社労士とは?ニーズ急増のワケや働き方、おススメのダブルライセンスも
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大手企業における従業員の過労死や、巨額な残業代の未払い発覚といった事件を引き金に、政治的・社会的に厳しい目が向けられるようになった、企業と従業員の「労働問題」。
企業と従業員の適切な関係の見直しを進めるとともに、女性の積極的な労働参加・管理職への登用など、労働環境の改善や少子高齢化による労働人口減少を食い止めるべく、政府主導の様々な政策が打ち出されています。ワークライフバランスを重視した多様な働き方が選択できる社会をつくるべく、「働き方改革」や「一億総活躍社会」の実現に国を挙げて取り組んでいます。
このように日本全体で働き方を最適化する動きが展開されている中で、企業にとって欠かせない存在となるのが「社会保険労務士(社労士)」です。社労士はその名の通り社会保険や年金などに関連する業務に加えて、人事・労務の管理やコンサルティングなどを行う労働・社会保障制度の専門家です。
誰もが気持ちよく働けるための環境作りのプロである社労士は、「働き方改革」においても就業規則の見直しや、従業員満足度向上のための労働条件の提案、安心して働ける安全衛生管理体制の構築といった場面での活躍を期待されています。
このように、「働き方改革」において重要な役割を担う社労士の需要は、今後ますます増えていくことが予想されますが、一方で、社労士と言えども国の政策や法律改正に左右されてしまう点や、人工知能(AI)といったテクノロジーの進化が社労士の実務作業を奪う可能性については十分注意しなければなりません。
これからの労働改革を担う社労士について、どのような仕事なのか、そして将来社労士として活躍するための秘訣について、LECの講師であり、特定社会保険労務士の澤井清治氏にお話を伺いました!
澤井清治氏のプロフィール
社労士は会社と雇用、従業員をつなぐ基軸としての役割を果たしている
社労士の業務は、給与・社会保険等の手続関連の実務的な作業から、人事制度のコンサルティング・労働紛争の代理人・成年後見人・年金相談まで労働関連の多岐に渡ります。
その中でも年金相談については、国家資格の中でも取り扱いできるのが社労士のみと定められており、特徴的な業務の一つといえるでしょう。特に、制度・審査が複雑な障害基礎年金については、その相談・請求だけに特化する社労士の方もいる程です。また、2017年8月から年金の支給要件が加入期間10年に緩和されたこともあり、年金関連の業務は社労士にとって貴重な収入源の一つといえます。
ひとことに社労士といってもいくつかの働き方がある
社労士というと社労士事務所を想像される方も多いかと思いますが、実際は大きく分けて2種類の就業形態があります。
1つは、社労士事務所のように自ら事業所を構えて活動する独立開業型、もう1つは一般企業で専門職の社員として働く勤務型です。他にも社労士登録のみ行い、社労士の知識を生かして執筆活動や講師を行う方もいますが、独立開業型・勤務型の社労士が大多数を占めています。
社労士には知識と現場力、そして営業力・コミュニケーション力が求められる
社労士にとって必要なのは、まず知識の土台となる社労士国家資格であり、この知識が社労士としての基本となります。これは努力すれば手に入ります。
そして、併せて実務をこなすことができる現場力が求められます。実務をこなし、現場のニーズを掬い取り、それを規則や制度に反映させることができる現場力こそが社労士の真に必要とされる実力と言えるでしょう。
しかしながら、社労士としての現場力は経験を積まなければ体得できません。私の場合は、積極的に行政に質問しながら課題を見つけ、不足している課題解決のために必要な知識を勉強・習得し、それを現場で実践することで、他の社労士には負けない独自の現場力を身に付けました。現場力を体得するには、少なくとも3年は地道に「駆け出し社労士」として経験を積まなければいけないでしょう。
また、働き方によっても求められるスキルやレベルは違うのですが、特に独立開業型で成功するには、社労士の知識と現場力に加えて、営業力・コミュニケーション力・リーダーシップが必要不可欠となります。
独立開業型の社労士は、勤務型と異なり、仕事を得るために顧客に自ら営業し、アプローチしなければなりません。さらに人事・労務業務のコンサルティング案件ではプロジェクトを主導できるコミュニケーション力・リーダーシップも必要となります。
さらに言えば、社労士同士はもちろん、税理士や行政書士、司法書士といった社労士と親和性の高い有資格者同士のネットワークが、新たな顧客を獲得する上で大きなアドバンテージとなります。周囲への視野を広げ信頼できる人間関係を構築できるか否かは社労士としての人生を大きく左右するでしょう。
社労士の世界はもちろん、社会全体でもここ2〜3年のホットワードは「人事労務制度見直し」「労働基準監督署対策」「助成金」
みなさんもご存知の通り、大手企業による残業代未払いや従業員の過労死など、従業員の不遇や劣悪な労働環境に関する事件が注目され、従業員の有給休暇や残業代・各種手当への問題意識が、以前と比べて明らかに高くなっています。加えて「パワハラ」「マタハラ」といった事案も含めて、人事労務制度の見直し・テコ入れが急務となってきています。
加えて、上記のような社会問題を背景に労働問題への行政の意識も変わり、厚生労働省をはじめとして各機関の監査も厳しくなり、労働基準監督署の調査に備えた事前の対策も各会社で求められるようになりました。実は、これまで報道されてきた残業代の未払い事件は、労働基準監督署の調査で発覚することが多く、経営陣が事前に感知していなかった場合が多くあります。未払い残業代の処理は、数百億円といった非常に大きな金額が動くケースもあり、会社の経営にとっては大打撃となります。
しかしながら、このような人事労務制度の見直しや労働基準監督署対策が叫ばれている一方で、人事・労務のルールについての経営陣の知識不足や、監修できる人材の不足が大きな問題となっています。中小企業を中心に人事労務制度に知見のある人材が不足しており、人事労務制度の見直し・賃金の不適切な支払いの監修・労働基準監督署の調査対策が疎かになってしまっている会社が多く、社労士へのコンサルティング・監修の依頼が増えています。これまで会社の中に潜んでいた課題が、社会問題をきっかけに顕在化したことが、昨今の社労士の需要拡大につながっているのです。
さらにもう一つ、近年の社労士の業務の特徴と言えるのが、特需として発生している助成金の申請関連業務です。現在施行されている雇用政策では、契約社員・派遣社員・パートタイマーを正社員化すると支給されるキャリアアップ助成金をはじめとして、雇用制度の改正・改善を行うことで、さまざまな助成金を会社が受け取ることができます。この助成金に関するコンサルティングや申請関連業務に特化した事業を行っている社労士も数多くおり、政策に大きな変更がない限りは社労士界の「助成金ブーム」が続くとみられています。
このように、ここ2〜3年では「人事労務制度見直し」「労働基準監督署対策」「助成金」が社労士の間でトレンドとなっていますが、中期的に見てもこの流れはおそらく変わらないでしょう。
当たり前のことですが、この先も社労士として活躍していくためには、国の政策への感度は常に高めておく必要があります。これは言うまでもありませんが、国の法律が変われば会社の規則も、もちろんそれに適合させなければいけません。
例えば、2017年1月20日労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドラインが策定されました。このガイドラインの中では、みなし労働時間制やフレックス制といった労働時間の多様化についても言及されています。また、2017年10月からは改正育児・介護休業法が施行され、育児休業給付金の受け取りが最長2年間に延長されます。
このような制度や法律の改正は会社の就業規則に大きな影響を及ぼすため、社労士は常に政策・法律の変更・改正にアンテナを張って、時代の変化に柔軟に対応していかなければいけません。
将来、社労士として生き残るために「ヒューマンスキル」を高める
特集第1弾でも紹介されたように、確かに社労士にもAIの脅威は迫ってきています。入退社や給与の管理、社会保険・年金の管理・申請といった実務的な業務は既に一部機械化されており、将来的には社労士の業務ではなくなるかもしれません。
しかしながら、会社は「ヒト」でできており、その会社に最適な人事労務制度を設計するには、経営者・企業文化・従業員・人間関係・会社の将来性を包括的に考慮しなければなりません。さらに、法律の行間を適切に解釈して最適な制度を構築するには、高度な「ヒューマンスキル」が求められます。
この「ヒューマンスキル」は、冒頭でも述べたのですが、結局は確かな知識を土台に社労士として現場での経験を積み重ねていかなければ身に付きません。つまり、「今」も「これから」も、社労士として自分の強みを生かして活躍するには知識と現場力、そして営業力・コミュニケーション力といった「ヒューマンスキル」を高めていくことが必要不可欠なのです。
「ヒューマンスキル」+「Wライセンス」で新規マーケットを開拓する
2050年、日本は少子高齢化に伴い減少した労働人口を補うために、労働年齢の75歳への引き上げ、300万人と言われている潜在的な女性労働者、外国人労働者の受け入れが積極的に進められていることでしょう。
近い将来、日本の労働市場に大きな変化の波が訪れようとしていますが、「ヒューマンスキル」を高めることはもちろん、社会の動きを的確に捉え予測されるニーズに対応できる競争力を手に入れることが、末永く社労士として活躍するための重要な切り札となります。
その競争力を高める有効な手段の一つとしておススメなのが、社労士との相性がよく将来性の高い資格を取得する「Wライセンス」です。「Wライセンス」は、社労士がカバーできない領域の業務の知識や経験を習得するのに最も有効な手立てです。「Wライセンス」取得で身に付けた独自の知識・スキルを武器に新しいマーケットを開拓できるかどうかが、同じように社労士として活躍するライバルとの差別化につながるでしょう。
社会保険労務士×○○の組み合わせ例
社会保険労務士(社労士) × 行政書士
行政書士(ビザ取得)×社労士(雇用対策)で、外国人労働者活用のサポートを万全に!
【難易度:中、競争力:○】
現在は主に介護や建設、飲食業界で外国人労働者が活用されていますが、今後はより多様な業種や管理職での外国人労働者登用が拡大していくでしょう。外国人研修制度も本格的に始まろうとしていく中で、外国人の就労ビザの取得から会社の人事・労務制度の対応まで任せられる社会保険労務士(社労士)×行政書士の有資格者は頼れる存在となるはずです。労働力の確保がこれからの日本経済の大きな課題となる中で、社労士資格と行政書士資格の組み合わせは今後最も需要が高くなるWライセンスの1つといえるでしょう。
社会保険労務士(社労士) × キャリアコンサルタント
社労士にキャリコンを取得して、助成金関連業務のスペシャリストになる!
【難易度:易、競争力:◎】
国家資格になったことを機に「社労士」×「キャリコン」のWライセンスの人気が急増していますが、キャリアコンサルタントは助成金の申請業務を行うにあたり必須資格となっているため、助成金関連業務への特化を目指す社労士にとってキャリコン取得は必ず通らなければいけない道でもあります。もちろん、人事・労務管理のスペシャリストである社労士と従業員のキャリア形成支援を行えるキャリアコンサルタントとの相性は抜群ですので、Wライセンスによって経営者からも従業員からも必要とされる人材になることができます。
社会保険労務士(社労士) × 司法書士
社労士×司法書士で活動範囲の幅と奥行きが飛躍的に増大!
【難易度:極めて高、競争力:○】
社労士として年金問題を扱う際に、成年後見制度について質問を受けることがありますが、社労士資格と併せて司法書士の資格も取得しておけば、そのまま、顧客の成年後見人として活躍できます。他にも、遺族年金に関するアドバイスをする際には、相続時に発生する、不動産に関する登記業務まで行えるようになります。また、特定社労士には、個別労働関係紛争事件の斡旋について代理権を与えられますが、認定司法書士になれば、簡易裁判所における訴訟事件についても代理権を与えられます。
社会保険労務士(社労士) × 税理士
社労士×税理士で中小企業に対するワンストップサービスの実現!
【難易度:高、競争力:◎】
税理士、社労士ともに顧客対象が重なっており、その多くが中小企業です。大企業には当然ある経理財務部門や人事労務部門が、中小企業にはないことも多々あり、税理士は、税務の専門家として企業などに関与しますが、社労士資格を有していれば、経理・税務に加え、人事や労務・年金・社会保険に関する業務も請負い、ワンストップでサービスを行うことができます。税理士試験と社労士試験では、試験科目面での重なり合いはありません。しかし、税法と社会保険法はいずれも技術的な法律分野であり、税理士試験の学習を通じて培った、法律的な知識を整理していくノウハウなどは、社労士試験の学習にも活用することができます。
社会保険労務士(社労士) × 中小企業診断士
社労士の知識+企業マネジメントの知識で社長に次ぐ「企業のナンバー2」を目指す!
【難易度:中、競争力:○】
社労士の人事労務管理のスキルに加えて、企業経営理論・マーケティング戦略・組織論・会計・運営管理など、企業のマネジメント全般を学ぶことのできる中小企業診断士の力を掛け合わせることで「経営」に必要な素養をひととおり身につけることができます。特に中小企業では「1つだけが得意なスペシャリスト」よりも「あらゆる問題に対応できるゼネラリスト」が求められます。この意味で、「社労士」×「診断士」の掛け合わせは、社長の右腕として最も頼りになる従業員に近づく道といえます。
社会保険労務士(社労士) × 弁護士
労働問題や社会保障に強い法曹に!
【難易度:極めて高、競争力:◎】
労務トラブルの増加、人口の少子高齢化が進む今日、労働問題や社会保障(年金問題など)に強い専門職に対するニーズが高まっています。社労士は、企業の人事労務管理に関わる専門職であり、社労士試験では、労働法や社会保険法に関する実務的な知識が問われます。司法試験合格レベルの方であれば、法律の基本は習得できていますので、後はミクロ的・技術的な知識をインプットすれば、社労士試験を突破することができます。将来を見据え、法曹としての得意分野の確立、職域の拡大を目指す方にとって、社労士は魅力のある資格です。(注)社会保険労務士法により、「弁護士となる資格を有する者」には、社労士資格が付与されますので、弁護士資格を取得した後であれば、社労士試験に合格しなくても、社労士登録が可能です。
社会保険労務士(社労士) × 精神保健福祉士
企業の障がい者雇用ならお任せ!
【難易度:易、競争力:○】
現在、企業は障がい者を雇用する義務があります。そこで活躍するのが人材雇用のスペシャリスト(社労士)であると共に、「精神障がい者の心理状況」をよく知り(精神保健福祉士)、この方々がより活躍できるようなスキームを考えることのできる存在です。企業が「どうすれば良いのか分からない」といったケースの多い障がい者雇用のコンサルティングは、ニーズも多いといえるでしょう。
社会保険労務士(社労士) × マイナンバー管理アドバイザー
社員のマイナンバーも守れる人事総務業務のスペシャリスト!
【難易度:易、競争力:△】
マイナンバー制度が開始されてしばらくたちますが、未だこの制度が企業にきちんと理解されているとはいえないでしょう。企業の義務であるマイナンバー管理でありながら、しっかり管理できていない現状。多くの企業が「これで良いのか?」と不安に思い続ける中、人事総務業務とマイナンバー管理を熟知する存在は、彼らに救いを与えることができます。
社会保険労務士(社労士) × FP(ファイナンシャルプランナー)
社労士とFP双方の強み!年金相談でライバルに差をつける!
【難易度:易、競争力:○】
家計、貯蓄などライフプラン検討・作成を得意とするFPと、年金・社会保険を専門とする社労士のWライセンスは、高齢化社会に向けた強力な組合せです。ライフプランを立てるにあたって老後の年金は非常に重要で、相談者のニーズに的確に答えるためは、国民年金や厚生年金の正確な知識や今後の動向に対する予測が必要です。これらの知識は社労士資格を取得することで習得できます。FPの知識と社労士の知識で、年金相談により自信を持って取り組むことができます。
社会保険労務士(社労士) × 人事総務検定
社労士の実務力を効率的に補う!
【難易度:易、競争力:○】
人事総務検定は、一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会が主催し、LEC東京リーガルマインドが協会指定講習の実施団体として行う人事総務部の知識及び実務能力に関する検定試験です。この検定は、2016年にスタートしましたが、既に1,000名の方が受講している資格であり、業務や法律の知識について横断的に学ぶことができます。学習内容が実務に直結していますので、人事総務の担当者はもちろん、社労士を目指す方・社労士として事務的な経験が浅い方にとっても実務力を補う資格として社労士と大変相性が良い資格でしょう。
★人事総務検定について詳しくはこちらをご覧ください。
社会保険労務士(社労士) × 労働時間適正管理者検定
労働時間の適正管理ついて、正しい知識と実務を身に付ける!
【難易度:易、競争力:△】
労働時間適正管理者検定は、人事総務検定と同じく一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会が主催し、LEC東京リーガルマインドが協会指定講習の実施団体として行う、労働時間の適性管理に関する知識及び実務能力に関する検定試験です。社労士の知識を掘り下げる形で労働時間の管理に必要な法律(労働基準法・労働安全衛生法・労働者災害補償保険法)の知識と、労働時間の管理に関する政府のガイドラインや遵守しなければならない法令、その他、実務に即した遵守しなければならない行動規範を学びます。
労働時間について包括的に習得することができ、深刻な問題となっている長時間労働の抑制やメンタルヘルス対策に有効で、より厳しくなった監督署の監査に対して、事前に会社が抱える問題を顕在化させ適切な対策を講じることができるでしょう。
★労働時間適正管理者検定について詳しくはこちらをご覧ください。
難易度が高いWライセンスもありますが、社会の課題に対して自身の足りないスキルを埋める有効な手段の一つがWライセンスであると思います。これから社労士を目指したい方や、社労士として活躍の場を広げたい方は、これらのWライセンスの例を参考に、独自の特化したスキルを習得してみてはいかがでしょうか。
※個人差があります。
社会保険労務士(社労士)の基本的情報
社労士試験の概要
―受験資格―
社労士試験を受験する場合には受験資格が必要です。主な受験資格は次のとおりです。
(1)学歴によるもの:大学において一般教養科目の学習を修了した者、又は短期大学、高等専門学校を卒業した者等
(2)実務経験によるもの:民間企業や労働組合において労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事した者、又は公務員として行政事務に3年以上従事した者等
(3)資格等を有すること等によるもの:行政書士となる資格を有する者、又は司法試験予備試験に合格した者等
―社労士試験の日程と試験会場―
社労士試験は通常、8月の第4日曜日に全国およそ30ヶ所の試験会場において実施されますが、その年の正式な試験の日程については4月頃に官報で公示されます。なお、受験資格の詳細や日程、試験会場については、社会保険労務士試験センターへお問合せください。
【お問合せ先】全国社会保険労務士会連合会試験センター(http://www.sharosi-siken.or.jp/)
社労士試験の特徴
(1)社労士試験の特徴
社労士試験は社会保険労務士法の定めにより厚生労働大臣が実施する国家試験です。具体的な試験事務に関しては、全国社会保険労務士会連合会が行っています。労働・社会保険の専門家としての社労士のニーズは確実に拡がっており、それを反映して受験申込者数は増加傾向にありましたが、ここ数年は漸減しています。
また、他の法律系の国家資格と違い、社労士試験合格者のうち女性の割合が4割近くを占めており、女性の活躍が期待される国家資格となっています。
(2)受験申込者数・受験者数・合格者数の推移
社労士試験の受験申込者数は、ここ数年3万人を超える水準で推移しています。合格率は例年6%前後であったところ、平成27年度に2.58%に急激に難化。平成28年度には若干上がって4.43%、平成29年度以降は約6~7%となっています。
(3)社労士試験合格者の年齢階層別割合・職業別割合
社労士試験合格者の年齢層は、30~39歳の年齢層で約35%を占めています。
また、24歳以下が2.2%であるのに対し、30~49歳以上で約65%を占めており、働きながら社労士試験に向けて学習する方が多いのが特徴です。職業別では、会社員の比率が60%を超えており、勤務しながらの学習でも十分に社労士試験に合格できることがわかります。合格者の男女の比率は、男性61.7%、女性38.3%です。
参考(https://www.sharosi-siken.or.jp/wp-content/themes/sharosi-siken/pdf/info_03_suii.pdf)
―社労士試験科目―
社労士試験は、次の8科目について行われます。
(1)労働基準法及び労働安全衛生法
(2)労働者災害補償保険法
(3)雇用保険法
(4)労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
(5)社会保険に関する一般常識
(6)健康保険法
(7)厚生年金保険法
(8)国民年金法
―社労士試験の形式―
社労士試験は例年、「選択式(40点満点)」と「択一式(70点満点)」で行われます。選択式は全部で8問あり、1問の問題文につき5つの空欄が設けられており、原則として、その空欄を20個用意された選択肢の中から選んだ語句で補充する試験です。合計40の空欄があり、試験時間は80分です。択一式は5肢択一式の試験です。合計70問あり、試験時間は210分です。
―社労士受験のための学習―
社労士受験のための学習スタイルとしては、主に、(1)通学講座を受ける、(2)通信講座を受ける、(3)書籍を購入して独学する、の3種類があります。社労士試験は範囲が広く、手続法が中心で暗記項目も多いことから、特にこれから学習を始める方には、モチベーション維持のため、通学講座をオススメします。また、社労士試験の各科目においては毎年多くの法改正があります。この法改正情報を把握するのは独学では時間的にも厳しいため、その意味でも通学講座または通信講座を受講することをオススメします。社労士試験合格までの標準学習期間は1年程度です。
○どんな人が社労士に向いているのか
会社の人事総務業務に携わっている方、又は人事総務業務に就きたい方、将来独立開業したい方。また、社労士の業務は、人の一生の出来事に携わる業務です。人の役に立つ仕事に就きたい方に向いています。
※こちらをご参考ください。
○社労士の平均的な収入
社労士の平均的な収入は個人差がありますが500万〜600万といわれています。
〇現時点での社労士登録者数
令和1年度:48,885人
(うち、開業:24,158人、法人の社員:2,759人、勤務等:15,790人)
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