第３種電気主任技術者（電験３種）受験体験記

　私は、６回目の挑戦で、やっと第３種電気主任技術者の資格を取得（平成８年１月）出来ました。

私が、第３種電気主任技術者試験（電験３種）に合格したのは、現試験制度になって１回目（平成７年度）の試験です。

それ以前は、旧制度下の試験で５回不合格でした。

旧制度下の試験は、６科目を２日間かけて行い、一度で全科目合格する必要が有りましたが、平成７年度から試験制度が改正されて４科目になり、科目合格制度が導入されました。

　第３種電気主任技術者試験は、通称、電験３種と言われている試験で、電気関係分野では、非常に有名な試験です。

　電気主任技術者とは、一定規模以上の電気設備を取り扱う時、電気の取扱責任者になる為の資格で、電気主任技術者を選任しないと、一定規模以上の電気設備を取扱うことが出来ません。

電気主任技術者には、上から第１種、第２種、第３種の３種類が有り、電気主任技術者のレベルを表現するのに、１種神様、２種天皇、３種平民と表現することもあります。

電験３種は、電気工事士（第１種や第２種）の上位資格です。

試験レベルは高卒程度、合格率は例年10％前後ですが、電気主任技術者としては、初級レベルの資格です。
　
その為、本来、工業高校電気科卒なら取得出来る可能性が高い資格ですが、私は、この資格試験を６回も受験する羽目になってしまいました。

　その原因は、３つ有ります。

第１に、高校在学中に、旧電気工事士（現第２種電気工事士）、旧高圧電気工事技術者試験（現第１種電気工事士）に合格していた為、電験３種も簡単に取れると油断していたこと。

第２に、サラーリーマン時代は、電験３種に対してあまり必要性を感じていなかった為、合格したら儲け物という感じで、惰性で受験していたこと。

第３に、生来の怠け者の為、何時も計画だけは完璧ですが、実行が伴わなくて、途中で必ず挫折していたことです。

　そこで、過去の失敗を繰り返さない為、合格した年に私が取った方法は、自分自身を徹底的に追い込んで、何が何でも勉強せざるを得ない状況にすることでした。

幸いなことに、当時、私は、起業準備の為、電力会社を退職し、フリーターをやっていた頃で、経済的に苦しく、将来に対する不安等も有り、かなり追い込まれた状態でした。

そんな状態に陥って初めて、電験３種の取得が将来へのステップアップになるということを強く実感しました。

それからはもう、実行あるのみで、毎日、電験３種の勉強をやるようにしました。

　電験３種取得の必要性を実感したことにより、少しは自分自身を追い込むことが出来ましたが、それだけではまだ不十分で、更に、自分自身を追い込む為に、２つのことを実行しました。

１つ目は、友人や知人等に電験３種受験を公言し、「今年こそ合格する」と豪語したこと。

２つ目は、毎日、自分自身に言い聞かせる意味で「今年は合格する」、「今年で最後だ」と自己暗示をかけたことです。

こうすることで、丁度良い具合に、自分自身を追い込むことが出来ました。

　それともう１つ、重要なことは、毎日、合格した後のことをイメージしたことです。

勉強は、どんなに強い目的意識があっても、苦しいことに代わりありません。

勿論、中には、勉強するのが苦痛にならない人もいるかもしれませんが、私にとっては、例えどんなに興味が有ることであっても、勉強することは苦痛です。

苦痛に耐える為には、その苦痛を忘れさせる何かが必要です。

その何かが、私にとっては、合格後のことをイメージすることでした。

　この様に、完璧な布陣？で臨んだ試験ですが、試験当日は、思いもよらない伏兵の出現により苦戦を強いられる結果となってしまいました。

それは、寝不足です。

　私の受験会場は東京でしたが、試験当日、静岡から上京するのはそれだけで疲れてしまう為、それは得策でないと判断し、試験の２日前に上京しました。

そして、試験会場の下調べをし、試験前日はホテルで一日寛ぐことにして、此処迄は順調でした。

　ところが試験前夜、「今年こそ絶対合格するんだ」という気負いが仇になり、結局、朝迄、一睡も出来ない状態で試験当日を迎えてしまい、寝不足の頭で試験に臨まざるを得なくなってしまいました。

当然のことながら頭が働かず、確実に答えが分った問題は、４割未満でした。

しかし、ここで諦めては、今までの苦労が全部水の泡になってしまうと思い、長年資格マニアとして培った色々な解答テクニックを駆使して、何とか解答欄を全部塗り潰して退室しました。

　私が奇跡的に合格出来たのは、試験運の強さです。

私が土壇場に追い込まれた時の試験運は、悪運が強いというか、往生際が悪いというか、半端なく滅茶苦茶強いです。

　最後に、合格の秘訣は、ＮＥＶＥＲ　ＧＩＶＥ　ＵＰ！！です。

以上