ハーバードで学ぶ五十嵐カノアの時間術。多忙でも1日4時間勉強するには?【気になるあの人を深堀り】
インタビュー #気になるあの人を深堀り この記事をあとで読む
【気になるあの人を深堀り~五十嵐 カノア編~】
パリ五輪出場権を獲得する一方で、ハーバード大学の経営大学院であるハーバードビジネススクールで勉学にも励むプロサーファーの五十嵐 カノア選手。アスリートとビジネススクール生という二刀流を叶えるカノア選手の考え方や習慣を探る。
ハードなアスリート生活を送りながらもハーバードビジネススクール生として学びの歩みを続ける五十嵐 カノアさん。
学びに対する考えや、時間の使い方についてインタビューした。
お話を伺ったのは……
この記事の連載
第1回【多忙でも1日4時間勉強する時間術】……今回はコチラ
第2回【5カ国語習得の秘訣】……公開中
第3回【時間を無駄にしない秘訣とは】……公開中
第4回【カノア流プレッシャー克服術】……公開中
第5回【オリンピアン&ハーバード学生の朝食】……公開中
幼い頃に確立された学びの姿勢
「子どもの頃から、母には『一番大切なのは勉強、その次がサーフィン』と言われてきていて。僕自身、学ぶことがすごく好きだったんです」(五十嵐 カノアさん。以下同)。
飛び級し、17歳で高校を卒業。大学には進学せず、すぐにプロサーファーとして、世界を転戦してきた。だが、サーフィン漬けの日々から一転、パリ五輪の代表争いが本格化する2023年の5月、合格率11パーセントともいわれる世界最難関校に合格し、9月からビジネススクール生活をスタートさせた。
「子どもの頃からビジネスに興味があったんです。
ただ、学校を卒業してからは、サーフィンだけにフォーカスしていたので、最初は競技生活と勉学を両立できるのか不安に感じることも。
でも両親から、『机に向かっていなくても、生きているだけで毎日自然に学んでいることがある。だから、勉強することから離れているように感じるかもしれないけれど、学びの姿勢は忘れてないはずだよ』と言われ、自信がつきました。
それで、どうせ勉強をするのであれば、トップの学校で勉強したいという気持ちになったんです。
ハーバードビジネススクールの教授陣にアスリートとしてのシチュエーションを説明し、競技も大切だけど、それでも勉強をしたい旨を伝えたところ、プログラムに入れてもらうことができて。貴重なチャンスをもらえたので、絶対に逃したくないと入学を決めました」。
ハーバードビジネススクールでの勉強方法とは?
3カ月に1度の試験に向けて勉強を日々進め、週1度オンラインで行われる教授とのミーティングで、方向性を確認&修正していく、というのが、ハーバードビジネススクールのカリキュラムのスタイルだという。
「9月に入学してすぐに勉強がスタートしました。
2年のコースで終わらせるのが目標なので、卒業するためにはとにかく必死に勉強をしなくてはいけない。
厳しいことですけれど、同時にとても面白いので、勉強が大変だとは思っていないですね」。
カノア選手の無駄なきスケジュールとは?
トップアスリートと、世界トップの学術機関での勉強。どちらかひとつでも大変なことを、カノア選手はどう両立しているのか。
「オンの日は、朝は6時半に起床して、朝食を食べたら17時半まではサーフィンやトレーニングをしています。
18時に帰宅したら、20時の夕食までは勉強。食事後は、また寝るまで勉強して、22時半には寝ています。
サーフィンの練習は、9時間は確保できるので十分。勉強も4時間程できて、睡眠時間も8時間は確保できています。
1日4時間の勉強時間で大丈夫なのかな、と思っていたけど、集中すれば4時間でも全然OK!
この生活をスタートする前は、時間が足りないかなと思っていたけれど、やり始めたら工夫次第で、思うようにタイムスケジュールが組めることを学びました。
自分に合うスケジュールが決まれば、あとは実行するのみ!
オフの日は、食事以外はほぼずっと勉強をしていますが、皆さんも学生時代は学校で1日中勉強に取り組んでいたワケですから、思っているより大変ではないと思いますよ(笑)」。
ハミガキタイムも活用するのがカノア流時間術!
隙のないスケジュールをこなすのは大変そうだが、時間を有効に使うため、日常生活の何気ない時間もカノア選手にとってはインプットの時間となっているのだそう。
本を読みながら歯を磨き、気付けば没頭して、10分以上歯を磨いていることもあるとカノア選手は笑う。
そしてサーフィン中は、良い波が来るのを待つ間も、考えを巡らせているという。
「2時間海に入っていても、波の上に立っている時間は多分2分もないと思います。
なので、波待ち中は勉強のアイデアを考えていることもあるし、全然関係のない夕食の内容を考えていることもあります(笑)。
思考はあちこちに飛んでいるけれど、良い波が来たら、パッとモードを切り替えて、真剣に波に乗る。沖に戻ったら、また勉強のことを考える。このメリハリ感も僕にとっては楽しいですね」。
この連載の次の記事:
5カ国語習得の秘訣とは?天才サーファー・五十嵐カノアに聞いた
この世で唯一、人間に平等に与えられているのが「時間」。
だからこそ有限な時間をどのようにマネジメントするかがとても大切となる。カノア選手のように上手に切り替えるクセをつけられるよう、自分の生活スタイルを見直してみるのも手だ。
この記事の連載
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撮影=佐野 美樹
取材・文=林田 順子