緊張は武器になる。プロバスケ選手・西田公陽選手と考える「自分だけの勝ちパターン」【直筆サイン入りポラプレゼントあり】
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過去の成功体験が、新しい環境でもそのまま通用するとは限らない。高校、大学で輝かしい実績を残してきた選手であっても、プロの厚い壁に直面することは珍しくないものだ。
Bリーグの強豪・シーホース三河(以下、三河)に所属する西田 公陽選手(以下、西田選手)もその壁と向き合ってきた1人。学生時代から全国大会などの大舞台で活躍してきたが、プロの世界ではコンディション調整や出場機会の確保に苦戦。もどかしい日々も経験した。
プロ2年目、今も現在進行形で壁に立ち向かう西田選手は、自らをアップデートさせるための大きな決断を下す。シーズン途中にB2リーグの熊本ヴォルターズへの期限付き移籍し、さらなる実戦経験と成長を求めたのだ。
目の前の課題から逃げずに真摯に向き合い、自分の限界を超えるために試行錯誤する彼の姿は、目標に向かって学びを続ける私たちにとっても、確かなヒントになるだろう。
【トップアスリートに学ぶ「強さ」の理由|プロバスケ選手編】
制限時間の中で最適解を導く「判断力」。 技術が無意識に出るまで反復する「継続力」。 そして、プレッシャーの中で結果を出す「実践力」。プロバスケ選手が日々磨いているこれらのスキルは、資格取得やスキルアップを目指す“まなびビト”も共通して獲得したい重要な要素だ。トップアスリートのアプローチからその極意を学ぶ。
「上手くいったときの感覚」を再現できるトリガーを探す
「プロ1年目は体重が落ちてしまい、ベストな状態を保てなかったのが課題でした」(西田選手。以下同)。そこでプロ2年目の今シーズンは、栄養士の助言を仰ぎながら、細やかな「数字」による管理を取り入れた。
「僕は汗をかきやすく、すぐに脱水状態になってしまうんです。そこで、『練習前後で体重が何%減るとパフォーマンスが落ちるか』を把握し、そのラインを超えないよう計画的に水分を摂るように。この管理を徹底してから、ハードな練習でも疲れにくくなり、体重の波もほとんどなくなりました」。
中学、高校、大学と、全国大会で活躍してきた西田選手には、自分なりの「勝ちパターン」があったはずだ。しかし、プロの高い壁を越えるために、彼はあえて過去のやり方に固執せず、客観的なデータを取り入れることで新しい基準をつくり上げた。
自分のコンディションを、あやふやな感覚ではなく「数字」で捉え直す。この徹底した「自己データ化」は、日々机に向かう学びビトにとっても、現状を打破する強力な武器になるはずだ。
とはいえ、すべてを数字で管理するわけではないという。数あるアプローチの中から自分に合うものを選ぶ際、西田選手が大切にしているのは「上手くいったときの感覚を再現できるか」という点だ。
試合開始の3時間前にうどんを食べる「験担ぎ」もその1つ。
「たまたま、うどんを食べて試合に行った日、コンディションが良くて活躍できたんです。それ以来ずっと、会場入りする前にはうどんを食べるようにしています」。
厳密なルーティンで自分を縛るのではなく、良いプレーができた日を振り返り、そのトリガーになったであろう状況をなぞることで、本番への自信を高めているそうだ。
「昨日のミス」を許し、1%の成長を信じる
体調が万全でも、メンタル面が不安定では力を発揮できない。西田選手もプロの世界でなかなか出場機会に恵まれず、落ち込む時期があったという。
実力のある先輩方がいる中で、なかなか出場の機会がない。「チャンスをもらっても、納得いくプレーができないとすぐに落ち込んでしまって……。そうすると迷いがでて、消極的になり、またミスをする。結果、出場機会がさらに減るという負のループに陥っていました」。
そんな苦しい状況から、西田選手はなぜ気持ちを切り替えられるようになったのだろう。それは原点ともいえる、ある言葉を思い出したからだという。
「負けるが勝ちだわさ」
これは母校・東海大学の恩師、陸川 章氏がよく口にしていた言葉。「負けは次に繋がるのだから、ある意味勝ちなんだ」という意味が込められている。
裏を返せば、それは「目先の結果に一喜一憂するな」という教えとも言えるだろう。 だから、負けても下を向かず、逆に勝っても天狗にならず、常に先を見据える。
すべての経験は自分を成長させるために。この考え方は、三河を率いる、ライアン・リッチマンHCが掲げる「できるだけ感情の波の小さいチームを目指す。経験から学び、1日1%の成長をする」という信条にも通じるものがある。
「ミスをしても、次の日には忘れる。経験を積んでいけば、必ず自分は目指す場所にたどりつける」。
大切なのは、ミスを悔やむことではなく、そこから何を明日に繋げるか。昨日の自分よりも1%前に進む。その積み重ねだけが、目的の場所へと運んでくれるのだろう。
緊張が「自分の武器」を教えてくれる
日々の練習でどれだけ準備をととのえたとしても、本番の緊張をゼロにすることは難しい。大事な場面でプレッシャーを感じるのは、トップアスリートも同じだ。
西田選手も、「以前は『緊張しなくなるまで練習すれば大丈夫』だと思っていました。でも、どれだけ練習を重ねても、いざ試合になればやっぱり緊張してしまうんです」と、その難しさを認めている。
緊張はなくならない。ならば、どうするか。
西田選手の場合、緊張を消そうとするのではなく、受け入れた上で「緊張していてもできることは何か」に意識を向けた。
「僕の場合は、それがディフェンスでした。シュートはどうしても波がありますが、ディフェンスは緊張していてもエナジーをだすことができる部分。まずはそこで1ついいプレーができれば、落ち着けるし、そこからリズムに乗っていける。
要するに、緊張していてもできること=『自分の得意なこと』なんです。自分の強みさえ見失わなければ、恐れることはない。むしろ緊張したことで、自分のやるべきことが明確になりました」。
この思考法は、試験や資格勉強にも通じるはず。
頭が真っ白になるほど緊張したときこそ、絶対に間違えない問題や得意な分野から手をつけてみる。「これならできる」という確かな手応えが、心の焦りを鎮めてくれるはずだ。
万事を尽くしたという納得感が、明日をつくる
万全の準備で臨んでも、自分の力ではどうすることもできないアクシデントが起こり得る。西田選手にとって、それは大学生活の集大成となる4年生のインカレで訪れた。
準決勝終盤、リバウンド争いで右足首を捻挫。チームは勝利したものの、その試合で彼が再びコートに戻ることはなかった。
「絶対に治して、明日の決勝に出る」。その一心で、トレーナーと共に必死の治療を続けた。しかし、翌朝になっても足は内出血でパンパンに腫れ上がり、バッシュを履くことさえできない。
「無理だな、と悟りました。なかなか気持ちの整理がつかず、監督の部屋に『決勝は出られません』と言いに行くまでには相当時間がかかりました。あの決断は、これまでの人生で一番辛かったです」。
それでも、「できうる限りの治療を尽くした。これだけやってダメなら仕方がない」と前を向けた。ベンチから全力でチームメイトを支えたが、残念ながら敗戦。
「正直、今も決勝の映像を見返すことができないくらい悔しいです。でも、あの4年間積み上げてきた日々が間違いではないからこそ、今の自分がある。プロになれたのだと思っています」。
「負けるが勝ちだわさ」。その言葉を胸に、今日も西田選手は1%の成長を目指して、全力で取り組んでいる。
プロアスリートの世界も、試験も、結果がすべて。しかし、たとえ望んだ結果に届かなくとも、「今しうる最善を尽くした」という事実は消えない。その納得感がもたらす自信こそが、次のステージへ進むための最大の武器になるはずだ。
真剣に取り組んでいるからこそ、悩み、落ち込む。西田選手の等身大の悩みや、それに立ち向かう誠実な姿勢は、すべての挑戦者が通る道でもある。
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撮影=小松 顕一郎
文=山田 智子












