日本語検定で子どもの国語力が上がる理由を大解剖!【はやしかく】
私自身が最近受けた資格・検定の中で「おっ!これは良い試験!!」と感動したのが「日本語検定」。「子どもの国語力を上げるのにも最適」と評判だそう。
ということで、その魅力を紐解くべく、「日本語検定」を突撃取材してきました!
お話を伺ったのは・・・
「日本語検定」の狙いとは?
「日本語検定」ができたのは、2000年代に入ってから。2005年にプロジェクトが発足した後、2007年に第1回の試験が開始されたそうです。
「21世紀に入り、手書きの機会が減ってメールなどがコミュニケーションツールの主流になる等の変化の中、『語彙力の低下など基礎的な学力不足により、大学生が講義についていけない』『敬語がまともに使えない社会人が増えた』『単語をただ並べただけの表現になってしまう児童が多く見受けられる』などの問題が指摘されるようになりました」(沖田さん<以下同>)。
表現力や理解力といった「言葉を使う力」が十分でないと、思わぬトラブルが発生し、仕事だけではなく家庭でも学校でも、いじめなど様々な問題の原因になることがあります。
そんな状況を改善すべく作られたのが「日本語検定」というわけです。
「『日本語検定』は、敬語・文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字という6つの領域から出題され、総合的に日本語を運用する能力を試すことができます」。
そう、私自身が非常に気に入ったのもココ! 6つの領域の力が満遍なく付くので、総合的な国語力を上げるのに最適なのです。
また、敬語や漢字など、「日本語検定」に含まれる各領域には、他の資格・検定も存在しますが、それらはどちらかと言えば知っているかどうかの知識を問うもの。
一方で、「日本語検定」は総合的な力を試そうとしているんだな、ということを受検をしながらヒシヒシと感じました。
“ただ知識があるかどうかではなく、程よい加減で日常生活に使えるかどうか”、実際に受けた方でないとこの感覚が伝えにくいところですが、試験問題の内容が絶妙なんです。
「まさにご指摘頂いたことは、公式テキストや試験問題でこだわっている部分です。
お子さんの場合は勉強する際に、問題が自分事として捉えられるかどうかがポイントになりますので、文章題の内容も、身の回りの世界からかけ離れないように作成しています」。
国語力を上げるには、「日本語検定」の勉強が近道と言えるかもしれませんね。
小学生の国語力が上がる理由
未就学児や小学生の時に「日本語検定」の受検をすると、さらに上を目指し勉強を進める子どもも多いのだとか。
「検定の合格で達成感が得られると、日常生活を通じて日本語に対しての意識が上がります。コレが、国語力が上がると言われるゆえんかもしれません。
お子さんだけでなく、ビジネスパーソンでも同じような効果を実感されるようで、企業などでの団体受検も増加傾向にあります」。
確かに、テレワークで対面の機会が減った今、文字でのコミュニケーションが占める比率が増加。
こうなると、対面の会話以上に日本語のセンスがモノを言う時代になってきたと言えそうです。
「どの世代にも効果がありますが、やはりおススメなのは小学校低学年などの早いうちから始めること。
後々活用できる期間が長くなりますし、基礎的な能力はその多くが早いタイミングで決まってしまうとも言われますので、小学生の受検は理にかなっています」。
幅広いレベル設定も魅力
「日本語検定」は、7級から1級まで7つのレベルに分かれています。
最難関の1級は社会人上級レベル。
と言ってもピンと来ないと思いますが、300以上の資格・検定を持っている私でも全く歯が立たない、かなりの難度です(私が取得しているのも2級まで)。そのためか、比較的高齢の方も腕試しに受検されているようです。
一方、小学校2年生レベルの最も易しい7級の受検者には、未就学児も少なくないそう。
「様々な年代の方々が受検されるという意味においても、他の資格・検定にはなかなかないポイントと言えるかもしれません。
親子2世代や、祖父母を含めた3世代で受検されることも珍しくなく、『問題を出し合い、学習の過程も楽しい思い出になりました』と話してくださる方々も多いです」。
そんな背景もあり、「日本語検定」では親子受検も推奨しているそう。
また、難関の1級に10回認定されることで「日本語の達人」という称号がもらえるなど、楽しく勉強できる仕掛けも盛りだくさんです。
COLUMN:親御さんからの悩みにアドバイス!
正解か不正解かはっきりと分かる算数と違い、子どもの国語力に悩みを抱える親御さんが少なくないようです。
そこで、「日本の資格・検定」編集部に寄せられた悩みに対し、沖田さんからアドバイスを頂きました。
悩み①
幼少時代からたくさん読み聞かせをしていましたが、小学生1年生となった今、本を読んであげても、耳を傾けなくなってしまいました。
「読み聞かせはとても重要です。ですが、お子さんの立場ではなく、親の立場で読ませたい本を押し付けてしまっていることも。
そんな場合は、図書館や書店などで開催されるような読み聞かせイベントに出向いてみてはいかがでしょうか。より広い選択肢に触れ、興味を持てる幅が広がります。
お子さんが読みたくなるような本であれば、リビングのテーブルに置いておくだけで、自ら手に取る可能性も。
ここでポイントなのは、ゲームに興味があるのなら躊躇せずにゲーム関連の本を置くことです。
とにかく活字に興味が沸くまでは子供ファーストで本をセレクトしてみましょう」。
悩み②
小学校の毎日の宿題は漢字ドリルと音読。これで国語力が上がるのか不安です。
「漢字の練習や音読は、国語力の基礎を養う大切な学習です。学校の国語は、学習指導要領に沿ったもので、しっかりと体系立って作られていますので、必要な内容が十分に含まれています。
ただ、大人になって振り返ってみると、何を学んできたのかハッキリしないような面もあり、授業でどんな力がついたかを確認する機会が少ないのが課題かもしれません。
『日本語検定』のような機会を利用して頂くと、どれだけ実力がついたのか、また苦手な部分は何なのかを確認できます。
学校でのインプットと検定でのアウトプットが、両輪となって相乗効果を生んでくれるでしょう」。
悩み③
小学校高学年にもなるのに、子供の話が順序立てられておらず、意味が分からないことが多々あります。
「順序立っていないと感じられる場合、その原因が文法にあるのか、語彙力の不足によるものか、または、言葉の意味の間違いか、など原因は様々です。
その原因を明らかにして学習することが、弱点の克服に繋がります。
『日本語検定』では、結果を個人カルテとしてお送りしています。これを確認していただくことで、弱点を把握することが可能に。
分野別の問題集もありますので、苦手な部分を重点的に振り返って学習できます。
簡単な級からステップアップすることで、子どもに成功体験を感じてもらいつつ、弱点を自ら克服していく機会にして頂けたらうれしいです」。
悩み④
算数にも国語力が必要と聞きますが、なぜなのでしょうか?
「算数でも、文章を読んで問題の内容を把握するために読解力が必要です。
さらに、問題を解く過程で思考したり、それを表現したりするにも、語彙力や文章構成力などの日本語能力は欠かせません。
このため、日本語の運用能力を身につけることは、国語だけにとどまらず幅広い分野の学習に効果を発揮するのです」。
私達が一番多く使うものでありながら、当たり前になり、意識しなくなってしまう日本語。
自ら使う言葉への思いやりが、相手に対する思いやりとなります。
総合的な問題で地頭を鍛えてくれる「日本語検定」で、力試しをしつつ日本語運用能力をアップさせていけるといいですね!
取材・文=林 雄次
「はやしかく」とは?
300以上の資格を持つ「資格ソムリエ」こと、はやし先生(林 雄次さん)が、資格・検定にまつわる役立つ情報を独自の視点でお届けします。連載「はやしかく」の記事一覧はこちら!
林 雄次さん
大手企業にてITエンジニア職を経験後、IT活用&DX推進に注力する新世代の社労士・行政書士として独立。企業の働き方改革や業務改善、IT導入などを支援する「デジタル士業」として活躍。また、その他の士業を含む300以上の資格を持ち、「資格ソムリエ」としてさまざまなメディアに出演中。
・Twitter:https://twitter.com/yujihys
・はやし総合支援事務所:https://h-office.biz/