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日商簿記検定とは?昇進に役立つ?おススメの級や勉強方法も

資格・検定特集

日商簿記検定とは?昇進に役立つ?おススメの級や勉強方法も
★この企画では、読者のみなさんに代わって日本の資格・検定編集部が資格・検定試験の運営団体にインタビューを行い、その魅力をお伝えしていきます!
今回は「日商簿記検定」を主催する日本商工会議所を取材しました。

企業が応募者に求める資格や「就職に役立つ資格・検定TOP30」で堂々の第1位に輝く「日商簿記検定」。

企業の経済活動を記録し、経営状態の指標となる財務諸表を作成する上で必要となるのが簿記の知識です。昨今、有名なビジネス誌等でも財務諸表の読み解き方にスポットライトが当てられ、経理・財務担当者はもちろんのこと、すべてのビジネスパーソンにとって重要なスキルといえるでしょう。

日本では社会的・経済的にも英語力に関心が寄せられていますが、実は英語より世界中で広く使われている共通の言語は簿記だということをみなさんはご存知でしたか? 
言語は3つの分野に分けることができるといわれており、自然言語(日本語・英語・中国語など)、人工言語(コンピュータのプログラミング言語)、そして企業言語があり、これが簿記にあたります。簿記の概念や考え方は世界共通で、世界中の企業のビジネスにおいて広く用いられている世界共通言語であり、「グローバルスタンダードスキル」なのです!
 
そうはいっても、会計ソフトの発達や、フィンテック・ビッグデータ・AI(人工知能)技術により会計分野からヒトの業務領域が減ることが予想される中で、「一体なぜ簿記を学ばなければいけないの?」と疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。

そんな簿記が今後もビジネスパーソンにとって重要なスキルであり続ける理由や日商簿記検定で身に付く知識・活用ポイントについて、日商簿記検定を主催する日本商工会議所に詳しくお話を伺ってきました。

Q1 そもそも簿記とは何なのか?

「簿記」は企業などの経済活動を記録する仕組みです。業種や規模にかかわらず、世界中の国々の企業などで広く用いられており、「ビジネスにおける世界共通語」とも言われています。 

「簿記」といえば、多くの場合「複式簿記」のことを指します。「複式簿記」の歴史は古く、15世紀にはイタリアで簿記書が出版されていました。もちろん15世紀の当時と21世紀の現代では商業(ビジネス)のあり方はだいぶ異なりますが、1つの経済活動を2つの側面から捉えて記録することや、記録を集計し財産や損益の状況を把握する方法など、「複式簿記」の本質は当時から変わっていません。

Q2 簿記を学ぶ意味とは?

18世紀、蒸気機関の発明にともなう第1次産業革命により、人間の生活・経済活動は大きく変わりました。21世紀に入り、これからはビッグデータ、AIにより社会は様変わりし、人工知能を利用した新しい働き方が今後主流となっていくことが予想されます。
しかし、企業などの経営状況を理解して事業を進めていく責任主体が人間であることに変わりはなく、経済活動を理解する手段である「複式簿記」を学ぶ価値も変わらないと思われます。

インターネットが普及した現代において、知識を習得するために勉強をすることに疑問を感じる人もいるかもしれません。「複式簿記」の学習は、時代とともに古くなる知識を暗記するものではなく、1つの活動を2つの側面で把握するという「考え方」を身に付けるものです。この考え方を身に付けられると、自分の思考の幅を大きく広げることができます。

簿記を学習したことの無い人から、「会計ソフトを利用すれば必要な会計データを集められるのに、なぜ簿記を学ばなければならないのか」と尋ねられることがあります。確かに単純な集計作業は会計ソフトが行います。
しかし、簿記を知らない人にとっては、会計ソフトにより出力されたデータはただの数字の羅列にしか見えません。一方で、簿記の考え方を身に付けている人は、会計データを理解し、そこから企業活動を把握し、投資判断や事業・経営のあり方を考えることができます。

このように、「複式簿記」の考え方を学ぶことは時代の変化にかかわらず、みなさんが生涯にわたり社会で活躍する上で大いに役立つと考えています。

Q3 「日商簿記検定」はどんな検定ですか?

簿記検定試験(通称:日商簿記)は、簿記の普及向上を通じて、企業経営の健全化と経済社会の発展に寄与することを目的とし、各地商工会議所および日本商工会議所が主催し、1954年(昭和29年)から施行しています。これまで延べ2,700万人以上の方に受験いただきました。 

日商簿記の問題は、企業の実務で使用頻度が高く、多くのビジネスパーソンが理解した方が良い論点を中心に構成している一方で、現在の実務ではあまり見かけない事項等については範囲から削除するなど、社会の変化に即して適宜問題の内容を見直しています。

最近では、グローバル化の進展に伴う外貨建て取引、クレジットカードの普及によるクレジット払い取引、決済の電子化に伴う電子記録債権・債務の取引、電子マネーの普及によるICカードを用いた取引の処理など、21世紀における日本の経済社会で求められている実務的な処理や判断力を問う内容を出題しています。

Q4 実際に日商簿記検定はどのように評価されていますか?

日商簿記は60年以上の長い歴史を有しており、これまで輩出された多数の合格者が各企業でその実力を発揮していることから、多くの企業で高い信頼と評価を得ています。昇進や昇格の条件、資格手当の対象にしている企業や、就職内定者に対して入社までに3級を取得するように促す企業もあります。

日商簿記1級合格者は、税理士試験の受験資格を得られます。2級・3級・初級も多くの大学・短大等で、推薦入試の基準や単位認定の対象として利用されています。

合格は一定以上の実力が身に付いている証しといえます。学習を始める前に比べ合格後は社会人としてパワーアップしているでしょう。

Q5 初心者におススメの級を教えてください。

簿記を初めて学習する人には2017年4月からスタートした「簿記初級」がおススメです。

これまでは簿記学習の入門者の多くが3級から受験していました。一方で3級は、経理担当者に求められるような比較的高度な内容である決算処理などが問われる問題構成となっており、初学者にとってはハードルが高いという声も一部から出ていました。
そこで、簿記初学者向けの入門級として業種・職種を問わず、すべての社会人に必要とされる日常業務における実践的な簿記の知識を短期間に習得するための目標となる「簿記初級」を創設しました。

簿記初級 サンプル問題

※本サンプル問題の著作権は、日本商工会議所に帰属します。また、本サンプル問題の無断転載、無断営利利用を厳禁します。本サンプル問題の内容や解答等に関するお問い合わせは、受け付けておりませんので、ご了承ください。


また、2018年4月から原価計算の入門級である「原価計算初級」の施行を開始しています。従来は簿記1・2級の科目として位置づけてきましたが、製品・サービスの原価(コスト)と売上、利益を正確に把握する際に必要な「原価計算」は生産性を見える化し、その向上を図る上で今後ますます必要となる知識・スキルであり、企業からの需要も高まっています。

原価計算初級 サンプル問題

※本サンプル問題の著作権は、日本商工会議所に帰属します。また、本サンプル問題の無断転載、無断営利利用を厳禁します。本サンプル問題の内容や解答等に関するお問い合わせは、受け付けておりませんので、ご了承ください。

Q6 おススメの学習方法を教えてください。

日商簿記の3級と簿記初級・原価計算初級には日本商工会議所公認の教材がありますが、それ以外にも出版社や教育機関が独自に作成した書籍や通信教育、eラーニングなどもあります。自分に合ったものを利用して学習を進めていただければ幸いです。

また、各地の商工会議所の中には、検定試験に関連する講座やセミナーを開催しているところがあります。
検定試験の受験対策講座を開設している学校などもあり、これらの中には厚生労働省の教育訓練給付金等の支給対象になっている講座もあるので自分に合ったものをお選びいただければと思います。詳細はHPにてご確認ください。


いかがでしたでしょうか。
経理・財務担当者や個人事業主、株式投資を行っている人は、簿記や会計の基礎知識が必要ですが、それ以外の人も持っていたら必ず役に立つ知識であることが分かっていただけたかと思います。

技術職・営業職・事務職・管理系職に就いている方は、ぜひこの機会に複式簿記を学び、勤務先で製造・販売・提供している商品・サービスの利益構造や会社の売上げ、管理費の割合を知った上で業務を行ってみてください。 

それぞれの業務がこれまでとは違って見えたり、事業の進め方や取り組み方を見直すことができたりするのではないでしょうか。

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