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今注目の「CBT試験」って?コロナショックで変わる資格の取り方

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今注目の「CBT試験」って?コロナショックで変わる資格の取り方
「CBT」と呼ばれる試験方式をみなさんはご存知ですか?

ざっくり言うと、テストセンターに行ってコンピュータで受ける試験のことです。従来の筆記試験に代わる新しい試験方式として普及しつつあるのですが、昨今の台風や地震の影響もあって、災害に強いCBTで試験を実施する資格・検定がここ数年で増加傾向にあります。

災害に加えて新型コロナウイルスの感染拡大も受け、今後もさらなる普及が予想されるCBT。なぜCBTが選ばれているのか?どのようなメリットがあるのか?などを、この記事では詳しく解説していきます!
CBTの受験方法についてはこちらの記事もチェック!

■ そもそもCBTとは?テストセンターの様子とは?

CBTとは「Computer Based Testing(コンピュータ ベースド テスティング)」の略称で、コンピュータを使った試験方式のことです。もともとは海外発祥の試験モデルですが、1990年代から日本でも導入されるようになりました。

気になる解答方法ですが、問題用紙やマークシートを用いる筆記試験とは異なり、受験者はコンピュータに表示される問題に対し、選択問題はマウス、記述問題はキーボード、スピーキング問題がある場合はマイクに音声を吹き込むことで解答していきます。

※CBTを受験する座席のイメージ。リスニングやスピーキングがある場合はヘッドセットを接続します。(キーボード左下にあるのは漢検CBT用のタブレット端末)


なお、一口に”コンピュータを使った試験”と言っても「テストセンター型」と「自宅型」に大きく分類できますが、CBTという用語は”テストセンター※に設置されているコンピュータを使った試験”を意味する場合に使い、自宅でWeb試験を行う場合は、WBT(Web Based Testing)やIBT(Internet Based Testing)という用語を使います。
※CBTを受験するための試験会場のこと。テスト事業者が運営する専用の施設やパソコンスクールが主な会場となります。

そのため、自宅で受験するタイプのコンピュータ試験はCBTに含まないのが一般的です。

※テストセンター内のイメージ。会場には試験監督がおり、受験者は本人確認を行った上で、会場内に設置されているコンピュータを使って受験します。


現在、日本では約150団体で実施されている資格・検定がCBTで試験を行っているほか、SPIなどの採用試験や社内試験といった試験でもCBTが活用されています。

CBTとIBTの違いはこちらの記事で解説!

■ CBTが増えている背景は何?どんなメリットがあるの?

試験といえば筆記試験が主流ですが、なぜこんなにもCBTでの試験が増えているのでしょうか?その背景には、主に以下のような理由が挙げられます。

① 受験者の利便性を上げるため
② 災害があった場合の対応が迅速かつ容易なため
③ 筆記試験では実現できない、多様な問題を出題・解答できるため
④ 問題漏えいやカンニングなどのリスクを回避し、セキュリティを強化するため
⑤ 国が公益団体や委託先に対して、業務および文書の電子化を推進しているため

CBTになることによって具体的にどのようなメリットがあるのか、受験者側・主催者側のメリットを交えながら詳しく見ていきましょう! 

① 受験者の利便性を上げるため

筆記試験の場合、試験日や試験会場がどうしても限定されてしまうので、試験日に外せない予定が入っている方や試験会場が遠方にしかない方は、受験を断念してしまうケースも少なくありません。主催者としても、受験を希望している方にはできるだけ受験環境を整えてあげたいという思いがありました。

➡ CBTではこんなメリットが!
CBTは試験日時や試験会場が指定されるわけではなく、受験者自身が選ぶため受験機会が格段に増えます。会場は全国各地にあり、試験も1年間を通してほぼ毎日受験することができる※ので、自宅や職場近くの会場で自分の好きなタイミングで受験できる点はCBTの最大のメリットと言えるでしょう。
※一部試験では受験期間が限定されるなどの例外があります。

主催者にとっても、受験希望者に平等な受験機会を提供できるようになる点は一番のメリットです。そのほか、筆記試験で必要な試験会場や試験監督・資材の手配などの業務がなくなるので、開催コストを抑えられるというメリットもあります。

◀テストセンターの会場例。「日本の資格・検定」を運営しているCBTソリューションズでは300会場以上をご用意しています。

② 災害があった場合の対応が迅速かつ容易なため

筆記試験の場合、自然災害で試験が延期・中止となったら受験者・主催者共に大きな影響を及ぼします。受験者にとってはその試験が自身のキャリアや今後の人生に重要だった場合の影響は計り知れませんし、主催者にとっても次回試験への振替準備や対応にはかなりの労力を要するので、災害がもたらすインパクトは双方にとって大きなものです。
台風や地震の多い日本では、災害に強い試験モデルが求められていました。

➡ CBTではこんなメリットが!
一方で、CBTの場合は試験日の数日前でも受験者自身で日時や会場の変更・キャンセルが簡単にできるので、台風の予報が出たとしても試験日を変更すれば安心です。
また、地震などで急遽受験ができなくなったとしても比較的短期間で振替受験が可能なため、勉強内容を忘れないうちに受験することができます。

主催者にとっては上記のようなCBTの柔軟性を活かし、災害が起こった際のリスクを軽減できる点はCBTの大きな魅力です。特に、昨今の災害を経験した主催者からは、”万が一のときに強いCBT”が評価されています。 

③ 筆記試験では実現できない、多様な問題を出題・解答できるため

筆記試験では文章や図表を使った問題がメインとなります。マークシートや記述式の試験であれば十分対応できますが、スピーキングが必要な語学試験や動画を用いた試験には限界がありました。

➡ CBTではこんなメリットが!
CBTでは文章や図表を使った問題はもちろん、動画を使った問題や音声を使った問題も出題できるため、試験の表現力の幅が格段に上がります。表現の幅が増えれば、その分新しい試験を実現できるようになるので、受験者は自分の能力を測る新しい指標を得ることができます。

主催者側も出題できる問題の幅が広がるので、新しい試験の創設・実施を検討できるようになります。さらに、CAT(Computer Adaptive Test)※と呼ばれる技術を用いれば、筆記試験よりも高い精度で受験者の能力を測定することもできるのです!

※受験者の正解・不正解に合わせて出題する問題の難易度が変わり、その受験者に最も適した問題を算出・出題することで、より少ない問題数でより正確に受験者の能力を計測できる試験モデル。適応型試験とも言います。

筆記試験ではできなかった問題形式や解答形式に対し、コンピュータの技術で解決できるようになったことも、CBTならではの良さの1つと言えます。 

④ 問題漏えいやカンニングなどのリスクを回避し、セキュリティを強化するため

筆記試験の場合、問題用紙や解答用紙の移動・取り扱いにはどうしても人の手が入ります。試験に必要なこれらの資材は主催者により事前に会場へ送付しないといけないため、関係者には問題が事前に確認できてしまう点や、受験後に回収した解答用紙を紛失してしまったりなんてトラブルの可能性も…。

また、受験者全員が同じ問題を解くので、悪意のある受験者が隣の人の解答をカンニングしてしまうといったリスクも考慮しなければなりません。

➡ CBTではこんなメリットが!
CBTであれば問題や解答は暗号化されてインターネット上で送受信されるため、セキュリティ的に安全です。カンニングに対しても、CBTは隣の受験者とパーテーションで仕切られているほか、受験者ごとに出題される問題も選択肢の順番も異なるので、カンニングのリスクはほとんどありません。
セキュリティの強化が求められる昨今では、セキュリティレベルの高いCBTが支持されています。

⑤ 国が公益団体や委託先に対して、業務および文書の電子化を推進しているため

2019年3月、2026年度をめどに公文書の管理を紙から電子化へ全面移行する方針が政府より出されました。試験業界においても同様の動きがあり、従来の紙を多く使う試験形式からコンピュータメインの試験方式に移行する主催者が少しずつ増えているようです。
日本経済新聞「公文書管理、全面電子化へ 政府 26年度メド」

➡ CBTではこんなメリットが!
CBTになることで採点作業も電子化されるため、受験者にとっては比較的短期間で結果が分かるメリットが生まれます。試験によっては受験直後にスコアや合否が分かるので、結果を待つ不安もなく、復習や次の勉強へすぐに進められるのは嬉しいですね。

また、電子化を進めている主催者にとっては、新しい試験方式として「CBT」という選択肢が真っ先に挙がるでしょう。CBTでは試験の申込~結果通知まで全てインターネットで完結するため、紙を使うことは基本的になく、業務の効率化にもつながります。


CBTが増えている要因は上記のほかにもありますが、受験者と主催者双方の利便性を上げるために、CBTという試験方式が注目・普及しつつあるのです。

*****

ちなみに、CBTにおけるデメリットですが、受験者側のデメリットはほとんどないといっても過言ではありません。唯一挙げられるのは「コンピュータに不慣れな方は、操作に戸惑うかもしれない」ということでしょうか。

コンピュータの操作といっても、受験者側の操作は簡単なマウス操作とキーボード入力だけですが、コンピュータ操作に慣れていない方は、CBTを受験する前に試験のサンプル動画をご覧いただくと不安を払拭できると思いますよ。

▲CBTソリューションズ社のCBT操作動画(イメージ)

また、主催者側のデメリットとしては、一斉受験ではないという特性上「問題数を一定以上準備しなければいけない」という点が挙げられます。
しかし、問題作成の点さえクリアにできるのであれば、時間のない現代ではCBTの方が断然受験者のニーズに応えることができる上、主催者にとってもリスクが低く、安定した試験を実施できるモデルだと思います。


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