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【日商簿記検定2級 受験レポ】勉強期間やCBT方式の体験談をお届け!

体験レポート

【日商簿記検定2級 受験レポ】勉強期間やCBT方式の体験談をお届け!
社会人や就職活動を控えた学生から不動の人気を誇る日商簿記検定。「合格にはどのくらい勉強したらいいの?」「文系でも合格を目指せる?」「CBT方式のネット試験はどんな雰囲気?」などの疑問を解消すべく、大学生が日商簿記検定2級にチャレンジ!
実際に受験した上で、日商簿記検定を主催する日本商工会議所のみなさんと語り合ってもらいました。

座談会に参加した大学生メンバー


藤森 さん
(4年・理系)

鈴木 さん
(1年・文系)

小田 さん
(1年・文系)



幅広い層から人気の日商簿記検定。受験の決め手は?

――みなさん、日商簿記検定の受験お疲れ様でした!合格おめでとうございます。受験をしてみていかがでしたか?


日商簿記検定の受験を通して、基本的な会計の仕組みや企業のお金の流れが理解できました。

4月に就職を控えているので、社会に出る前に簿記の知識を身に付けられる、とてもいい機会だったと思います。


日商簿記検定の受験を終えた今は、「やり切った!」という達成感が大きいです。2級は難しくて、これまで大学などで学んだ会計の知識があってもかなり苦戦しました。

ただ、難しかった分やりがいも大きく、知識が身に付けば身に付く程、楽しみながら勉強できました。


簿記に触れるのは今回が初めてで、テキストを見るまでは「家計簿のようにレシートをメモしたり、収支を管理したりするのかな」とイメージしていました。

勉強を始めてみると想像していたよりも計算式や考え方が複雑で、理解するのに時間がかかってしまいました。


――やはり2級は難しかったのですね。日商簿記検定の受験を決めたきっかけは何だったのでしょうか?


就職を目前に控えているのに経済について知識が無い状態で、「なんとか勉強しなくては」と焦っていました。

そんなときに、私の「推し」が日商簿記検定に合格していることを知ったんです(笑)

日商簿記検定の勉強で簿記や会計のことを知れば、自然と経済全体についても理解しやすくなるだろうと思ったことに加え、日商簿記検定のネームバリューにも惹かれて、私も受験してみようと決めました。


――「推し」とお揃いの資格、なんだかロマンチックですね!鈴木さんの受験のきっかけは何でしたか?


私は公認会計士の仕事に興味があったので、日商簿記検定を受験して自分が会計の分野に向いているのかを試したいと考えていました。


――なるほど。受験してみていかがでしたか?


正直、自分は公認会計士には向いていないと思いました(笑)


(苦笑)


数字に弱いということではないのですが、長時間数字を処理し続ける作業はあまり得意ではないなと気づきました。


――日本商工会議所のみなさんに質問なのですが、公認会計士を目指す方が日商簿記検定を受験するパターンは多いのでしょうか?


日本商工会議所:はい。日商簿記検定1級は公認会計士試験の「簿記論」の部分と重なる点が多いので、公認会計士の試験対策として受験される方が多いです。

また、日商簿記検定1級の合格は税理士試験の受験要件の1つでもあるため、税理士を目指す方の受験も目立ちます。

その他にも中小企業診断士や不動産鑑定士など、簿記の知識がさまざまな士業を目指すための基礎となるので、士業への進路を考えている学生の方や士業へのキャリアチェンジを希望する社会人の方に人気があります。

――小田さんは日商簿記検定を受験したきっかけなどありましたか?


私は、就職に向けて何か資格を取りたいと漠然と考えていました。

「就職 役立つ」とネットで検索したところ、多くの方が日商簿記検定をおススメしていたり、就職に役立つ資格の1位に挙げられていたり、人気があるのを見て興味を持ったのがきっかけです。

もともと数字を扱うのが苦手だったので、それを克服したいという思いもありました。



日商簿記検定2級の勉強期間は3カ月~半年!具体的な勉強方法は?


――全体の勉強期間・勉強時間はどのくらいでしたか?


私はだいたい半年くらい、毎日2時間程勉強を続けました。

時間のメリハリをつけるために「日商簿記検定の勉強は絶対に朝しかしない!」と決めていたので、無理のない範囲でコツコツ続けられたような気がします。


私は5カ月間、毎日平均して1~2時間と、通学などのスキマ時間で勉強しました。


私は3カ月間と、期間は少し短かったのですが、その分毎日5時間は集中して勉強しました。


――勉強期間や勉強時間はみなさん異なっていたのですね。日本商工会議所では、日商簿記検定2級のおおよその勉強期間・勉強時間を提示しているのですか?

日本商工会議所:いえ、特に私どもでは勉強期間・勉強時間の目安は決めていません。
受験者のみなさんそれぞれの生活スタイルに合わせて、資格スクールなどでじっくり時間をかけて勉強される方もいれば、短期集中型で試験に備える方もいます。

――みなさんは具体的にどのように勉強しましたか?


私は市販の参考書と問題集を購入して、参考書を読みながら問題集を反復しました。

間違えた問題や分からなかった問題は時間をおいて繰り返し解くことで、少しずつ記憶に定着させられたと思います。


私は問題集と参考書が1冊になったテキストを使いました。

通学時やスキマ時間には、「仕訳」の練習ができるアプリを使って、テキストで覚えた知識の再確認をするように心掛けました。

⇒鈴木さんが使用したアプリはこちら


私も鈴木さんのように問題集と参考書が1冊になったテキストを購入しました。問題文を読んで、分からない部分をこまめに確認しながら勉強を進めました。

▲実際に使用したテキスト

――勉強していて特に難しかった点はありますか?


個人的に一番難しかったのは工業簿記の分野です。工業簿記は簿記の中でも特殊な分野で、材料を購入して製造し、販売するまでの一連の流れを仕訳しなければなりません。

はじめのうちは用語や考え方など、「とっつきにくいな」と感じることが多くありました。慣れてしまえば得点源になる部分だと思いますが、考え方を理解するまでは大変でした。


日本商工会議所:工業簿記は2級ならではの分野で、苦手な方も多いようです。理解してしまえば、シンプルな取引の問題なのですが、商業簿記とは全く異なる考え方をするので戸惑いますよね。


私も工業簿記はもっと対策しておけばよかったと思っています。

また、私は連結会計の分野が苦手だったので、重点的に対策しました。連結会計は処理する作業が多くて、とにかく繰り返し解くことで徐々に点を取れるようにしていきました。

それと、日商簿記検定の勉強をしていて感じたのが、「作業ができるか」と「理解できているか」は全く別物だということです。

例えば減価償却費の問題が解けても、「どうしてそのような計算式になるのか」「どんな考え方で解いたらいいか」を理解すればもっと簿記が楽しくなると感じました。


はじめのうちは、そもそも問題文で何を聞かれているのかを理解するのが大変でした。どうしても分からない部分は公認会計士の勉強をしている友人に教えてもらったり、問題文に書かれていることを図にしたり、イメージしたりする練習をしました。

▲日商簿記検定の主な出題内容
参考:日商簿記検定2級 出題区分表/日本商工会議所



日本商工会議所:日商簿記検定2級は、他の資格と比べても難易度の高い試験です。みなさんは勉強がつらいときやスランプに陥ってしまったとき、どのように乗り越えましたか?


数字を見続けるのがつらくなったときは、一旦数字から離れて理論の面から勉強するように心掛けました。数字を処理するよりも理論を知る方が好きだったので、気分を切り替えながら勉強できたと思います。


挫折とまではいきませんが、簿記の勉強に飽きてしまったときはアルバイトに行ったり、学校の課題を進めたりしてリフレッシュしました。


――今回3名とも3級を受験せずに、いきなり2級から受験されていましたが、そのあたりの難しさはありましたか?


最初の2~3カ月は3級の内容に目を通して、その後に2級の勉強に進んだのですが、それでも2級の内容をすぐに理解することはなかなかできませんでした。

初めて日商簿記検定の勉強をする方はもちろん、少し会計の知識があるという方でも初級や3級からチャレンジした方がいいかもしれないと感じました。


私は3級の会計や仕訳をサッとできるようになってから2級の勉強に移りました。やはりいきなり2級の勉強に取り掛かるのは難しいと思います。


私も3級の勉強をしてから2級の勉強に取りかかったのですが、試験までの勉強時間があまり取れず、3級の内容はかなり急いで勉強するスケジュールになってしまいました。

2級を勉強していて、「3級の内容に出てきたけれど、何だったっけ…」と思う部分も多く、もっと3級の勉強もすればよかったと後悔しました。


日本商工会議所:日商簿記検定の受験者の中では、初級や3級の受験・合格を経て2級に臨む方が大半です。みなさんはいきなり2級にチャレンジしたということで、より難しかったのではないかと思います。


…はい(苦笑)

――では、逆に2級の内容で勉強していて楽しかった点、興味が湧いた点はありますか?


工業簿記の標準原価計算の分野で、グラフを書いて計算する問題がありますよね。

私は大学で物理学を専攻しているのですが、工業簿記のグラフが物理学で使うグラフと似ていて、自分なりの見方でグラフの読み方を深掘りできたのが面白かったです。


苦手な点でも挙げたのですが、連結会計の分野についてはだんだんと問題が解けるようになってくると、連結精算表や連結財務諸表の勘定項目がきれいに埋まるのが快感になっていきました(笑)


私も、だんだんと問題が解けるようになってくると勉強が楽しくなりました。

特に、答え合わせで解答の数字がぴったり合ったときには、自分が数字に強くなっている気がして自信が付いたと思います!



ネット試験は手軽で◎!試験時間はどうだった?


――ここからは試験当日について聞かせてください。日商簿記検定2級のネット試験はいかがでしたか?


CBT方式のネット試験は初めてで不安だったのですが、意外と簡単に受験できてびっくりしました。事前にネット試験の受付方法や試験の流れなどを入念に調べていたので、焦らず試験に集中できたのも良かったです。

また、ペーパー試験のように、会場に一斉に集まって試験をするときよりも「個人戦」という雰囲気を強く感じました。


私は以前に基本情報技術者試験をCBTで受験したことがあったので、今回のネット試験に対してあまり不安はありませんでした。

私としては手書きでの解答よりもパソコンで入力して解答する方が簡単だと思っているのと、やはり近くの会場(テストセンター)で好きなタイミングに受験できるのは魅力的です。


ペーパー試験だと、片道1時間以上かかる会場に足を運んで、試験を受けて…と丸1日予定が埋まってしまいますが、ネット試験なら近くの会場で簡単に受付をして、問題を解き終わり次第試験が終了…と半日もかからないので、試験後にご飯を食べに行ったりもできました。


ネット試験の持ち物の少なさには驚きました!ペーパー試験ではシャーペンを予備も含めて何本か持って、消しゴムも2個持って、受験票も忘れないように確認して、試験によってはお弁当も必要で…ととにかく大荷物になっていたのですが、ネット試験では最低限スマホと本人確認証があれば受験できてしまうので、とても身軽でした。


受験票がいらないのは気持ち的にも楽ですよね(笑)


日本商工会議所:2級は問題量もかなりありますが、試験時間(90分)は足りましたか?


試験時間は少し余りました。ただ、入力ミスが怖いので何回か見直しをして、ドキドキしながら「試験終了」のボタンをクリックしました(笑)


私は20分くらい試験時間が余りました。ネット試験ではパソコン上で解答を選択したり入力したりするので、ペーパー試験で解答用紙に記入するよりも時間が短縮できたのだと思います。


私も15分ほど試験時間が余ったので見直しをしたところ、何問か計算ミスを見つけることができました。

ネット試験では、問題を解き終わったら自分自身で試験を終了させることもできますが、計算ミスを探したり、入力ミスを探したりして、最後まで粘る姿勢が大切だと思います。


――他に日商簿記検定のネット試験を受ける際の注意点やアドバイスはありますか?


これはペーパー試験でも同じだと思いますが、他の受験者の電卓の音が少し気になりました。ネット試験の会場によっては耳栓が貸し出しされているので、気になる方はそれを利用するのもいいと思います。


ネット試験では問題がランダムに出題されるので、どんな出題区分でも点を取れるように満遍なく勉強するのがいいと感じました。



日商簿記検定の受験で毎日の生活に変化はあった?


――日商簿記検定の受験前と受験後で変化した点などはありますか?


私は小売店でアルバイトをしていて、日商簿記検定の勉強をする前は、返品が来るたびにパニックになってしまう程、返品処理が苦手でした。

日商簿記検定を受験した後は、「逆仕訳(誤って記録した取引を取り消す方法)」の考え方を学んだので落ち着いて対応できるようになりました!


日商簿記検定の勉強でたくさん電卓に触れたおかげか、飲食店でのアルバイトの際に、レジの中のお金を数えたり、売り上げの確認をしたりといったときの計算がかなりスピーディにこなせるようになりました(笑)

また、本社に売り上げを報告する際の台帳への記入も、簿記について知らずに記録するのと、簿記の知識があって記録するのとでは仕事への理解度やスピードがかなり変わりました。


私は株に興味があるのですが、これまでは「なんとなく株価が動いているな」という感覚でしかありませんでした。日商簿記検定の勉強をしてからは、以前よりも数字に耐性が付き、具体的な数値に目が向くようになったと思います。

また、企業の活動や経済のニュースなど、ビジネスに関することに今まで以上に興味を持てるようになりました。


――日商簿記検定の勉強で得た知識を、今後どのように活かしたいですか?


就職活動で活かしたいのはもちろんですが、まずはアルバイトの中で活かせたらと思います。

私は今、通信制高校で授業のサポートをしていて、中には資格取得を考えている生徒もいます。そういった生徒に、今回私が日商簿記検定を受験した経験を伝えたいです。


私は今回初めて簿記の勉強をして、お金や会計の楽しさが少し分かってきた気がします。これを機にもっとお金や会計のことを勉強してみたいと考えています。


春から社会人になるので、日商簿記検定で得た知識をもとにこれからもっと経済のことを知っていきたいと思います。また、自分の家計管理にも知識を活かせたらと思っています。


日本商工会議所:ちなみに、今後1級を目指してみたいという方はいますか?


1級まで取得する予定でテキストも購入しました。何かおススメの勉強方法はありますか?

▲藤森さんが購入したテキスト


日本商工会議所:今年、1級の受験者数が伸びているんです。
1級は、経営管理や経営分析を行うために求められるレベルで、経理・財務部門以外でも企業で活躍できる場は多いと思います。

試験は4科目に分かれていて、その全ての科目で4割以上の点を取る必要があります。専門的な内容を満遍なく勉強しなくてはいけないという点で難易度は一気に上がりますが、得意な科目を反復して自信を付けてから、苦手な分野に挑むのがいいと思います。

日本商工会議所では、1級に合格した方のインタビューや1級の過去問題も紹介しているのでぜひ読んでみてください。

――最後に、記事を読んでいる方に一言お願いします!


日商簿記検定は実生活でも就職活動でも活用でき、社会的な評価も高い資格だと思います。また、会計に興味がある方の第一歩としてもチャレンジしやすいはずです。


日商簿記検定は、私のように数字が苦手な方や文系の方でも合格を目指せると実感しました。お金のやりくりや、大きな数字を扱うスキルが身に付き、一度勉強すると一生役立つと思います。


資格を取りたいけど何を取ればいいか迷っているという方には、ぜひ日商簿記検定を受験してほしいです。

簿記は経済や会計など社会人に求められる知識の基礎で、今後他の資格を取得したいと思ったときにも簿記の知識が役立つと感じました。

私たちの座談会で、より多くの方が日商簿記検定に興味を持ってくれたら嬉しいです!



座談会開催日:2021年12月17日(金)


いかがでしたか?

日商簿記検定は日本国内の多くの企業で評価されているほか、ビジネス系資格、会計資格、士業系資格の基礎としても有効です。
少しでも簿記に興味が湧いた方は、ぜひ日商簿記検定にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

⇒詳しい試験概要はこちらをご覧ください。
商工会議所の検定試験「日商簿記検定」/日本商工会議所


~日商簿記検定受験までの道のり~
資格ゲッターズのメンバーが、勉強方法や勉強の感想など日商簿記検定受験までの道のりを投稿記事にまとめてくれました。
⇒記事はこちらからどうぞ。

取材協力
・日本商工会議所
・早稲田大学公認サークル 資格ゲッターズ
※学生の所属・学年は受験時のものです

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