得意先の相談に答えられない……。悩める営業担当がフードコーディネーター資格で提案のスペシャリストに
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アサヒビール株式会社で飲食店向けの営業を行う阪上 伸太郎さんは、営業力に磨きをかけるため、30歳でフードコーディネーターの3級を取得。
後に1級を取得したことで、営業のブレインともいえるMD(マーチャンダイザー)に抜擢された実績の持ち主です。
今回は、フードコーディネーターの資格が自身のキャリアやブランディングに与えた影響について語ってもらいました。
お話を伺ったのは……
ダメダメだった新卒時代。資格取得のきっかけは、得意先とのある会話から
―――今の会社ではどんなお仕事をされてきたのですか?
もともと食全般に興味があって、2000年に新卒で入社して営業職に配属されました。営業の仕事は大きく2つに分かれています。1つはスーパーやコンビニ向け、もう1つが飲食店向けに物品を売るというものです。
私は後者で、飲食店にビールを販売する営業をしていました。得意先とコミュニケーションを取る中で、「何か売り上げ増大を図る方法はないか」と相談されることも多くなっていたんです。
実はこのとき、的を射た回答ができず……。まだ経験が浅いというのもありましたが、それ以上に飲食店のことを全く知らないのだということを痛感しました。
―――営業の壁にぶつかったのですね。
その通りです。一口に営業担当者と言っても、いろいろなタイプがいますよね。
お客様と仲良くなるのが上手いとか、誰よりも商品のことを詳しく知っているとか。
でも私が考える優秀な営業担当者は、得意先に役立つ情報や、問題解決の糸口を提示できる人物。当時の自分がそうだったかというと、決してそんなことはなく(笑)。
そこで、「飲食店のことを勉強しなければ!」と思って見つけたのが、フードコーディネーターの資格です。
―――フードコーディネーターの資格を目指すにあたり、どのようなことを期待していましたか?
なにより飲食店の経営に関することを、総合的に広く学べるという点に魅力を感じました。
また、飲食店に関わる営業経験で得たものを、客観的にアピールできる資格が欲しかったということもあります。
まずは入門レベルにあたる3級にチャレンジして知識を磨き、後に1級まで取得しました。
その後、念願だった現在の部署へ配属が決まったのは、「外食産業のことをよく理解している」という客観的な評価を受けることができたからだと思います。
当時、会社の営業担当者は1000人以上いましたが、現在の業務であるMDは全国で20人ほどしかいませんでした。フードコーディネータの資格取得が、私のキャリアにおける大きなターニングポイントとなったんです。
目指したのは"コンサルタント"。営業担当の枠を超えて飲食店を支える日々
―――MDのお仕事について教えてください。
営業の現場って、ありとあらゆる相談をもちかけられるんですね。
例えば、「2号店を出したいから物件を紹介してほしい」とか、「人材不足を解消するにはどうしたらいいか」、「効果的なリブランディングの方法を知りたい」など。それらを現場だけで受け止めるのは至難の業です。
そこで私たちMDが売り上げデータなどから課題を見つけ出し、立地や顧客動向などを多角的に分析して、営業担当者をサポートしています。
―――フードコーディネーターの資格は、どのように仕事に活きていますか?
業務に最低限必要な食の知識や、企画書の書き方などは、勉強したことがそのまま役立っていると思います。
また、フードコーディネーターという肩書きをもつことで、自分自身のブランディングにもつながりました。
名刺にもこの肩書きを入れていますので、「これ、何の資格?」と会話が盛り上がることも少なくありません。
資格を取ったことで出会えた人たちとの交流も、私にとっては大変価値があるものです。
日本フードコーディネーター協会で知り合った会員や理事の先生方に相談をしたり、仕事を一緒にしたりすることが過去に何度もありました。
例えば以前、飲食店の新メニュー開発を行うときに、商品開発分野の資格を持つ仲間に依頼して、レシピを開発してもらったというようなことも。
―――「知識」と「信頼」と「人脈」を得た、と。
競合ひしめく業界において、うちの会社を選んでもらうためには、やはり付加価値がないといけません。営業担当者のコンサルティング力はその付加価値の1つになり得ると考えています。
実は私、ソムリエの資格ももっているんです。学ぶ内容こそ違えど、お客様のニーズを汲み取って良いものを提案するという目的は共通しているかもしれません。
結局、営業担当者の枠を超えて私が目指したのは、“一流のコンサルタント”だったんです。
今では相手がどんなことを求めているのか、会話だけでなくデータからも読み解き、あらゆる課題に応じた提案を行いながら、一緒に解決しています。
片道40分の通勤時間で勉強。続けられたのは学ぶ楽しさがあったから
―――勉強はどのように進めていましたか?
一番勉強したのは3級の試験のときですね。ずっと外食向けの営業ばかりしていたので、それ以外のことは何も知らなかったんですよ。
食の世界って広いじゃないですか。フレンチの調理方法からテーブルコーディネート、経理関係の知識まで、勉強用のテキストには、聞いたことのない話がたくさん載っています。それだけに、豊富な情報を吸収できて、一番楽しい時間でしたね。
余談ですが、『美味しんぼ』という漫画で得た知識も1〜2割程度、試験に出てきました (笑)。
―――お仕事をしながら勉強をするのは、さぞ大変だったのでは……?
平日は片道40分の通勤時間を勉強に充てていました。テキストの重要なところに線を引きながら、何度も読み返したりして。土日もテキストだけをひたすら読み込み、それをだいたい2〜3カ月やり通しました。
でも、教材のテキストがよくまとめられていて、読み物として面白かったので、そんなに大変ということもなかったんですよ。
食の情報は仕事だけではなく、家庭にも外食にも関わることなので、勉強したことがすぐに生活の中で見出せるという魅力もありました。
―――2級・1級の試験では、3つの専門分野のうち「レストランプロデュース」を選択したんですよね。
いわゆる飲食業に関わる企業というのは、自社の商品を売るだけではなく、得意先の現状の課題を把握して、自社の製品でその得意先の課題を解決できるかが求められています。
一方、レストランは美味しいものを提供すれば流行るということはなかなかなくて、立地や顧客まわり、メニュー、広告、経理、厨房、従業員満足度など、総合的な要素が成功の鍵を握るわけです。
そういった意味で、相手の状況を理解して課題を見つけるレストランプロデュースという分野は、私の仕事に直結していました。
資格の普及活動からITの勉強まで。すべては飲食業界を盛り上げるために
―――フードコーディネーターの資格をおススメしたいと思うのはどんな人ですか?
一番は若い世代ですね。管理職に就いてからは、部下にも試験を受けるよう促しています。
食の知識が網羅できますし、その知識はずっと使えるもの。自分が関心を持った領域で、いろいろな可能性がひらけてくるはずです。
また飲食業界は流行に大きく左右されますが、フードコーディネーターの知識はその基礎になります。早いうちに勉強して、広い視点を得た上でトレンドや新しい知識に触れていってほしいですね。
企業に属している人なら、自分のスキルを客観的に示す材料になります。2級からは3つの分野に分かれるので、それぞれのスキルが活かせる分野から資格を目指すのがおススメ。
―――阪上さんの実体験をもとに資格を勧められると、説得力がありますね!
確かに私自身、資格でキャリアを拓くことができましたが、そもそも日本の雇用システム自体がだんだんジョブ型になっていると感じています。これからは従来のようなメンバーシップ型から、スキルや資格ありきの時代がやってくるはずです。
そうなってくると、「希望の職につきたいならこの資格をもっていないとダメだよ」とか、「このスキルがないといけないよ」みたいなことが一般的になってきますよね。
そのとき、飲食業界ではフードコーディネーターの資格の価値が今よりもっと高まっているはずです。
―――では、阪上さんが今狙っている資格があれば教えてください。
「基本情報技術者試験」など、情報分野の資格や勉強を急いでいます。今後の外食産業を考えると、フードテックや飲食店のDX化など、人手不足を起因としたニーズが急速的に広がることが予想されるからです。
外食産業もデジタル化によって、売り上げ利益とサービスやおもてなしの力の両立が可能ですし、改善領域は大変広く、大きな効果をもたらすと思います。
私もデジタルを活用することで、飲食業界がもっと良くなることに貢献していきたいですね。
フードコーディネーターの資格を取得することで、コンサル力を営業の武器としてキャリアを築いた阪上さん。
資格を取る過程にも多くの学びがある、とお話しされていたのが印象的でした。
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文=倉持佑次