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フードコーディネーター資格でSNS時代のプロモーションを学ぶ。食の業界で活躍できるおススメ資格

インタビュー #PROMOTION

フードコーディネーター資格でSNS時代のプロモーションを学ぶ。食の業界で活躍できるおススメ資格

フードコーディネーターとは?

~新しい食の「ブランド」「トレンド」を創る~
食の「開発」「演出」「運営」のクリエーターです


日本フードコーディネーター協会では、フードコーディネーターを、『新しい食の「ブランド」「トレンド」を創る 食の「開発」「演出」「運営」のクリエーター』と定義しています。
実際、フードコーディネーターの資格試験に合格した方の多くは、「食の開発」「食の演出」「食の運営」いずれかの分野に携わっています。また、さまざまな分野のスペシャリストと連携・協力し、新たな食生活・食ビジネスの創造・改善を提案する「食のトータルクリエーター」として活躍している方も多数います。
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お話を聞いたのはこの方

中出真理子さん
フードコーディネーター2級資格を取得後、フードコーディネートから写真撮影までを自身で手掛ける「テーブルフォトスタイリスト」として活躍。学校・講座での講師、食品メーカーの商品撮影をはじめ、2015年ミラノ万博での展示に参加するほか、フードコーディネーター公式テキストの執筆にも携わる。
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きっかけは赤字のパン教室。空間演出で「食」はもっと楽しめる。

―――フードコーディネーターを目指したきっかけを教えてください。

1999年から大阪の自宅でパン教室を開いていたのですが、経営は赤字続き。自分に何が足りないのかを考えたときに、肩書になる資格を取得してみようと思い至りました。

その頃、漠然と想っていたのは「パンの作り方を単に教えるだけではなく、テーブルという食空間の演出を通じて美味しく食べる工夫まで教えることができたらいいな」ということ。

そこでまず取り掛かったのが、テーブルコーディネートの勉強です。

―――フードコーディネートの前にテーブルコーディネートを勉強されたんですね。 そもそもテーブルコーディネートとフードコーディネートの違いって何なのでしょうか?

テーブルコーディネートというと、テーブルの上の食器やカトラリーを美しく整えることが思い浮かぶかもしれませんが、「食空間」はテーブルの上の美しさだけでは完結しないんです。

例えば、料理自体の調理方法を知らないと「サクサクした感じに見せたいか」「しっとりした感じに見せたいか」といった「美味しさの表現」の方向性が定まりません。

さらに、色彩や照明なども人間の「美味しそう」という感覚に訴えかける大きな要素になります。

こういった「食空間」全体を考慮して料理を扱うのがフードコーディネートです。

勉強を進めるうち、テーブルコーディネートはフードコーディネートの中の一部であることに気付き、フードコーディネーターの資格取得を目指して勉強するようになりました。

―――フードコーディネーターの資格を取得したことでパン教室の経営に良い影響はありましたか?

それが…、資格を取得してもパン教室の生徒さんは増えず、結局はパン教室をやめることに。

一方で、ありがたいことに資格取得や周りの方とのご縁をきっかけとして、フードコーディネーターのアシスタント業務や、短大・専門学校の非常勤講師の仕事はどんどん増えていったんです。

当時は、料理をスタイリングしながら「この料理をどう見せたら魅力的なのか」「お客様やクライアントは何を求めているのか」を無我夢中で模索する毎日でした。

―――写真について勉強されたのもこの頃ですか?

はい。フード撮影の現場では、フードコーディネーターがカメラマンから指示を受けて、スタイリングを調整しながら撮影していきます。

ただ、スタイリングされた実物の料理とファインダー越しの料理では全く異なるため、常にもどかしさを感じていました。

そこで「フードコーディネートだけでなく撮影も自分の手で!」と思い立ち、写真の勉強を始めたのが「テーブルフォトスタイリスト」としての第1歩です。

▲フード専門のカメラマンさんに師事して撮影スキルを習得したのだとか。

―――スタイリングも撮影もご自分でされると。すごいですね。

世の中全体の流れとしても、ただ何かを作るだけではなく「自分で発信する力」「自分でプロモーションする力」が求められるようになってきていると思うんです。

もちろん、プロのカメラマンが撮影した写真は素晴らしいのですが、作り手や発信者の伝えたいメッセージが見えてこないと、どんなにきれいな写真も台無しになってしまいます。

SNSでの情報発信が当たり前のことになっている今の時代で、作り手・発信者の視点からリアルでこまめな情報発信を行おうと思うなら、なおさら写真撮影のスキルはニーズが高いのではないでしょうか。

 

フードコーディネーターの勉強で広がった「食」の世界

―――フードコーディネーターの資格取得についても聞かせてください。 試験勉強はどのように進めましたか?

フードコーディネーターの資格は3級から受験して、合格したら2級の受験資格を、2級合格で1級の受験資格を得られる…というように受験の条件が定められています。

私もまずは3級の合格を目指して、おおよそ半年くらいかけて勉強しました。

基本的に3級は「テキストを一生懸命読み込む」これに尽きると思いますが、食の分野を志す方なら興味をそそられる内容ばかりなのではないでしょうか。

―――テキストの中で特に興味深かった点や面白かった内容はありますか?

私としては、食のビジネスについても解説されていたのが面白くて。

お店の経営や運営費用の話題に触れたことで、食の分野にもいろいろな仕事があり、食のビジネスが成り立つには経済の面からの知識も必要だということに改めて気付かされました。

―――食のビジネスというとなんだか難しそうな響きですが…。

食のビジネスは意外と身近なトピックなんです。

例えば飲食店に行ったとき、「こういうメニューだからこの価格にしているんだな」など、価格設定のカラクリが分かって嬉しくなったり、強気な価格設定に気付いて「私、まんまとこの商品を買わされていたんだ」とがっかりしたり…(笑)

知識を身に付けるだけではなく、知識と自分の体験が結びついていくのが楽しくて、もっとフードコーディネートを学びたいと思い、2級の合格も目指していきました。

―――3級と比べて2級の難易度はいかがでしたか?

難易度は確かに上がりますが、2級1次試験(※2次試験は講座受講後課題提出)の出題内容は3級の知識をもっと詳しく煮詰めたようなイメージでした。

合格率としては3級が88%くらいで、2級の1次試験が82%ほどのようです。

また、2級からは「商品開発」「イベント・メディア※2023年度よりフードプロモーションに変更」「レストランプロデュース」の3つの専門分野の中から1つを選んで受験をします。

私は「商品開発」を選択して合格したのですが、結局「食」に関わっているとどんな知識もどこかでつながっていると実感しました。勉強を進めれば進めるほど「あれもこれも知りたい!」という想いに駆られてしまうんです。

結局その後、「イベント・メディア」の分野も受験して合格しました。

―――学びに積極的な中出さんらしいエピソードですね! 2級もテキスト中心の勉強をされたんですか?

テキストでの勉強以外では、フードコーディネーター協会主催の対策講座も受講しました。

2級はとにかく出題範囲が広くて、覚えることがたくさんあるんです。食材から調理法、栄養や経済・経営など、どれも深い知識が問われます。

一生懸命勉強しても「これはどこを重点的に勉強したらよいのか」と不安に思うことがあったのですが、対策講座ではテキストの中でも重要な点をわかりやすく教えてもらえました。

それをもとに周辺知識を自分で勉強したり、関連書籍を読んでみたりと、知識や興味が立体的に広がるきっかけにもなったと思います。

 

SNSはプロモーションの肝!食と写真の知識が仕事の大きな強みに

―――最近はどんなお仕事をされているんですか?

最近はテーブルフォトスタイリストとして、フード写真のコーディネートや撮影を中心に写真の講座を定期的に開催しているほか、短大や専門学校での講師業も引き続き行っています。

▲大阪成蹊短期大学での授業風景。

実は、中断していたパン教室も2015年に再開したんです。

フードコーディネートの経験と写真のノウハウを活かして集客をしたところ、今度はお申し込みがどんどん入って、諦めていた夢が長い時を経て叶ったと感じました。

―――長年の夢を実現されたんですね! 今はテーブルフォトスタイリストとしての活動とパン教室の運営を並行しているんでしょうか?

実は、教室を再開して少し経った頃に「撮影の講座は開いていないんですか?」とお問い合わせがあり、お話を聞いてみるとアクセサリー作家さんとして作品の撮影方法を学びたいとのことでした。

それを聞いたとき、過去の私もそうだったように多くの方が商品の見せ方やプロモーションの方法が分からなくて悩んでいると気付いたんです。

このことをきっかけに、パン教室から写真教室に転向しようと決心しました。

―――なるほど! 写真教室ではどんな方が学ばれているんですか?

食品メーカーや食器メーカーのSNSを担当をしている方が多く、あとは調理学校のアシスタントさんや料理教室・お菓子教室の先生などです。

どなたも最初は写真の撮り方を学びたいと教室に参加されるのですが、根底には「思い入れのある商品をどのようにプロモーションしたらお客様の共感を得られるのか分からない」という課題を抱えていました。

そもそもSNSは誰かの発信に共感していいねを押したり、「この人面白そうだな」、「この商品をもっと知りたいな」という興味からファンが増えていくもの。美しいだけではなくアピールポイントやメッセージが伝わる写真でなければなりません。

教室では、写真の撮り方だけではなくて「どんなメッセージを伝えたいのか」というプロモーションの視点も含めて写真を「作り上げていく」方法をお伝えしています。

▲どんなにおしゃれな写真でも、フォークとナイフの向きやご飯と汁物の位置など基本的なことをしっかり守るのが中出さん流。

―――確かに、食を含むさまざまな分野でSNSの発信がプロモーションの一手段になっていますし、写真を「作り上げる」スキルはニーズが高そうですね!

はい。SNSの普及や働き方の多様化を受けて、食のプロモーションのあり方は刻々と変化しています。

これまでは「プロモーション=企業のイベント開催やメディア露出」という狭い範囲で考えられていたのが、今では個人で食ビジネスを行う方や飲食店、趣味として料理を楽しむ方にまで裾野を広げています。

そこでフードコーディネーターの資格も、より多くの方に食のプロモーションを意識してほしいという想いで、2級試験の選択科目「イベント・メディア」を「フードプロモーション」に変更することとなりました。

これにあたり、私も新しいテキストの執筆に参加しているんです。

私の執筆箇所では、料理をどのように写真に収めるのか、SNSにはどのように載せるのかなど、一連の発信ノウハウをまとめているほか、最近流行している料理動画の撮影方法についてもお伝えしています。

▲「器一つをとっても写真の印象はガラッと変わるんです」と中出さん。

―――料理動画は最近SNSやWeb上でよく見かけますが、テキストでそこまで学べるのは驚きです。

コロナ禍を受け、外食中心の生活から家で食事を作って食べるライフスタイルに移行した方も多いですよね。それを受けて、料理動画は一気にWeb上の人気コンテンツになりました。

文字で見るレシピよりも調理の過程やできあがりのイメージがつきやすく、日々の料理で活用している方も多いのではないでしょうか。

人気のある料理動画は、クリックしたくなるようなタイトルであったり、冒頭の3秒で見る人を引き付ける作りになっていたりと細かい工夫が凝らされています。

動画作成というと感覚やセンスが重要だと思われがちですが、「見たくなる料理動画」の法則はしっかりと存在するんです。

この法則をぜひテキストで学んでいただきたいと思って執筆しました。

 

幸せの根源は食にあり。フードコーディネーター取得のススメ

―――ここまでお話を伺って、中出さんがフードコーディネーターの知識を活かしてどんどん新しいフィールドを開拓しながら活躍されていると強く感じました。最後に、中出さんにとって「食」とは何でしょうか?

これまでさまざまな形で食に関わる仕事をしてきて「常に食が私を新しい世界に連れて行ってくれた」と感じています。

とはいえ、食の分野はコロナ禍で飲食店が影響を受けたり、デリバリーが発達したり、はたまた先程も話題に上がったように料理動画の人気が高まったり…。

人々の生活に密着している分、良くも悪くも社会情勢やトレンドに大きく左右される分野でもありますよね。

そういった変化の激しい環境の中でも、基本的な知識と食への探求心さえあれば時代の流れに柔軟に対応できるのではないでしょうか。私にとってその礎となったのがフードコーディネーターの資格でした。

「食は幸せの根源」。食べることは生きることで、最も基本的な幸せの形だと思うんです。

フードコーディネーターはそんな「食べる幸せ」を多くの人に伝えるためのノウハウを分かりやすく学ぶことができる資格なので、ぜひ食に関わる多くの方にチャレンジしていただきたいです。

フードコーディネーター資格 試験情報


文・撮影=「日本の資格・検定」編集部
写真提供(フード)=中出真理子

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