甲種防火管理者（新規）講習受講体験記

　私が、甲種防火管理者（新規）講習を受講修了したのは、平成２２年６月です。

同講習を受講修了すれば、甲種防火管理者になることが出来る資格を取得出来ます。

　因みに、防火管理者とは、防火管理が義務付けられている防火対象物（一定規模以上の、飲食店、病院、工場、事務所、学校、ホテル等）の防火管理の責任者のことです。

防火管理者には、甲種と乙種の２種類があります。

甲種は、防火管理が義務付けられている全防火対象物の防火管理者になることが出来ます。

乙種は、比較的小規模な防火対象物の防火管理者になることが出来ます。

①受講期間、場所

　平成２２年６月２２日と２３日、静岡市職員会館で受講しました。

②講習内容

　講習は、２日間（９：００～１６：３０）行われ、①防火管理の重要性、責務、②火気管理、地震対策等、③施設・設備の維持管理、訓練・教育、④消防計画⑤効果測定です。

内容的には、宅建、危険物取扱者（乙４）、消防設備士（甲４）で勉強した内容と重複している部分がある為、既知部分が殆どでした。

しかし、現役消防署員である講師の実体験に基づく火災現場の話、火災のビデオ上映、ガソリンの引火実験等もあり、非常に興味深く、有意義な内容でした。

　今回の講習で、特に印象に残った話が３つあります。

　１つ目は、失火の責任に関する法律の話です。

実は、恥ずかしながら、この講習を受講する迄、こんな法律があったとは知りませんでした。

この法律によれば、失火による火災の場合、原則として、失火者に重大な過失がなければ、失火者は、損害賠償責任（民法７０９条）を負わなくてもよいとのことです。

今迄、私は、失火による火災の場合、失火者が損害賠償責任を負うのが、至極、当然だと思っていましたが、それは、大間違いでした。

但し、例外もあります。

講師の話では、料理屋で料理人が鍋に油を入れて加熱している途中で、料理人が居眠りをしてしまい、油に引火して火事になった事例があったそうです。

この事例では、失火者が素人ではなく、プロの料理人であり、仕事中に居眠りをした結果、失火したのはプロとしてあるまじき行為（重大な過失があった）ということで、失火者に損害賠償責任が発生したとのことでした。

そこで、帰宅してから、この法律について、ちょっと調べてみました。

調べた結果、失火者に重大な過失がなければ、損害賠償責任を負わなくてもいい、というのは、『我邦古来ノ慣習』{大判（連合部）明治４５年３月２３日・民録１８輯３１５ページ}に、基づくものであることが分かりました。

　２つ目は、エステで使用したアロマオイルが付着したタオルを洗濯後、乾燥機で乾燥していたら、洗濯しても落ちずにタオルに染み付いていたアロマオイルが、乾燥機の熱で加熱され火事になった事例の話です。

まさかこんなことがあるとは思いもよりませんでした。

　３つ目は、IHクッキングヒータの過熱防止装置が働かなくて火事になった事例の話です。

IHクッキングヒータの過熱防止装置が働かなくて火事になる原因としては、天ぷら油を２００〔ｃｃ〕未満で使用している場合や、規格に合わない鍋を使用している場合が多いとのことでした。

③効果測定

　効果測定は、「正しいものを選べ」という、４択の中から１つの正解を選ぶ方式の問題が１０問出題されました。

合格基準の公表はありませんでした。

効果測定対策は、講師が話した重要ポイントを聞き漏らさない様に、しっかり覚えておけば、大丈夫です。

講師によれば、今回の効果測定結果は、平均点が９０点台、受講者の約４割が満点で、全員、合格とのことでした。

以上