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資格取得支援制度を全面改訂!サンケイビルが見据える人財育成のこれからとは?

インタビュー

資格取得支援制度を全面改訂!サンケイビルが見据える人財育成のこれからとは?
この企画では、「日本の資格・検定」編集部が社内の教育制度に資格・検定を活用している企業・団体にインタビューします。
今回は、フジ・メディア・ホールディングスの内の1社であり、都市開発・観光事業を中心とした幅広いビジネスを展開する株式会社サンケイビル(以下、サンケイビル)を直撃!
2021年度から新しくなった資格取得支援制度や、特に注力しているという宅地建物取引士(宅建士)の取得支援について人事部のみなさまと、実際に資格取得支援制度を活用して宅建士資格を取得した方にお話を伺いました。

お話を聞いたのはこちらの方

株式会社サンケイビル
管理本部 人事部 次長
遠藤均さん

株式会社サンケイビル
管理本部 人事部
佐藤雄矢さん

株式会社サンケイビル
管理本部 人事部
山口藍さん

株式会社サンケイビル
事業本部 技術一部 建築グループ
中村 浩さん

サンケイビルの事業内容について教えてください


サンケイビルは、株式会社フジテレビジョンや株式会社ニッポン放送、株式会社ポニーキャニオンを有するフジサンケイグループの内唯一の不動産デベロッパーです。


もともとは産経新聞社の本社社屋の管理を目的として1951年に設立され、現在ではオフィスビルや住宅、商業施設、ホテルなどさまざまな不動産の開発・管理・運営を中心に、幅広く事業を展開するまでとなりました。

特に不動産開発事業では、メディア系企業を含むグループのコンテンツ力を活かしてエンターテインメント性やアミューズメント性を兼ね備えた施設も企画しており、施設利用者様の心を動かすような体験の提供を目指しています。

▲豊島区が掲げる「国際アート・カルチャー都市」のシンボルとして完成した「Hareza池袋」のプロジェクトにもサンケイビルが共同事業者として参画。

社内の人財育成の方針について教えてください


サンケイビルは事業の大きさ・幅広さに反して全社員数が約200名程度と、他社と比べても少数精鋭の企業です。

そこで、社員一人ひとりの個の力を高めるため、人財育成の重要性を
■社員が自発的に課題を見つけて学ぶ「自修自得」
■学びたいと思う社員が学びの機会を得ることができる「教育・研修体系」
■社員本人とその周囲が一体となって成長について考える「人財育成の推進」
の3つの視点に落とし込み、人事部では2021年度に新たな教育・研修体系を策定しました。

この教育・研修体系ではOJT、各種研修や自己啓発支援はもちろん、資格取得についても積極的に推奨しています。

資格取得支援制度を刷新した過程について教えてください


資格取得支援制度を刷新するためにまず考えたのが、取得支援を行う対象資格の選定において「どの資格が現場で求められているのか」と「ジャンルが異なるさまざまな資格の難易度をどのように評価するか」という2点です。

従来の資格取得支援制度では、取得推奨資格と業務上での実際の必要度がマッチしていないなど、現場のニーズや時代の潮流を汲んだものになっていませんでした。

例えば建築に携わる技術部門では一級建築士など建築系の資格が求められたり、人事や経理などバックオフィス系の管理部門では税理士や社労士といった資格を持っていると業務上便利だったり、そのニーズは部門ごとにさまざまです。

そこで現場の管理職の方々にヒアリングを行い、事前にリストアップした資格の必要度と難易度にそれぞれ5点満点の得点を付けていくことで支援するに相応しい資格が何かを明らかにしていきました。


その判断基準をもとに、資格を「受験料や登録料の補助が出る資格」と「受験料や登録料の補助に加えて報奨金が出る資格」の2つの区分に分類しています。

加えて、世の中の潮流を汲んだ「エネルギー管理士」や、不動産金融への造詣を深めるための「不動産証券化マスター」などの資格も支援の対象です。中には報奨金を設定しているものもあり、社員に新たなジャンルの学びを促す施策の1つとなっています。

選定にあたっては、ジャンルの異なる資格は難易度を比較しづらく、資格ごとの奨励度・金額設定には特に苦労しました。そこで、他社へのヒアリングはもちろん、社内の声も取り入れることで納得感のある推奨資格を策定しました。

新しい資格取得支援制度に対する社内の反応はいかがでしたか?


今回新たに取得支援対象となった資格は37種類で、以前の23種類から大幅に増えたこともあり、資格取得支援刷新を発表した際には「自分がちょうど学習している資格も支援対象になっている」と喜ぶ声が聞かれました。

取得支援制度の刷新から3~4か月が経ちますが、最近では新制度をきっかけに資格取得を目指し始めたり、実際に受験・合格したりといった前向きな流れも生まれ始めています。

また、推奨資格に世の中の潮流や会社の方向性を表すものを加えたことで、「どんな知識が今後求められるのか」について、また「今後の会社の方向性」をより明確に社員に伝えることができました。

今後も定期的な推奨資格の見直しを計画しており、世の中のニーズや会社の中長期計画を反映した学びの文化を社内に広めていきたいと考えています。

宅建士の取得支援に注力している背景を教えてください。


宅建士の資格は不動産を扱う人材にとって自動車運転免許証のような存在であるため、入社1年目~2年目においては業務のOJT・OFF-JTと並び、宅建士の取得に向けた支援にも重点を置いています。

土地の取得や不動産契約の際に宅建士の資格が求められる、というのもありますが、宅建の学習により不動産に関する基礎知識を体系的に得ることができるため、新卒入社の社員全員に宅建士取得を呼び掛けています。

サンケイビルでは新卒で入社すると数年後にジョブローテーションが行われるため、入社時の配属先が不動産の業務と直接関係のない部署でも例外なく勉強していただきます。

宅建士取得に向けた具体的な支援内容を教えてください。


まず、入社1年目~2年目の新卒社員向けに、「資格の学校TAC」のWEB講座を提供していて、この講座は会社が受講費用を負担しています。

講義は分野ごとに細分化されていて、スキマ時間でも勉強を進めることができるような構成です。勉強の成果や進捗度合を試せる演習問題や模試もWEB上で受験することができます。

その他にも先輩社員の勉強方法や合格体験を共有する場を作ったり、試験の直前期にはTACの講師をお呼びして問題解説の講義を開いてもらったりと、合格に向けて手厚くサポートしています。

実際に宅建士講座を受講した感想を教えてください。


大学時代に建築を学んでいたため建築に関する知識はあったのですが、法律を本格的に勉強するのは初めてで、内定後に宅建の学習を始めたときは慣れない法律用語に苦労しました。

もともと、私は中国の出身で母語以外の言葉で法律を理解するのは難しかった上、民法改正のタイミングとも重なってしまったことで、合格へのハードルはとても高かったと思います。


そのような経緯もあり、内定者時代と入社1年目の宅建士試験ではいずれもあと少しのところで不合格になってしまったのですが、入社2年目の受験に向けて勉強をしようと思っていたところで新しく宅建士の取得支援が開始されました。

新たに導入された講座や模擬試験を受講・受験したことで、苦手意識のあった民法への理解を深めることができ、その結果、入社2年目の宅建士試験で合格をつかみ取ることができました。

そして現在、この成功体験を糧に一級建築士の一次試験も無事突破できています。今後も宅建士講座で身に付けた知識をもとに、更なるスキルアップを目指していきたいと思います。

人事部として今後の展望を教えてください


宅建士でも他の資格でも、社員には積極的に資格取得を目指してほしいのはもちろん、「社員それぞれが自分の強みを獲得してほしい」「自分のキャリアを切り開くきっかけを作ってほしい」という思いで資格取得支援制度を作り上げました。

短期的に見て、社員の資格取得が会社にすぐに大きな変化をもたらすことはありませんが、長期的には生産性の向上や社内の学習風土の醸成につながるなど、今回の私たちの活動がいつか花を咲かせると信じています。

資格取得の支援はあくまで人財育成の一端ですが、今後もそういった人財への取り組みを通じて組織力の向上、ひいてはサンケイビルの企業価値向上を目指してまいります。




企業情報

社名
株式会社サンケイビル
代表者
代表取締役社長 飯島一暢
従業員数
212名(2022年3月31日現在)
事業概要
不動産の賃貸事業/不動産の取引事業/土木、建築工事の設計、監理及び請負/不動産の管理及び鑑定業/有料老人ホーム等の経営、企画、運営及び介護サービス事業/演劇、映画等各種イベントの企画、実施並びに貸会場の経営/飲食店の経営/ホテルの経営/総合リース業及び美術品の売買並びに美術品の仲介斡旋/特定目的会社、特別目的会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則に定める会社)及び不動産投資信託に対する出資並びに出資持分の売買、仲介及び管理/前記各号に附帯または関連する一切の事業

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