英検を大解説!おススメの勉強方法や例題も
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今回は、「実用英語技能検定(英検)」を主催する公益財団法人 日本英語検定協会を取材しました。
今、日本全体の大きな課題の一つとなっているのが、日本人の英語力強化です。
グローバル化に伴い、英語教育の改革や英語力の重要性については以前から注目されてはいますが、訪日外国人の増加や大学入学者選抜での英語4技能の評価制度など、ここ数年で実践的な英語力にさらなる熱いまなざしが向けられています。
これまでの日本の英語教育では、Reading (読む)・Listening(聞く)、という相手や外部から情報を得る力に重点が置かれていましたが、これからはSpeaking(話す)・Writing(書く)といった自分の意志や考えを伝えることができる発信力も重視されるようになっているのです。
英語関連の資格・検定は世の中にいくつかありますが、発信力の育成にも力を入れている資格・検定の一つが、ほとんどの人が一度は耳にしたことがある実用英語技能検定(英検)です。
中高生を中心に、近年では未就学児や小学生にも広く普及しているイメージが強い英検ですが、実は社会人にとっても実践的な英語力の習得におススメの検定なのです。
2016年度より英検の合否判定方法や問題形式がリニューアルされ、大学や高校入試での学力の証明はもちろん、より英語での発信力が重要となる就職やビジネスの場でも使える実践的な英語力が測定できるようになっています。
今回は、英語力に課題を感じている方や一度英検を受験したことがある方、学校卒業以来英語から遠ざかっている方にぜひ知っていただきたい、英検で発信力が身に付く秘訣や活用術、おススメの学習方法などについて、公益財団法人 日本英語検定協会の広報担当にお話を伺いました!
Q1 実用英語技能検定(英検)はどんな検定ですか?
1963年、東京五輪の1年前に「実用英語の普及・向上」を目的として財団法人日本英語検定協会(2012年に公益財団法人へ移行)が設立され、文部省(現:文部科学省)後援のもとに第1回実用英語技能検定(1級~3級)が実施されたのが英検の始まりです。
当時、驚異的な戦後復興により国力を急速に回復させた日本が、国際社会に復帰する大舞台となったのが1964年の東京五輪なのですが、その頃は日本人がどのくらい英語を使えるのかが分からなかったため、その指標の一つとして日本人の英語力を底上げするために英検が誕生しました。
東京五輪では、新幹線や高速道路などの交通インフラをはじめ、ファミリーレストラン誕生の背景といわれる1万人超が過ごした選手村での給食事業、ピクトグラム(絵文字)といった数々の日本のスタンダードが生まれたのですが、実は英検もその一つに含まれています。
当時は警察官やホテル関係者、タクシーの運転手など外国人の対応が必要となる職業の方が多く英検を受験し、合格者の方には英語で接客可能であることを証明するシールも配布されるなど、英検には「おもてなしのための英語力を強化する」といった側面がありました。
そのため英検は、設立当初の第1回試験から全国47都道府県で試験を実施したり、実践的な会話力を測る面接試験を行ったりと先進的な取り組みを行ってきました。その後もグローバル化の進展に伴う英語への関心の高まりや社会的ニーズを受け、級や試験の内容も柔軟に変化させながら、グローバル人材育成支援のパイオニアとして半世紀以上の歴史を積み重ねています。
Q2 英検で身に付くグローバルな発信力とはどのような力ですか?
英検では、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能のバランスが重視されていることに加えて、上位級(2級以上)では社会性の高い分野の話題について理解することや、その話題についてコミュニケーションが取れるようにならなければなりません。
実際に上位級のSpeaking・Writing試験では、世の中で話題になっている事柄や時事問題を題材とした問題が出題されるのですが、その分野に関する英語を理解し、自分の考えを相手に伝わるように述べる、という高度なスキルが英検では要求されるのです。
この点こそが、世界の人々とコミュニケーションを取るために大切な発信力が身に付くポイントであり、英検の最大の特徴でもあります。
社会的な事柄に対して、論理的に自分の考えを相手に伝えることは、日本語でも難しく壁を感じる人も多いかと思います。そもそも日本語では起承転結で話が進められることが多いのですが、英語文化圏では結論から話を始めることが一般的です。
英検を活用して社会性の高い分野についてしっかりと自分の考えを持ち、論理的に自分の意見を述べることができる発信力をグローバルな舞台でのコミュニケーション力や交渉力に繋げていただければと思います。
Q3 どのような人が英検を受験していますか?
中学・高校・短大・大学等の入試において英検取得者の優遇措置を講じている学校が多くあり、入試を控えている学生の方におススメの検定です。また、2004年から留学時に語学力を証明する資格として英検が採用されており、現在北米やオーストラリアの約400の教育機関で英検を利用することができます。
※英検による留学での英語力証明について詳しくはこちらをご覧ください。
さらに、ここ数年の幼児からの英語教育ブームや、ご両親が学生時代に英検を受験していて、そのお子様が受けるといったケースで未就学児や小学生の英検受験も増えています。
一方で、学生時代との英語力の比較や、海外赴任等で身に付けた英語力の証明といった目的で社会人の英検受験者も多くいます。シニア世代の受験も増えていて、幅広い年齢層の方が受験しています。
出典:英検受験の状況
少子化の影響を受けやすいといわれる資格・検定業界ですが、英検への関心は高まっているようです。
Q4 英検ではどんな問題が出題されますか?
英検3級以上では4技能の試験があり、それぞれ下記のような問題が出題されます。
Writing 問題
Speaking 問題
※Reading・Listeningの問題については、英検の公式HPにてご確認ください。
英検の公式HP では、各級の試験内容と過去問を過去3回分公開していますので、試験対策としてぜひご活用ください。
Q5 英検の受験に向けておススメの学習方法を教えてください。
webポータルサイト「英ナビ!」 ※では、英検の受験者をはじめ、あらゆる英語学習者の学習を支援しています。英検の受験対策や英語学習に役立つ最新情報、着実なレベルアップを実現するオンライン学習サービス、精度の高い英語力測定アプリ、国内最大級の英検のオンライン申し込みなど、英検対策や英語学習に必要なすべてが詰まった便利なサービスです。
無料で使える機能もたくさんありますので、ぜひ有効にご利用ください。
※株式会社教育測定研究所(JIEM)と共同運営
また、スマートフォンで使用できる「スタディギア」というアプリでは、隙間時間を使って気軽に学習できるコンテンツが用意され、英検対策ができる「スタディギア for EIKEN ベーシック」は英検受験のお申し込みをすると無料でお使いいただくことができます。
Q6 英検の受験機会増加に向けた取り組みを教えてください。
英検では、2016年度より全級で一次試験、二次試験ともに合否判定に加えて技能別スコア「英検CSEスコア」を設ました。これにより、英検の試験結果と国際標準規格:CEFRに関連性を持たせてそれぞれの技能の伸長度の確認や苦手分野を把握できるようになっています。
さらに、3級以上の全級での4技能化や4・5級でのコンピュータ端末を用いたスピーキングテストの導入※、英語教育改革、大学入試改革(詳しくはこちら)にも取り組んでいます。
※4・5級では、一次試験(Reading, Listening)の合否に関係なく、スピーキングテストの受験が可能。
尚且つ、より多くの方に英検を受験していただけるように二次試験の日程を複数設けたり、英検S-CBT(Computer Based Testing)という、コンピュータを使って1日で4技能の試験が受験できるCBT形式を導入したりと、英検の受験機会を増やす取り組みを積極的に進めています。部活や勉強で忙しい学生の方はもちろん、お仕事をされている方もぜひ英検に挑戦してみてください。
いかがでしたでしょうか。
英検は半世紀以上の歴史があり資格・検定界のパイオニア的存在でありながら、時代に合わせて試験形式や内容を変化させている柔軟性がある検定だったのです!
「学生時代に英検を受験したことがある」「子どもに英検を受験させる予定である」といった社会人の方も多いかと思いますが、英語力の再確認や、英語での発信力UPのために、ご自身も再び新しくなった英検にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。