資格って、本当に必要?調査で見えた資格取得の実態【まなびインサイト】
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【まなびインサイト】
学びに関するアンケート調査やデータをもとに、世代やライフスタイルごとの特徴を分析し、“いま”の学びの姿を明らかにしていく連載です。資格やスキルアップのトレンドから、学びを取り巻く社会の変化まで、多角的にひも解きます。
資格取得は、就職や転職、キャリア形成において重要な要素とされてきました。近年では「自己研鑽」や「選択肢の拡大」といった目的で資格に取り組む人も増えており、その存在意義は大きく変化しつつあります。
では、現在どれほどの人が資格を取得しているのでしょうか。
調査期間:2025/06/01~06/30
調査方法:インターネット調査
調査対象:10~60代の男女
有効回答数:1,911
思った以上に多い! 8割の人が資格取得経験者
今回実施した10~60代まで、男女1,911名へのアンケート調査では、82.9%の人が何らかの資格を持っている(「普通自動車第一種免許」を除く)ということが判明。あなたの周りにいる10人中8人以上が、何らかの資格を持っているという結果に。
資格取得が注目される3つの時代背景
アンケート結果から、次のような時代背景が浮かび上がりました。
1. リスキリング革命の到来:政府や企業が本気で「学び直し」を推進している昨今。支援制度が劇的に充実し、学習を後押し。
2. デジタル学習の爆発的普及:スマホで資格勉強ができる時代。通勤時間や昼休み中にも気軽に取り組むことができるようになり、勉強のハードルが低下。
3. 転職・副業の活発化:働き方が多様化する中、転職や副業で自分をアピールする手段として資格の価値が上昇。「証明できるスキル」が、新しいチャンスを掴むための武器に。
これらの背景から見えてくるのは、資格の役割が大きく変わったということ。資格はもはや履歴書を"埋める"ためのカタチだけのものではなくなり、日常的なスキルアップの手段として完全に定着していることがわかります。
ビジネス環境の変化が早い現代を生き抜くためには、学び続けることが不可欠。資格は学ぶためのモチベーション機会を提供してくれるものになっているのでしょう。
男女差はわずか、男性の方がやや高い
男女別に資格取得の有無を見てみると、男性の資格取得率が84.5%となり、女性の81.8%をわずかに上回りました。ただし、この差はごく小さく、資格取得率を決定づけているのは性別そのものではなく、むしろ職業や働き方の違いだと考えられます。
資格を保有している女性の多くは医療・福祉・教育といった「資格が必須」あるいは「資格が有効に働く」分野に従事しています。さらに、出産や育児などでキャリアが中断した場合でも、資格を持っていることで復職や再就職が比較的スムーズになるため、資格を取得・保持する動機が強い傾向に。
一方で、男性は技術職や営業職に従事している割合が高く、この職種では資格よりも実務経験や成果が重視される文化が残っていることもあって、資格取得率はやや低めに。しかし、国家資格や業務独占資格といった「取得によって強い効力を発揮する資格」をもつ資格を持つ男性が、女性に比べて多く、それが全体の取得率を押し上げる要因となっているようです。
こうした異なる背景が作用した結果、最終的に男女の資格取得率はほぼ同水準に近づき、男性がわずかに上回るという結果に。
今回の調査結果から見えてきたのは、資格取得が「特別な挑戦」から「日常的な自己投資」へと変化しているという点です。
デジタル学習の普及により学習のハードルは大きく下がり、通勤時間や休憩時間といった「スキマ時間」を活用して学び続けることが容易になりました。その結果、学びが生活の一部として自然に溶け込みやすくなっています。
さらに、転職や副業といった働き方の多様化も後押しとなり、自分のスキルを客観的に証明する手段として資格を意識する人が増えていることが分かりました。
継続的な学びが求められる現代において、その成果を可視化できる方法の1つとして、資格取得に取り組む人は今後さらに増えていくのではないでしょうか。