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電気工事士とは?出題内容や勉強方法、資格の活かし方も

資格・検定特集

電気工事士とは?出題内容や勉強方法、資格の活かし方も
★今回は、資格の学校TACと日本の資格・検定のコラボ企画第7弾として、「電気工事士」をご紹介します。ぜひご覧ください。

突然ですが、みなさんは「配線用差込接続器」をご存じですか?
聞きなれない言葉ですが、別名を聞けば、誰もが知っているアレだと分かるはず。実は自宅やオフィスにある電源用の「コンセント」のことなのです。

このコンセントですが、延長コードを使って違う場所で電源をとったり、電源タップなどを使って接続できる電気機器の数を増やしたりといったことは、日常的に行われていますよね。

ただ、壁のコンセントを新たに追加したり、コンセントの形状を変えたりといった電気工事には、やはり専門の知識をもったプロが必要となります。そこで登場するのが国家資格を持つ「電気工事士」なのです。

全国で住宅の建て替えが進んでいることや頻発する自然災害からの復興を背景に電気設備を設置・修繕するニーズが増加している今、就職・転職に有利なのはもちろん、趣味などで自宅をDIY・セルフリノベーションする方が取得を目指すといったケースもあり、電気工事士が注目を集めています。

そこで今回の特集記事では、資格の学校TACとのコラボレーション記事として、「電気工事士」をご紹介!
電気工事士の業務や試験情報に加えて、記事後半ではTACで電気工事士講座を担当する講師の三原政次氏と徳永智明氏に、電気工事士の業務内容やおススメの学習法、電気工事士の将来性などを伺っています。

Q1 電気工事士とはどのような資格ですか?

電気工事士は、住宅・店舗の配線工事やビルの電気設備管理をはじめ、時には鉄道に関する電気の取り扱いなど、電気にまつわる幅広い作業・工事の際に必要な国家資格です。

電気工事を行うためには、電気事業法や電気工事士法によって、この電気工事士の資格取得が義務付けられています。

電気工事士の資格は、扱うことができる電気の大きさによって第一種と第二種に分類され、規模の大きな工場やビルなどの事業用および自家用電気工作物を扱うには第一種電気工事士の、一般住宅や小規模な店舗、事業所などの一般電気工作物を扱う場合は第二種電気工事士の取得が必須です。

▼電気工作物の区分

自宅のDIYやセルフリノベーションが目的の場合には第二種電気工事士のみの取得で十分に対応可能でしょう。

電気系の試験というと専門性や難易度が高いというイメージを持たれがちですが、特に第二種電気工事士資格は、合格率が比較的高く、男女問わず文系の方も多く受験されています。

Q2 電気工事士の資格を取得するメリットは何ですか?

電気工事士の資格取得をする最大のメリットは実務上の必須資格ということで、就職・転職に有利な点です。

就職先としては電力会社のほか、新築やリフォームの際に電気工事を請け負う会社や、一般家庭への家電製品の取り付けをする会社、他にもインターネット回線の設置を請け負う会社や、太陽光発電を取り扱う会社でも電気工事士が活躍しています。

実は今、この電気工事士や電気主任技術者(電験)といった電気保安業界における人材が世代交代などの理由から不足しており、経済産業省からもこれらの人材を増やすための提言※や各種施策がとられています。
経済産業省「電気保安体制を巡る現状と課題」

東京五輪開催に伴う建設工事が終わった後も、古くなった住宅の建て替えなどが進む見込みがあることや、近年頻発している自然災害からの復興といった場面でも電気工事が必要になることから、電気工事士の資格を取得していれば引く手あまたの状況といっても良いでしょう。

Q3 電気工事士の試験概要を教えてください

電気工事士の試験は第一種・第二種ともに、四肢択一方式(マークシート)の筆記試験と、実技による技能試験の2段階で行われます。試験自体には受験資格がないので、誰でも受験することができます。

ただし第一種電気工事士の資格については、試験に合格しても電気工事に関する一定の実務経験を有していなければ取得できません。そこで、ここでは第二種電気工事士の試験概要をご紹介します。

技能試験については、実際に工具を使って配線作業を行うことになります。

難しそうに感じられるかもしれませんが、出題候補問題の配線図は例年1月ごろに公表※されているため、これらをしっかりと練習すれば対策を取りやすい試験だといえるでしょう。

※出題候補問題は上期・下期共通
https://www.shiken.or.jp/candidate/

なお、筆記試験合格後に技能試験を受験して不合格だった場合、次回試験(上期受験者の場合には当該年度の下期試験、下期受験者の場合には翌年度の上期試験)に限り「筆記試験の免除者※」となり、実技試験のみを受験することができます。

※その他の免除条件についてはこちら
https://www.shiken.or.jp/examination/e-construction02.html#a

Q4 合格率、受験データから見て、電気工事士の難易度はどのくらいですか?

まず、第二種電気工事士の試験は年2回行われています。直近3年間の申込者数と受験者数、合格者数、合格率の推移は以下の通りです。

▼筆記試験の申込者数、受験者数、合格者数と合格率 

▼技能試験の申込者数、受験者数、合格者数と合格率 

この受験者数の多さからも、資格への高いニーズが伺えますね。第二種電気工事士の合格率は筆記試験・技能試験共に60%前後と比較的高く、受験対策もしやすいのが特徴です。

一方で、第一種電気工事士の合格率は筆記試験が40%前後、技能試験が60%前後となっています。資格取得に実務経験が必要なことを考えても、第二種電気工事士の方が合格を狙いやすいということが分かります。

現役電気工事士に特別インタビュー!

電気工事士として活躍しながら、現在TACの電気工事士(第二種)講座にて講師もされている三原政次氏、徳永智明氏に電気工事士の業務内容や学習のポイントなどを伺いました。

三原政次氏
TAC電気工事士講座 講師
1950年鹿児島県生まれ。
東芝テクノネットワーク(株)を経て「オフィスみはら」として電気工事や家電製品についての講師業を開設。
現在は大学非常勤講師、企業講師としても活躍。

徳永智明氏
TAC電気工事士講座 講師
1957年熊本県生まれ。
NTTなど通信系企業を経て、現在は大学の電気主任技術者関連実験担当、無線技術士や電気通信工事士資格塾講師として活躍。

◆TAC電気工事士講座はこちら

まず、お二人はなぜ電気工事士の資格を取得しようと思ったのですか?

三原講師:私は就職に活用したく、電気工事士の資格取得をしました。

まだ学生だった1970年ごろ、私は専門学校に通いながら電気店でアルバイトをしていたのですが、お客さまや地域の人々との距離が近く、業務にやりがいも感じたためそのまま就職したいと考えていました。

そのときに必要だったのが自動車運転免許と、今はなくなってしまった通産省認定カラーテレビジョン受信機修理技術者試験、そして電気工事士の資格です。

私の場合は趣味と資格の内容がほとんど一致していたこともあり、楽しく勉強できた記憶があります。

徳永講師:経営する会社のコスト削減を考えたことが、私の資格取得へのきっかけでした。

もともとは通信キャリアの会社に勤めておりましたが、55歳で定年退職になりました。何か新しいことにチャレンジしたいと考え、その頃話題になっていた太陽光発電システムの販売をする会社を設立したのです。

その中で、電気工事を他の会社や工務店に依頼するとコストが大きくなることから、自ら工事を行うために電気工事士の資格取得に至りました。

講師をしていると、「就職・転職活動に活かすため、入社前に資格取得をした方が良いのか」という質問を受けることもありますが、実際には入社前に取得する方と入社後に必要になって取得するという方が半々くらいという印象を持っています。

そもそも、電気工事士とはどのような職業なのでしょうか?

三原講師:今の時代、電気が使われていない場所を探す方が難しいですよね(笑)

電気工事士は、主に電気を使えるように設備を整えたり、修理したりする際に必ず必要とされる職業です。

施工会社や工務店に所属して住宅やビルの電気設備の設置・修理にあたるイメージが強いと思いますが、実際には製造、小売業を中心に従事する電気工事士も多くいます。

例えば、ある機械を製造してその設置までを手掛ける場合、電気工事士が社内にいれば外部に設置の依頼をするコストをかけずに済みます。小売店の場合でも同様で、社内に電気工事士がいることでコストカットができ、会社にとってもお客さまにとっても、価格を抑えられるなどのメリットとなるのです。

そのため、近年では社内研修として電気工事士の講座を開催したり、資格取得を促したりする会社も増えてきています。

電気工事士はどのような方におススメですか?

三原講師:「電気工事士=男性」と思う方が多いようですが、もちろん女性の電気工事士も活躍しています。

一般的な電気工事業務に加えて、女性の一人暮らしや年配の方の住宅では女性の電気工事士を求める声が多くありますし、電気工事の力作業というとペンチで線を圧着するときや、配線などの荷物を運ぶときなどでしょうか。ただ、コツや工夫で克服することは十分可能ですし、職場や依頼内容によってはあまり力仕事を求められない場合もあります。

徳永講師:私からは、独立開業してみたいという方にぜひおススメしたいです。

電気工事士として会社に従事するだけではなく、独立して地域に密着した業務をしたり、依頼企業と良い関係を築いたりすれば安定した収入も見込めます。

また、定年退職を迎えても「新たに何かチャレンジしたい」、「まだまだ働き続けたい」と考えている方にも電気工事士はおススメの職業ではないでしょうか。

電気工事士の試験の難易度とおススメの勉強方法を教えてください。

徳永講師:第二種電気工事士の資格取得には筆記試験と技能試験が求められます。私の場合、通信キャリア系の会社にいたので、筆記試験はまったく問題ありませんでしたが、電気工事の経験は無かったので技能試験には苦労しました(独学なので、便利な工具を知らず、ケーブルを電工ナイフ1本で処理していました)。

しかし、独学の場合でもいろいろな参考書を見て便利な工具があることを知り、また施工の練習も重ねて、2回目の技能試験で合格することができました。今思うと、講座を受ければよりスムーズに合格までたどり着けたのではないかと思います。

技能試験の練習では、やみくもに練習するのではなく、本番(制限時間40分)を想定して時間を測りながら練習することや、自分なりのコツを見つけることなどを意識すると良いでしょう。

三原講師:講座を受講すれば、独学よりも容易に合格することができるでしょう。

講座内では、苦手に感じる方が多い部分を中心に基本の内容を解説したり、事前に発表される技能試験の課題を実演し、コツを掴めるようにサポートしたりしています。

また、「電気工事士に興味はあるけど文系だから」と諦めてしまうのはとてももったいないです。

電気工事士の試験は暗記で対応できる部分が多く、計算問題が少ないのが特徴です。最低限、「電気は電圧の高いところから低いところに流れる」ということさえ分かっていれば勉強しづらい資格ではないと思います。

私の講座を受講していた生徒さんの中に、ご実家が電気店で今はネイリストをしているという女性もいました。初めて電気について学ぶとのことで不安そうにしていましたが1カ月弱の勉強期間で合格してしまいました。

TACの電気工事士講座を受講すれば、2週間~3カ月の短期決戦で合格を目指すことができるでしょう。

第一種電気工事士の試験も、出題内容の3分の1は第二種電気工事士の内容と被るため、第二種の資格取得後、早めに対策をして受験してしまうのがおススメです。

第一種の資格取得には、条件によって5年もしくは3年の実務経験が求められますが、合格さえしてしまえば後から実務経験を積んでからの資格取得も可能です。

電気主任技術者と電気工事士の違いはどこにあるのでしょうか?

三原講師:基本的に電気主任技術者と電気工事士は業務内容が異なり、電気主任技術者が電気設備の「監督」だとすれば、電気工事士は電気設備の工事を行う「プレイヤー」です。

受験者層もそれぞれ、電気主任技術者の試験では電力会社や電気設備会社に勤務する30代~50代の方が、電気工事士の試験では学生や建設会社、ビルメンテナンス系会社に勤務する10代~30代の方が中心となっていますが、50代の方も約8%、60代以上の方が約2%と幅広い受験者がいます。

電気工事士の試験を電気主任技術者の試験への足掛かりとしている方もよく見受けられるため、「電気主任技術者の勉強は難しいかも」と感じている方はまず電気工事士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

おススメのWライセンスはありますか?

徳永講師 電気主任技術者とのWライセンスは勉強面・キャリア面双方の視点から大変おススメです。

その他にも、ご自身の目指す業種によって、電気工事士と好相性の資格も多いので、少しずつ取得していくと就職・転職はもちろん、社内の昇給や独立にも有利に働くでしょう。
おススメの資格例

〇通信や光ファイバー接続などの工事を請け負う場合…
電気通信工事担任者 など

〇ビルメンテナンス全般を請け負う場合…
いわゆるビルメン4点セットといわれる資格(第二種電気工事士に加え、二級ボイラー技士危険物取扱者乙種4類第三種冷凍機械責任者)、消防設備士 など

電気工事士として従事することのやりがいを教えてください。

三原講師:電気工事士として、どのような依頼であっても言われたことのみではなく、「何か自分にできることはないか」を探して取り組むこと、そして、それに対してお客さまが喜んでくれることが、私にとって大きなやりがいです。

コンセント1つ付けるのにも、小さなお子さまがいたらコンセントカバーを提案したり、年配の方の住居ではコンセント位置を高くしてかがむ動作を減らすようにしたりと、少しの工夫でお客さまの満足度を上げられたときにはこちらも嬉しいですし、プロとして良い仕事ができたと感じます。

徳永講師:私は、お客さまとの距離が近い点が大きなやりがいになることもあると思っています。

ブレーカー故障やコンセントが使えないといったご近所の電気トラブルに迅速な対応ができたり、コミュニケーションを取りながら作業できたりといったことが電気工事士の業務の良い点です。

これからの電気工事士のニーズについて教えてください。

三原講師:電気工事士が活躍できる場面は幅広く、施設やビルの電気設備を設置するような大掛かりなものから、住宅のコンセントを作る身近な業務まであります。

これまでの電気工事士は、主にハウスメーカーや家電量販店、リフォーム会社、工務店などに勤務する場合が多かったのですが、今後はその他の業界でも電気工事士を社内に常駐させる会社が増えるのではないでしょうか。

一方で、毎年約15万人が第二種電気工事士の試験を受験し、そのうち約6万人が合格しているにもかかわらず、業界では長らく人材不足が叫ばれています。この状況は、社会全体にとって大きな課題ですが、新たに電気工事士を目指す方にとっては大きなチャンスともいえるはずです。

みなさんにメッセージをお願いします!

三原講師:この記事を読んだ方は必ず電気工事士を目指してください、というのは冗談ですが…(笑)

電気は私たちの生活を支えている重要な要素の1つです。電気工事士の資格取得で就職・転職ともに高いニーズを得られるのではないでしょうか。

特に定年退職後の再雇用・独立を目指す方やこれからの進路・キャリアに迷っている方には一度、電気工事士の資格取得を検討していただきたいです。

徳永講師:今後、多くの職業がAI(人工知能)やロボットに代わるといわれていますが、電気工事士は現場での対応が中心であり、人がやらねばならないことですから、将来的になくなるという心配もありません。

ぜひみなさんも電気工事士の道へ踏み出してみてはいかがでしょうか。


いかがでしたか。

オール電化や太陽光発電などをはじめとした住宅でのニーズに加え、災害復興や地域の再開発の増加、有資格者の高齢化も重なって、電気工事士の人材不足は年々深刻化しています。裏を返せば、ニーズが高い今こそ電気工事士として活躍したいと考える方にとっては大きなチャンスといえるでしょう。

また、個人のスキルを提供するプラットフォームサービスの発展が進んでいる現在は、副業やアルバイトとして資格を活かすこともでき、電気工事士は将来を考える上でぜひ取得しておきたい資格です。

就職や転職、再雇用を考える方をはじめ、「人とのつながりからやりがいを感じる仕事がしたい」「一生の職を見つけたい」「新しいことにチャレンジしたい」という方はぜひ電気工事士の資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

◇TACの講座はこちらからどうぞ

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