【美術検定 受験レポ】アートナビゲーターと語り合う美術検定のメリットや勉強方法
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小・中・高という12年間の学校教育の中では、どちらかというと脇役的なイメージが強い「美術」。
さらに、美術の中でも「美術の歴史や知識」となるとマニアック感が漂ってきます。
美術検定は、歴史や作品、美術鑑賞といった美術に関する幅広い知識や情報を通じて「鑑賞力」を育むことを目的とした検定試験です。美術の知識を活かした「鑑賞力」に重点が置かれているのですが、「鑑賞力」という言葉を耳にしたことがある人や、「鑑賞力」に自信がある人は少ないのでは?
そもそも「鑑賞力」とは具体的にどのような力なのか…美術検定の学習を通して、一体どのようなことが身に付くのか…
そこで、百聞は一見に如かず、ということで、早稲田大学の公認サークル「資格ゲッターズ」の有志10名が2017年11月に実施された美術検定に挑戦して、美術検定ではどのような知識や「鑑賞力」が身に付くのか、実際に学んで感じてもらいました。
今回の座談会では、美術検定に挑戦した資格ゲッターズ10名の中から4名、これまで美術と深く接する機会があまりなかった美術検定初心者の大学生と、美術の普及活動に携わっている美術検定1級を取得したアートナビゲーター3名の方を迎えて、美術検定を受験した感想やポイント、等身大の美術へのかかわり方についてざっくばらんにお話をしてもらいました。
資格ゲッターズとは
早稲田大学公認の資格取得サークル。
活動目標は「履歴書に書ききれないほどの資格を!」。
団体受験や資格の情報交換を行い、楽しく資格取得を目指すサークルです。
●Twitter→ @License_Getters
●Instagram→@licensegetters
●ゆうこさん/早稲田大学2年生
文化構想学部 3級受験( 上段左から4番目)
●まさともさん/早稲田大学2年生
社会科学部 3級受験( 上段左から3番目 )
●あいこさん/早稲田大学1年生
教育学部 3級受験(上段左から2番目)
●ゆめみさん/早稲田大学2年生
文化構想学部 3級受験( 下段左から3番目)
●ゆうりさん/早稲田大学3年生
資格ゲッターズ第17期副幹事長(上段左から1番目)
アートナビゲーターとは
美術史や美術作品などに関する幅広い知識を生かし、美術の魅力や楽しみ方を一般に広く伝える、アートの水先案内人。
美術検定1級を取得すると、アートナビゲーターの称号が授与される。
司会:最初に、資格ゲッターズのみなさんに美術検定を受験された感想を伺いたいと思います。
ゆうこさん:私は小学生ぐらいの時から絵を習っていて、美術に興味があって美術館にもよく行っていました。実際に学習してみると、調べても調べても知らないことばっかりで、教材も奥が深いなと思いました。
ゆめみさん:私は大学受験の時は日本史を専攻していて、日本の美術を好きになりました。日本の美術品の美術展には結構行ってたんですけど、西洋のものは全然行ったことがなかったです。これを機会に日本美術以外のジャンルの勉強も頑張りましたが、やっぱり難しいことが多くて、苦戦しました…。でもすごく勉強になりました。
司会:美術検定では西洋と日本の美術のどちらも出題範囲ですからね。3級は、出題範囲も広くて大変ですよね。
まさともさん:僕は、大学受験は日本史受験だったので日本美術は見たことあるなって感じだったのですが、世界史系のものは苦手でした…。
あいこさん:私は子供のころから海外の美術館がすごく好きで、オルセー美術館やオランジュリー美術館に行ったことがあります。大学受験は世界史専攻だったので、日本美術は全くだめというみんなとは逆のパターンでした。
司会:みなさん、美術検定の学習や試験が終わって、これが良かったとか、こんなことが役に立っているといったご感想はありますか。
ゆうこさん:美術検定で学習した内容について、日常生活でふと気づくことはありますね。
ゆめみさん:今まで興味があっても全然わからなくて、見ても「美しい絵だな」みたいな、単なる感想みたいになってしまうと思ってあまり美術館に足を運ぶ機会がなかったのですが、美術検定の学習を通して「これ見たことある」という作品が多くなって、美術館に行きやすくなりました。資料集を見ていても、「これ知ってる!わかる!」ということが多くなりました。
まさともさん:僕も、ほんと美術の素人なんですけど…某イタリアンファミリーレストランをよく利用するのですが、そこにある絵について、今までは何も感じていなかったのですが、美術検定の勉強をするようになってから、「これ、ほんとはそういう絵なんだ」ということが分かるようになりました!
司会:某イタリアンファミリーレストランって、美術検定の勉強場所として最適と言われていますよね!ボッティチェリの『春』などイタリアの名画の複製が飾られています。
あいこさんは海外の美術館にも行かれたことがあるので、勉強は楽だったと感じましたか?
あいこさん:いえいえ、そんなことは…。日本美術が本当にダメで、どちらかというと西洋美術のほうが好きだったので、あんまり日本美術のほうはできませんでした。知人に世界史を教えてほしいと言われたとき、美術検定の勉強を通じて世界史のことが思い出せてよかったと思いました。
東さん:僕は学生時代は理系だったので、歴史や美術史はすっごい苦手でしたよ。僕が好きだったのは、ありがちな戦国時代とフランス革命。世界史と西洋美術の結びつきを学んだのは美術検定を受験してからですね。受験するまでは全く結びつかなかったです。西洋美術は学校でもっと学ぶ機会があれば、歴史にもっと興味を持つのになーと思ったのですが、みなさんは学校で歴史と美術をリンクさせながら学んでいたのですか?
ゆめみさん:そうですね、でも美術検定で学んだような、しっかりとしたリンク付けはないですね。今回の受験を通じて、絵に歴史的背景があるということをすごく感じました。今までそういう勉強は学校ではしてこなかったです。
司会:深津さんは美術館でガイドの活動もなさっていますが、美術検定で知識や視野は広がりましたか?
深津さん:私のガイドは、ほとんど解説は行わず、みなさんと話をしながら、みなさんの感性を引き出していくので、先生という感じで話すことはあんまりないです。もちろん知識がないとガイドはできないですが…。私は大学では美術史を専攻していたのですが、限られた時代の限られた地域のものを研究するので、全体の歴史を見るというのは大学で学んでいても美術検定のほうが難しいかな…と思いました(苦笑)。
司会:高島さんは精力的に美術館に足を運ばれていますが、美術鑑賞で美術検定がこんなに役に立っている、ということはありますか?
高島さん:そうですね、私は大学では日本文学を専攻していて、全く美術史とか勉強したことがなく、好きでかじる程度だったのですが、美術検定を受けて美術史の筋ができたかなと感じています。
司会:資格ゲッターズのみなさんは、美術検定を受ける前と受けた後で、美術館に行くようになったなど自分の中の変化はありますか。
ゆうこさん:私は美術館に行きたいと思い続けていますが、まだ行けていないです。「北斎とジャポニズム展」※に行きたいと思っています。
※2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日)、国立西洋美術館にて開催。
司会:「北斎とジャポニズム展」は、まさに美術検定を勉強するとよくわかる西洋と日本を比較するような展覧会なので、ぜひ行ってみてくださいね!
ゆめみさん:私も日本美術の展覧会により興味を持つようになって、行ってみたいなと思っています。
まさともさん:美術検定の勉強の内容に直接関係があるかはわからないですが、今月末にジブリの森美術館や箱根のガラスの森美術館に行く予定があって、多少なり美術に触れる機会が増えました。
あいこさん:美術検定の勉強をしていて、美術館にすごく行きたい気分になりました!海外に行くことがあれば、必ず美術館に行きたいです。
司会:みなさん、美術鑑賞についてより積極的な姿勢へと変化してきましたね!
美術検定を受けて、今後どのように役立てられるか、手ごたえのようなものはありますか。
ゆうこさん:大学で、イメージ論系の専攻に進もうと思っているのですが、美術の知識があったほうがいいかな、ということを今考えています。受講しているクラスの先生がアウトサイダー・アートに詳しくて、自分でも調べて先生と話ができるよう役立てられたらいいなと思います。
ゆめみさん:今、日本美術の授業しか受講したことがないのですが、これからは西洋美術のクラスも受講しようと思っています。将来に関しては、美術に関する仕事に就く予定はないのですが、教養として有名な絵を知っていることは、自分の自信につながったかと思います。
まさともさん:今回、美術を体系的に学ぶことができたので、これからも持続的に教養を広げる一環の一つとして、続けていきたいと思います。
あいこさん:将来外資系の企業に勤められたらいいなと考えているのですが、海外に行った時に日本の美術を教えてあげたり、その国の美術について楽しく話ができたらいいなと思いました。
司会:確かに、「美術=世界共通の言語」という側面がありますからね。
一方で、アートナビゲーターのみなさんは美術検定で得た知識がどんな役に立っていますか。
東さん:技術系の仕事をしているので、仕事ではそんなに美術の知識は使わないのですが、社内の美術好きの方と現代美術を社内展示したことがあります。
あとは、多様性の社会の中で他者をどこまで受け入れられるかというところでいうと、日本社会自体はすごくクローズだけど、アートの世界はオープンで多様性があって面白いなと思います。
司会:東さんは、ほんとにいろんな活動をされていますよね。
私の友人のブックカフェ店主が「rice work(食べるための仕事), life work(生活のための仕事), like work(好きなことのための仕事)」と言っていたのですが、こういうのがあってもいいのかなって。アートナビゲーターの方々は、ある意味こういうことを実践でやっていらっしゃって、そういう生き方もあるのだなと、感じますね。
深津さん:私は、最初の仕事が学芸員でした。諸事情により現在は会社員をしています。美術検定をきっかけに美術検定講座の講師するようになって、最初はスクリプトを読むだけだったのですが、だんだん自分で講座の内容を組み立てたり工夫するようになって、どんどん楽しくなってきました。
高島さん:私は、もともと関西に住んでいて東京に引っ越したのですが、アートナビゲーターや美術に詳しい方々と東京でも知り合いになって情報交換をしたり、さらに美術に深入りしていくという、様々な出会いにつながったのが良かったと思いました。
司会:美術作品は、見て会話をしながら、自分の気持ちを引き出していくことができるのも特徴的ですよね。美術って引き出しが多くて、そこから感じたことをアウトプットすることで、自分と他者とのコミュニケーションが生まれてくるという点では面白い素材だと思います。世界の人たちと交流でき、言語があまりできなくても、感覚でつながっていけるっていうのは海外の友人と接するときに感じますね。文化的背景が違っていても、同じものが好きなだけでお互いが「これ一緒だよね!」と思える瞬間に出会えます。
東さん:それに、世界で仕事するようになったときに、美術作品についての知識があることがとても有効かなと思います。美術作品はその制作された当時の時代を映している、歴史とつながっているというのが大きく、芸能なり美術を知ることで、その国のことも知ることができる。ビジネスパーソンの基礎知識や教養としても大事な要素だと感じます。
司会:では最後に、資格ゲッターズのみなさん、これから美術検定を受けようと思っている方に一言メッセージをお願いします!
ゆうこさん:美術検定では、見たことがあっても名前が覚えらない、作者がわからない作品がわかるようになる楽しさが得られます。あと、例えば「あの画家とこの画家、こんなに年齢も近くて、住んでいるところも近い」といった画家や作品の関連性の発見が美術に興味があれば楽しいかと思います。いろいろな作品を見ていると○○派の共通項が分かってくるので、知らない絵を見てもこの時代のこのくらいの絵だなというのがわかるようになると楽しいかなと思います。
ゆめみさん:自分一人での勉強だと、知識もなかなか入ってこなかったりします。私は、美術が好きな先輩と一緒に運慶展に行って、お互いに「ここがいいよね」「こういう視点があるよね」という話をすることで、相手の視点を知ることができて、それがすごく楽しかったです。実際に美術展に行って、教えあいをすると記憶にも残るので、みんなで楽しく勉強してみてください。
まさともさん:美術検定を学んでいくうちに、人とのつながりができていくということを、アートナビゲーターさんのお話を聞いていて心に残りました。美術好き同士、横のつながりができて一緒に美術を楽しめる、幅広い交流ができるところがおススメです。
あいこさん:勉強するときはなるべく絵を見たほうがいいなと、字だけだと全然わからないので…資料集等を見て、ちゃんと写真を観察したほうがいいのと、試験には出ないかもしれないですが、画家の伝記を読むのも面白いかと思います。
司会:資格ゲッターズのみなさん、アートナビゲーターのみなさん、本日はありがとうございました!
〜美術検定受験までの道のり〜
資格ゲッターズのメンバーが、Twitterで美術検定の勉強報告を行いました。
詳しくは、資格ゲッターズTwitter(@License_Getters)でご覧ください。
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