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取得すべき不動産系資格。おススメの取得順も紹介!【はやしかく】

資格・検定まとめ

取得すべき不動産系資格。おススメの取得順も紹介!【はやしかく】

資格・検定のカテゴリーとして「IT」「法律」などに分けることがありますが、その際に具体的な業種名で1カテゴリーになるくらい、非常に多くの資格があるのが不動産関連。

その中で、何から取得しはじめ、どういう順番で取るのが良いのか。時間を無駄にしないためには気になるところですね。

そこで今回は、不動産系のおススメ資格・検定を4つ紹介すると共に、取得順(①→④)もお伝え致します。ぜひ、参考にしてみてください!

取得順①
賃貸不動産経営管理士


まず入門編として取得していただきたいのが、業務管理者として従事するのに必要な「賃貸不動産経営管理士」。

国土交通省令にて、令和3年4月に国家資格化が発表された、最も新しい不動産系の国家資格で、注目度が急上昇しています。

オーナーから委託を受けて賃貸物件の建物管理や維持・保全の実施などを行う、賃貸不動産管理を専門とする唯一の国家資格であることも人気を底上げしている理由と言えるでしょう。

合格率は30%程で、必要な学習時間は100~200時間程とされています。

国家資格に認定される以前の時期を含めても比較的新しい資格で、さらには国家資格となり難化傾向が指摘されていますので、受験を検討される場合は早めがオススメです。

直近の令和4年度の試験では、難易度の高い正誤数を問う個数問題が10問以上出題されるなど、非常に難しかったことが話題になりました。

なお、試験問題の50問中5問が免除される講習が毎年7~9月に実施されていますので、この講習を修了すれば少し有利になるでしょう。

取得順②
宅地建物取引士


次のステップに挙げられるのは、「宅地建物取引士(以下、宅建士)」です。

以前ならこの資格をファーストステップとして紹介したところですが、「賃貸不動産経営管理士」の登場により、上位資格的な位置付けとなりました。

実際、「賃貸不動産経営管理士」取得後に従事できる業務管理者には、「宅建士」取得済みであれば、講習受講のみで従事することが可能です。(「賃貸不動産経営管理士」の資格が取得できる、ということではないのでご注意を)。

「宅建士」の資格は、言わずと知れた不動産会社に不可欠なもの。試験に合格し、知事の登録を受けた後、「宅地建物取引士証」の交付を受けると、晴れて「宅建士」になれます。不動産の売買や賃貸の契約前に行う重要事項説明は「宅建士」の独占業務。試験では民法や税法などを含めた幅広い知識が問われます。

合格率は15%程で、「賃貸不動産経営管理士」の半分程度。

必要な学習時間は300時間程とされていますので、「賃貸不動産経営管理士」の2倍の勉強時間で合格率が半分となると、グッと難しいと言えますね。

「行政書士」など、より難しい試験を受ける人がステップのひとつとして受験することもあるので、「宅建士」を本当に取得したい人にとっては、実質的に15%以下の合格率となっている可能性もあり要注意です。

とはいえ、毎年20~23万人が受験して3~4万人が合格するという、非常に規模が大きい試験ですので、合格率はあまり気にせず、しっかり勉強していきましょう。

宅建業者には、従業者5人に1人以上「宅建士」を配置する、という基準がありますので、「宅建士」取得は一定の仕事に繋げることができる鉄板の資格だと思います。

取得順③
管理業務主任者


続いては、「管理業務主任者(以下、管業)」がおススメです。

「管業」のさらなるステップとして次に紹介する「マンション管理士」と似た試験内容なのでダブル受験される方もいます。

「マンション管理士」がマンションの長期修繕計画の立案・実行など、コンサルタント的立場であるのに対し、「管業」は、住人との日常的なやりとりをするフロントマン的な位置付けです。

マンションの管理人の方が必ず取得すべき資格ではないですが、持っていて損はないでしょう。

合格率は20%程で、必要な勉強時間は200~300時間程度とされています。

近年どんどん難易度が上がっているとされる「宅建士」に比べると、合格率は高く、勉強時間も若干短いので、受験しやすそうな印象も。

ですが、「宅建士」取得後にこちらを目指す方が多いので、「宅建士」取得前に「管業」を狙う場合は、必要な時間はもっと長くなる可能性が高いです。

「宅建士」と重複する内容が一部ある一方で、設備に関する分野はかなりの広さ&深さで問われるので、「宅建士」の知識だけでは歯が立ちません。

ある程度しっかり対策したほうが確実ですので、個人的には「マンション管理士」との同年度受験ではなく、まず「管業」を取得してから「マンション管理士」を検討するほうが良いと考えています。

取得順④
マンション管理士


「管業」の後に位置付けられるのが、「マンション管理士」となります。

先述のように、マンション管理全般についての専門家、コンサルタント的な位置付けです。

築年数が経過したマンションが増加する中、大規模修繕や建替えの検討など、今後「マンション管理士」が活躍する場面は多くなることが期待されています。

合格率は10%程度で、必要な学習時間は500時間ほど。

ここまでご紹介した中では、最も低い合格率、かつ最も長い学習時間が必要となります。

私の場合は、「管業」取得により5問免除となりました。逆に、「マンション管理士」取得により「管業」についても5問免除となります。

しっかり受験対策をしましたが、それでも基準ギリギリでの合格で、余裕はありませんでした。

相当に難しいので、いきなり目指すのではなく、「賃貸不動産経営管理士」→「宅建士」→「管業」→「マンション管理士」と、段階を踏んでの取得がおススメです。

COLUMN:不動産系は民間資格も豊富!

上記以外にも「任意売却取扱主任者」や「競売不動産取扱主任者」、「建設業経理士」、「土地活用プランナー」、「ホームインスペクター」、「敷金診断士」など、様々な民間資格が存在します。

どういった物件を扱うのか、またはどんな業務を担当するのかにより、役に立つ資格・検定が変わってきますので、ご自身に合ったものを探してみてください。

不動産の資格・検定一覧はコチラ→https://jpsk.jp/examinations/genre/realestate1.html


余談ですが、不動産系の国家資格は通称“トリプルクラウン”と呼ばれてきました。

これは、「宅建士」、「管業」、「マンション管理士」の3つを指すもの。

しかし「賃貸不動産経営管理士」が国家資格となり“クワトロクラウン?”“4クラウン?”とちょっと混乱気味の様相です。どのような呼び名が定着するのでしょうか。

不動産系の資格・検定は、お伝えしたように、「宅建士」を中心にその前後に基本となる流れが一応ありますが、細かいものを含めれば、取り組みやすいものから非常に難しいものまで、幅広い種類・レベルが存在。

まずは簡単に取り組めるもの、またはご自身の仕事に関係するものから、徐々にステップアップしてみるのも良いでしょう。


文=林 雄次

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300以上の資格を持つ「資格ソムリエ」こと、はやし先生(林 雄次さん)が、資格・検定にまつわる役立つ情報を独自の視点でお届けします。連載「はやしかく」の記事一覧はこちら!

林 雄次さん
大手企業にてITエンジニア職を経験後、IT活用&DX推進に注力する新世代の社労士・行政書士として独立。企業の働き方改革や業務改善、IT導入などを支援する「デジタル士業」として活躍。また、その他の士業を含む300以上の資格を持ち、「資格ソムリエ」としてさまざまなメディアに出演中。
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