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証券業界で活かせる資格とは!?岡三証券株式会社にインタビュー!

インタビュー

証券業界で活かせる資格とは!?岡三証券株式会社にインタビュー!
この企画では、日本の資格・検定編集部が社内の教育制度に資格・検定を活用している企業・団体に導入のきっかけやその目的をインタビュー。

今回は、社員教育に資格・検定を有効に活用している岡三証券株式会社(以下、岡三証券)で人材開発を担当する嶋宏晃さんと、採用を担当する大屋慎太朗さんにお話を伺いました。

さらに記事後半では、「どんな資格・検定にチャレンジしたらいいの?」「証券業界の資格トレンドは?」など、TAC株式会社の法人事業部で社員教育を提案・営業している芳賀昭良さんにお話していただきました。

ぜひ最後までご覧ください。

岡三証券株式会社にインタビュー!

嶋宏晃さん
岡三証券株式会社
人材開発部 課長

大屋慎太朗さん
岡三証券株式会社
人事部 採用グループ長

岡三証券株式会社の事業内容について教えてください。

嶋さん 弊社は1923年(大正12年)に創業した証券会社です。三重県津市で創業し、大阪への移転を経て、現在は東京に本社を構えています。

独立系の専業証券会社として親会社や系列会社に左右されることなく、中立的な立場から判断・投資提案ができることを強みに、約100年もの間、その時々のニーズに向き合いながら証券ビジネスに特化した事業を展開し続けてきました。

弊社では主にリテール、つまり個人向けの営業活動や投資提案に重点を置いていますが、これは、創業以来の経営理念である「すべてはお客さまのために」の精神に通じており、全てのお客様に対してフェイス・トゥ・フェイスのコンサルティングを行っています。この点が弊社の最大の特徴と言えるでしょう。

新卒の採用活動や人事制度における資格や検定の活用について教えてください。

大屋さん 新卒の採用面接では、資格を取得している学生に対して「なぜ取得したのか」、「取得までにどのような学習をしたのか」などを質問して、証券業界への思いや努力の過程を伝えてもらっていますが、基本的に選考結果に資格の有無が影響することはありません。

実際に、証券外務員やAFP(R)、CFP(R)、簿記などの証券・金融系資格を持っている学生は全体の10%ほどとかなり少数ですし、採用決定後、入社までに各自で証券外務員一種資格を取得してもらうことになっているので、就職活動までに資格を取得していないからといって焦る必要はないでしょう。

嶋さん 入社後はAFP(R)資格の取得を新入社員全員に義務付けています。AFP(R)の試験には金融の基礎知識をはじめ、保険や不動産、税制度、相続についてなど証券業界や金融業界で必要な知識が網羅されており、新入社員の基礎知識付けにはぴったりです。

学習は基本的に7~8名のチームで進め、社内で行う模擬試験の平均点や合計点を競うなど、ゲーム感覚で進めています。チーム内で教え合ったり苦手部分をサポートし合ったりといった活動がアウトプット学習につながっているようで、ある年の例では4月に入社後、5月受験を経て全体の85%がAFP(R)資格を取得する結果となっています。

学んだことを誰かに分かりやすく伝えることは「知っている」から「できる」に昇華する作業としても有効なため、以後の営業活動やコンサルティングにおいても大きな武器となるのではないでしょうか。

また、証券外務員一種資格、AFP(R)資格以外にも、主にCFP(R)やプライベートバンカー、証券アナリスト(CMA)といった金融系資格や保険系資格など、複数の資格を推奨し、受験料の補助やeラーニング・テキストの提供なども受けることができます。

その他の資格・スキル取得支援としては、自社で展開している教育サービス「岡三Webラーニング・ライブラリ」があります。また、社員の教養を高めるため、良書要約アプリ「flier(フライヤー)」を導入しています。

「岡三Webラーニング・ライブラリ」では金融に関連するもの以外にも、TOEIC(R)や出張英会話などの語学学習に加え、ワイン、ヨガといった趣味の学びや、食習慣改善、認知症介護など生活にまつわる資格・スキルの習得に向けて通信講座を提供しています。スキマ時間で学習が進められるため、社内でも好評です。

※その他の研修制度についてはこちら

▲集合研修の模様

証券会社の人材開発・採用担当者として、今注目している資格・検定や歓迎しているスキルはありますか?

嶋さん 証券会社の人材開発担当としては、相続系の資格に注目しています。お客様の中には高齢の方も多く、相続や事業承継についてのご相談を受けることが少なくありません。知識があればそれぞれのお客様に合った提案やサポートができますし、高齢化の影響を受ける国内の経済がどのように変化していくのかを見通す指針にもなり得るはずです。

特に、資格という形で相続の知識を提示できればお客様への安心にもつながるため、社内でも相続系資格の取得を勧めており、相続診断士などの資格取得者が増加しています。

大屋さん 学生のうちから身に付けられるスキルとして、プレゼンテーション力は今後さらに重要になってくるかと思います。授業や研究の一環でプレゼンテーションをするという学生は多いですが、入社後も主に個人への投資提案やクライアント企業に向けた提案など、プレゼンテーションの機会は多くあります。

もちろんそうしたトレーニングも用意していますが、場面や相手に応じて分かりやすく的確に伝えるスキルは早いうちから養っていくべきではないでしょうか。

また、プレゼンテーション力と近い部分ではありますが、コミュニケーション力も営業活動やコンサルティングをする上で必須のスキルといえます。対面のやり取りだけではなく、電話やメールなども社会人としての基本的なマナーを踏まえて問題なく扱えるのが望ましいです。コミュニケーションやマナーについて学ぶことができる資格・検定もあるので、ぜひチャレンジしてみるのも良いでしょう。

証券会社を志望している学生や金融系の資格取得を目指す方に一言メッセージをお願いします!

大屋さん 資格の有無が採用活動に直接影響することはありませんが、「自信をつける」という点では資格取得がおススメです。

弊社の新卒採用フローでは、基本的に面接官と学生が1対1でじっくりと面接を行い、なぜ証券業界を志望しているのか、どんな考え方をする方なのか、そしてこれまで注力してきたことへの対応などからその方の内面を重視して採用を決定しています。

面接をしていると「自分にはアピールできることがない」「何を話していいのか分からない」という学生が目立ちますが、実際には光る個性や魅力があるのにそれをうまく表現できないという場合も多く、とてももったいなく感じます。

自信をつけたり、面接に向けたエピソードを作ったりと自身の個性や魅力を表現するための切り口の1つとして、資格取得へのチャレンジも視野に入れてみてはいかがでしょうか。また、金融系資格の学習を進めることで実際の業務のイメージも湧き、面接官とさらに深いやり取りができるはずです。

嶋さん 人材開発担当の視点でメッセージをお伝えするなら、資格を取得することがゴールではないということでしょうか。

資格取得はあくまでも通過点で、ゴールは金融サービスのプロとしてお客様に喜んでいただくことです。合格をゴールと考えて学習するのではなく、学んだことを実際の業務でどのように生かせるかを見据えて学習を進めていただければと思います。

また、幅広い知識や教養を身に付けて会話の幅を広げたり、お客様にとって身近な存在になったりすることもスキルの1つと考えれば、金融系の資格と併せて、旅行や食、娯楽などの趣味や語学に関する資格・検定を取得してみるのも良いのではないでしょうか。国内外に数ある資格・検定ですが、各ジャンルの知識を体系的にまとめている場合が多く、うまく活用すればさまざまな知識を効率よく学習できるはずです。

証券業界は経済の流れや新しいサービスの登場に合わせて変化し続けています。その中で活躍し続けるためには、学びに対して貪欲であることこそが求められる最大の素養となり得るでしょう。

資格のプロが語る!証券業界と資格の今!

お話してくれたのはこの方

芳賀昭良さん
TAC株式会社
法人営業1部

「証券外務員」だけではない!証券業界で求められる資格はこれ!

証券業界では、業務を行う上で必須となる「証券外務員」の資格取得はもちろんのこと、金融のプロとして「ファイナンシャル・プランナー」「証券アナリスト」「プライベートバンカー」などの資格が有効とされています。


資格名 概要
証券外務員 金融機関で株式や債券などの有価証券を売買したり、営業活動を行ったりするために必須となる資格。
ファイナンシャル・プランナー(FP) ファイナンシャルプランニング技能検定 金融商品・不動産・保険・年金などの資産を効率的に運用するFPの知識を得ることができる国家資格。
AFP(R)・CFP(R) FPの知識を得ることができる民間資格。AFP(R)資格の取得にはファイナンシャルプランニング技能検定2級の取得を要件として、認定研修の修了や資格更新時の継続教育が必須。CFP(R)はAFP(R)の上位試験にあたる。
証券アナリスト 企業財務に関する知識をはじめとして、マクロ・ミクロ経済、資本市場や金融商品の仕組み、投資理論に至るまで、幅広い知識を得ることができる。
プライベートバンカー 富裕層やマス富裕層が抱える事業承継・相続を中心とした課題に対し、家族全体に寄り添った解決をサポートできるスキルを身に付けることができる。

▲証券業界で求められる資格・検定リスト

人事制度においても、新入社員に対して「ファイナンシャル・プランナー(AFP(R))」の取得を義務付けたり、昇格要件の一つに組み込んだりと、資格を活用して公平な評価基準を設けている企業が多くあります。証券業界で活躍したいという方ならば、資格取得への努力は欠かせないでしょう。

社会情勢に合わせて柔軟な対応が求められる証券業界。近年の資格トレンドは!?

特に近年は、お客様の資産設計に関するご相談や課題に対してより高度な提案ができるよう、価値の高い資格取得に推移する傾向が見られます。

例えばファイナンシャル・プランナーであれば、ファイナンシャルプランニング技能検定2級にとどまらず、継続教育が求められるAFP(R)までの取得を目指される方、さらにファイナンシャルプランニング技能検定1級やCFP(R)などの上位資格にチャレンジをされる方の割合が非常に多くなってきました。

お客様の資産を預かり、運用していくには、高い専門性とお客様からの信頼が必要不可欠であるため、証券業界に従事する方は必然と資格取得に向けて高いマインドを醸成しているようです。

▲AFP・CFP(R)資格取得者数の推移(主な業種別)※2019年9月現在
出典:日本FP協会ホームページより一部抜粋

また証券業界では、社会情勢に合わせて実際の業務に直結する資格を奨励している企業がほとんどです。

岡三証券様のお話にあったように、近年では相続や事業承継への対応として「相続系資格」に注目が集まるなど、これからどのような知識・スキルが求められるかを敏感に読み取ることも重要となります。

資格取得に向けた支援が活発に行われている点も証券業界の特徴!

岡三証券様をはじめとして、証券会社の多くが社員の自己啓発をサポートするべく、企業主催の集合研修やeラーニングの実施、報奨金制度の導入など資格取得を促すさまざまな支援制度を用意しており、中でもe-ラーニングは、実際に受講される方にとって負担の少ない学習環境になっています。

証券業界は資格取得に関して積極的である上、業界全体の知識水準が高く、「より高いレベルで切磋琢磨したい」という方には最適なフィールドではないでしょうか。


社名
岡三証券株式会社
代表者
取締役社長 江越 誠
設立
2003年(平成15年)4月
※前身の旧岡三証券は1923年(大正12年)4月創業
事業概要
金融商品取引業

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