「時間的コスト」から考える資格・検定試験へのチャレンジ
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みなさんは何か資格・検定にチャレンジしようと思ったとき、どれを受験するかをどのように決めていますか?
資格の取得や検定の合格は、自分が持っている知識・スキルのレベルを的確に相手に伝えられる、いわば証明書のようなものです。これにより扱える業務が増え、活躍の場も広がるため、「何か一つ証明書を持ってみよう!」となる方は多いと思います。しかし、初めて資格・検定にチャレンジするときには、その一つをなかなか選びにくいものです。
世の中にはたくさんの資格や検定があり、その中には少ない時間で取得できるものもあれば、自分の可能性を大きく広げられる反面、膨大な時間を学習に充てなければ取得できないハードな資格も存在します。最初のチャレンジでそれを目指すのは、少々リスクを伴うことですよね。
そこで今回は、初めて資格や検定を受けたいと考えている方のために、「どれくらいの学習時間を確保できるか」という学習時間の観点からチャレンジする資格・検定を決める方法をご紹介したいと思います。資格の学校TACで現在編集を担当されている森孝時氏にその方法を伝授してもらいました!
森 孝時氏
資格の学校TACで複数の講座の教育企画、広報を担当。その後、出版事業部門であるTAC出版に異動し、現在は編集者として資格や検定試験の受験指導に携わる。業界でのキャリアは20年を超える。
はじめに
今回ご紹介するのは、「確保できる時間的コスト」から受験する資格・検定を考える方法です。「時間的コスト」というと難しく感じるかもしれませんが、実はとても単純で、「1日当たりどれくらいの学習時間を確保できそうか?」「どれくらいの期間なら学習を続けられそうか」という2つの要素から計算することができるのです。
それでは、一つずつご説明していきましょう。
STEP1 「1日当たりどれくらいの学習時間を確保できそうか?」を考える
まずは、上記の計算式中の①「1日当たりどれくらいの学習時間を確保できそうか?」から考えていきます。
仕事が忙しい社会人の方や、単位の取得に追われて時間が取りづらいという学生の方でも、1日1時間の学習時間なら何とか確保できるのではないでしょうか?
理想を言えば学習を習慣付けるために毎日決まった時間を学習に充てることが望ましいのですが、「平日は何かと忙しい」「休みの日くらいしか時間が無い」という方もいるはずです。その場合は、平日の学習時間を控えめにし、土日に集中して時間を確保し、学習するという方法もあります。
この2パターンで、1日1時間の学習時間を確保する方法を考えてみます。
少し学習のイメージができましたか?
案外1日1時間なら続けられそうだと思えたはずです。もし、「えっ?もっと時間を取れそう!」と感じたのなら少しだけ学習時間を足してみます。例えばもう30分を加えて1時間半にしてみたり、さらに頑張って2時間勉強してみたり、とさまざまな学習時間を想定してみましょう。
いかがですか?今の自分の生活に当てはめてみて、1日当たりの学習できる時間を見定めてみてください。仮に1日1時間ずつ勉強すれば、1週間で7時間になります。もし1日2時間なら1週間で14時間ということになりますね。まずはこれが第一段階です。
STEP2 「どれくらいの期間なら学習を続けられそうか?」を考える
次に、計算式中の②「どれくらいの期間なら学習を続けられそうか?」という点を考えてみます。「1日〇時間の学習を1カ月間続けたらどれくらいの学習時間になるのか?2カ月間続けたら?」という期間的な観点から考えてみるのです。
先ほどの①と組み合わせる形で表にまとめてみましょう。
①と②の組み合わせで「確保できる時間的コスト」を導き出せました。
1日1時間の学習であっても、3カ月間続ければ90時間にもなります。さらに1カ月延長して4カ月間頑張れば120時間が確保できます。これだけの学習時間があれば、いろいろな資格・検定にチャレンジできそうな気がしてきますよね。
逆に短期間で集中的に学習したいと考えている方、例えば繁忙期までの2カ月間で何とかしたいと考えている社会人の方や短期的に勝負したいという学生の方であれば、1日当たりの学習時間を増やして、その分学習期間を短くしても構いません。1日2時間ずつなら、2カ月間で同じように120時間の学習を確保できます。
より万全を期すならば、ここで求められた時間を「90%の数字で考えてみる」と、多少の余裕ができるかもしれません。風邪をひいてしまったり、どうしてものお付き合いがあったりして学習時間が確保できなかったという事態を考慮するためです。確保できそうな時間的コストが120時間だとしたら、あえて90%の時間の「108時間」を学習時間に充てられると認識しておけば、より安心感があるはずです。
STEP3 確保できそうな時間で何を目指すか?
最後に、確保した時間で「どんな資格や検定を目指すか?」と「どのように学習すれば良いか?」ということを考えていきます。スクール(受験指導校)を利用して学習する方法ではコスト面での負担が多少大きくなってしまうので、今回は書店で販売している書籍を使って学習するということで考えてみます。
市販の書籍を使って独学で学習することに不安を抱く方もいるかもしれませんが、最近の資格試験対策の書籍は非常に良くできています。フルカラーの印刷だったり、図表やイラストが豊富で、抜き取り式の冊子が付いていたりと、分かりやすくスムーズで効率的な学習ができるように作られています。一人で学習している間も、まるで先生がそばにいてくれるかのような感覚を味わえるはずです。特に通勤時間やお昼休みの空き時間を使うなら、このような市販の書籍が心強い味方になってくれるでしょう。
そこで、ここからは独学で取得を目指せるおススメの資格・検定をご紹介していきたいと思います。
ビジネス実務法務検定試験®3級
ビジネスに不可欠なコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識を体系的かつ効率的に身に付けることを目的とした試験です。
平均学習時間 40~50時間
取得コスト 約10,000円(書籍代+受験料)
試験実施月 7月・11月(年2回実施)
資格の詳細はこちら
日商簿記検定3級
会計知識の基本を学習する簿記検定。中でも日商簿記検定は最もメジャーであり、多方面でのスキルアップを目指す方におススメです。
平均学習時間 50~100時間
取得コスト 約10,000円~13,000円(書籍代+受験料)
試験実施月 6月・11月・2月(年3回実施)
※コンピュータ試験の場合は随時受験可能
資格の詳細はこちら
ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級
体系的にまとめられた、お金に関する6分野の知識を用いて、資産運用を始めとするさまざまな業務に従事するFP。身の回りの金融知識を暮らしにも生かせる資格です。
平均学習時間 80~150時間
取得コスト 約10,000円~13,000円(書籍代+受験料)
試験実施月 5月・9月・1月(年3回実施)
資格の詳細はこちら
ITパスポート試験 (iパス)
単に技術的な知識だけではなく、マネジメントやストラテジーといったビジネス関連の知識なども幅広く求められる資格です。情報処理試験のファーストステップとしてもおススメです。
平均学習時間 50~100時間
取得コスト 約10,000円~14,000円(書籍代+受験料)
試験実施月 コンピュータ試験のため随時受験可能
資格の詳細はこちら
上記で挙げた資格・検定は、取得を公言できるようなメジャーなものばかりです。それぞれ1日1時間、3カ月から最大でも5カ月間学習できれば、必要な知識をインプットすることができます。もちろん時間的なコストだけではなく、金銭的なコストも比較的手ごろと言えます。
みなさんも自分の「確保できる時間的コスト」を計算して、チャレンジしたい資格・検定を見つけてください!
いかがでしたか?
「進学・就職のため」「現在の仕事に役立てるため」「面白そうだから」など、受験する資格・検定を決める理由はさまざまですが、「これくらいの学習時間を確保できそうだから」という点も意識すると、合格までのゴールがより近づきそうですね。
何の資格・検定に挑戦しようか迷っている方は、まず「どれくらいの学習時間を確保できるか=確保できる時間的コスト」を計算し、学習の計画を練ってからチャレンジしてみましょう!
◇TACの書籍はこちらからどうぞ