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FP技能検定とは?FP協会と金財とで試験に違いはある?気になる勉強方法も

資格・検定特集

FP技能検定とは?FP協会と金財とで試験に違いはある?気になる勉強方法も
★この企画では、読者のみなさんに代わって日本の資格・検定編集部が資格・検定試験の運営団体に インタビューを行い、その魅力をお伝えしていきます!
今回は「ファイナンシャル・プランニング技能検定」を主催する一般社団法人 金融財政事情研究会を取材しました。

この数年の間で、私たちを取り巻く生活環境は大きな変化を遂げています。少子高齢化が進む社会の中で税金や年金制度の複雑化が進む一方、進学や結婚・出産、病気や老後の生活のようなライフイベントから、転職や独立・副業、定年退職のような社会生活の転機まで、個々のライフスタイルにおける選択肢は幅広くなり、従来とは違った生き方を選ぶ方も増加しています。

しかし、どんな人生の選択にも必ず付いて回るのが「お金の問題」です。税金、年金などの納付・受給や、もしものための保険、ライフイベントでの出費や資産運用など、お金を扱うときには体系づけられた知識が求められるため、苦手意識を持つ方がほとんどであるのも事実です。実際に、「分からないから」と必要な手続きを踏まなかったことで納入金の過払いや受給漏れなどの損をしている方もいることでしょう。

そんな現代社会で需要が高まっている資格が「ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)」です。FP技能士の資格取得により、人生で関わることになる幅広いお金の知識を習得することができ、ビジネスにも自らの生活にも役立てることができます。

これまでFP技能検定というと、金融業界の方や保険・不動産を扱う方が受検するもの、というイメージがありましたが、昨今の社会環境の中、ファイナンシャル・プランナーとして起業・副業をしたいという方や、自分の生活に役立てたいという理由から受検する方が増えています。

そこで今回は、FP技能検定とはどういった資格試験なのか、どのように生かすことができるのか、などその特徴や学習方法を一般社団法人 金融財政事情研究会に伺いました。

Q1 FP技能検定とは、どのような検定ですか?

職業能力開発促進法に基づく技能検定の1つとして実施されており、2002年度に試験を開始してから延べ130万人を超える方が取得している資格です。

※金融財政事情研究会による合格証書発行分。2002年10月試験から2018年9月試験までの集計

「お金の専門家」として、日常生活や長い人生において関わることになる税金や年金、不動産や資産運用などのお金の知識に加えて、一般的なライフイベントについての知識を併せ持ち、ライフプランを立案・提案することをファイナンシャル・プランニングと言いますが、この技能を公的に証明できるよう、技能検定として実施されています。

そもそも技能検定とは、「働く方々の持っている技能を一定の基準により検定し、国として証明するもの」で、その目的は技能に対する社会一般の評価を高め、働く方の技能と地位の向上を図ることにあります。技能検定にはFP技能検定のほか、造園、建築大工など合わせて130職種の試験があります。

FP技能検定は、1級、2級、3級の区別があり、合格証書を手にするには学科試験と実技試験の2つの試験に合格することが必要です。1級に合格すると厚生労働大臣名の合格証書を取得することができます。

Q2 FP技能検定を主催する団体が2つありますが、違いを教えてください。

FP技能検定の特徴として挙げられるのは、一般社団法人 金融財政事情研究会とNPO法人 日本FP協会という2つの団体がそれぞれ指定試験機関として機能していることです。どちらも試験の難易度は同等で、特に2級・3級の学科試験は共通の問題を使用しています。

2団体の大きな違いは、それぞれの団体がFP技能検定の指定試験機関として認められた経緯と、受検目的の2点だと思います。

もともと金融財政事情研究会では、金融業界で働く方のために、旧労働省認定の金融渉外技能審査(金財FP)の資格認定を、日本FP協会では米国から導入したCFP(R)とFP協会独自で実施しているAFPの資格認定を、それぞれ独自に実施していました。ファイナンシャル・プランニングが技能検定の職種に追加され国家資格となるのに際して、それまでファイナンシャル・プランニングに関する資格認定の実績を有していた2団体が、厚生労働大臣から指定試験機関として認められた経緯があります。

受検目的の違いですが、金融財政事情研究会のFP技能検定では、金融・不動産・保険関連の企業や大学、最近では高校など、団体で受検していただくケースが多いです。学科試験では幅広い範囲からの出題がありますが、実技試験の内容はそれぞれの業務(個人、中小事業主、生保、損保など)や重点的に使用する知識に合わせて選択することができます。さらに、1級の実技試験に関しては口頭試問が行われるので、実際の相談やアドバイス業務に合った実践的な知識を身に付けることができます。

一方、日本FP協会の実施するFP技能検定では、学科試験・実技試験のどちらにおいても学習範囲からまんべんなく出題されるので、個人で独立してファイナンシャル・プランナーとなることを目指す場合や生涯学習が目的の場合など、幅広い知識を求める方の受検が中心です。

どちらを受検しても同等の資格が得られるので、自分の目的に合わせて受検をしていただければと思います。

Q3 FP技能検定を学習する意義とは?

ファイナンシャル・プランニングの知識は日常生活やビジネスの場においてさまざまな方に役立つものだと思いますが、ここでは受検される方によく見られるパターンを例にお話しましょう。

まず、金融機関や不動産関係の企業に勤務する方にとっては、最近増加傾向にある資産関連の相談に対応するときに大きな武器となってくれるでしょう。学習範囲には金融商品、不動産、住宅ローン、年金、保険、税金、相続などの資産にまつわる幅広い知識が含まれており、金融機関や不動産会社などの仕事内容と試験の内容が合致しているため、実際のビジネスの場面でも自信を持って対応ができるようになります。何より、FP技能士資格を取得しているというだけで、相談者の方からの信頼も大きくなるはずです。

一般企業に勤務している方でも、たとえば総務や経理を担当する方であれば、従業員に社会保険や年金、年末調整などの適切なアドバイスができます。営業職の方でも、ファイナンシャル・プランニングの正確な知識を活用できれば、顧客のファイナンス面まで捉えた幅広い視点からのアプローチが可能となります。

また、生涯学習としても大きな意義のある資格となっています。お金の知識は全ての人にとって必要不可欠なものですので、税金や収入などの身近な収支から結婚・出産や老後などのライフイベントにおけるやりくりについてまで、お金にまつわる幅広い知識を体系立てて習得することは、みなさんの人生にとって大きなプラスとなるはずです。

Q4 どのような方がFP技能検定を受検していますか?

受検されている方の割合としては、金融業界に勤めている方が多数を占めています。次いで保険関連、不動産関連の職業に従事する方が多い印象です。

一方で、宅地建物取引士(宅建士)、税理士、行政書士など他の国家資格を保有しながら、さらにFP技能士としてビジネスを拡大したいと考えている方や、ファイナンシャル・プランナーとして事務所を立ち上げて開業しようと考えている方の受検も見られます。市役所や税務署などに勤務する公務員の方で、市民の方から寄せられる社会保険や税金などの相談に十分に応対できるように受検をされている方も少なくないようです。

また、最近では大学生や高校生のように就職を控えた方の受検も増えているように思います。特に商業系の勉強をしている学生の方ですと、他の金融系の資格と並行して勉強したり、学校内でも金融教育の一環として先生方が力を入れてFPの講習会を行ったりするケースが増えています。

Q5 FP技能検定ではどのような問題が出題されますか?

FP技能検定は、A~Fの6つの分野で構成される出題範囲の知識を基に、基礎的な知識問題から応用問題まで幅広く出題されます。

※本問題の著作権は、一般社団法人 金融財政事情研究会に帰属します。また、本問題の無断転載、無断営利利用を厳禁します。本問題の内容や解答等に関するお問い合わせは、受け付けておりませんので、ご了承ください。
本問題を含むFP技能検定の過去問題はこちら

Q6 おススメの学習方法を教えてください。

まず一番に言えることは、出題範囲をまんべんなく学習して基礎的な知識問題で得点を確実に取っていただきたいということです。1級の実技試験以外は筆記試験となっており、基礎的な部分が問われることが多いので、最低限の知識は覚えておく必要があります。

基礎を一通り学習できた方は、学科試験の学習で得た知識を丸暗記するだけではなく、制度やその背景もよく理解して応用できる力を付けておいてほしいと思います。実技試験では、選択問題や計算問題などが出題されるため、基礎知識を応用できる力がなければ解答することは難しいでしょう。多くの類似問題を解くことがおススメの学習方法といえるかもしれません。重要なポイントを研修やセミナーで講師から指導を受けたり、質問したりすることも有効になるでしょう。

受検者がかなり多い試験ですので、市販の教材も豊富にあります。ご自身に合ったものを選んでいただけたらと思います。なお、当会 検定センターで監修した精選問題解説集も販売されています(株式会社きんざい刊)。この精選問題解説集には、過去問題について出題意図に沿った解説も付属しているため、利用しやすいとのお声もいただいております。

実際の試験では6割の正解率で合格判定となります。また、2019年度から1級試験の実施が年3回になり、資格取得のチャンスも増えます。得意な分野では得点を落とさないこと、分からない部分があったとしても試験の最後まで諦めないことで、ぜひとも国家資格を取得していただきたいと思います。


いかがでしたか。

私たちの人生には突然の出来事が付き物です。それをチャンスとして生かすことも、壁として乗り越えることもあるでしょう。どちらの場合にもファイナンシャル・プランニングの知識は自分や自分の家族を助けてくれるはずです。

また、職業としてファイナンシャル・プランナーを目指す方にとっても、「お金に関する相談」や「お金に関する知識」の需要がさらに高まるこれからの時代は絶好のチャンスと言えるのではないでしょうか。加えて、起業や副業へのハードルが下がっていることも、ファイナンシャル・プランナーとして独立したいという方には大きな追い風になります。

FP技能検定は出題範囲も広く、決して簡単な試験ではありませんが、制度や法律を知り、一生を計画的に見据える力を身に付けることで、自分や家族、相談者などの不安を取り払い、人生をより一層豊かにできるでしょう。

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