同時に大切なのは資格取得者に深い知識を身に付けてもらい、相談者の方が安心して心を開ける環境を作ることです。相続問題は理屈や理論だけで解決できる問題ではありません。

「自分の亡き後に、残された家族が幸せに暮らしてほしい」「家族でなくても自分を大切にしてくれた人に恩返しがしたい」など、不動産オーナーのデリケートな問題を明かしていただく分、相続支援コンサルタントはしっかりとその心情を汲み、最善の提案をしなくてはなりません。

協会では今後も講習やセミナー、情報提供の拡充を考えていますので、さらに相続支援コンサルタントの知識を生かして活躍していただければと思います。

いかがでしたか。

「不動産という大きな財産を、誰に・どのように相続するのか」をオーナーと共に考えることは、その人の人生で培ってきたものや、大切にしたいと思う人々を共に振り返ることでもあり、とてもやりがいのある業務です。
加えて、2018年には40年ぶりに相続法の大きな改正があり、残される人のために何ができるのかを改めて考える機運が全社会的に高まっています。
今こそぜひ、相続支援コンサルタントの資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。