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医師になる子どもの育て方。小学校に上がる段階で道のりは早くも始まる【現役医師インタビュー】

インタビュー #医師免許、取るには?取ったら?

医師になる子どもの育て方。小学校に上がる段階で道のりは早くも始まる【現役医師インタビュー】

特集【憧れの医師免許、取るにはどうする?取ったらどうする?】
医師といえば、高い年収と大きなやりがいで、いつの時代も憧れの職業。
この特集では、医師免許の取得方法や医師として活躍するまでの道のりに加え、なかなか聞けない医師という職業の裏話をお届けします。

子どもに医師への道を歩ませるには、勉強面・金銭面共に小学校に上がる頃から計画的な準備が必要です。

そこで今回は、実際に医師として働くA子さんに、ご自身の経験を交えつつ、小学校から医師免許を取得するまでの道のりについて教えてもらいました。

この特集の記事
第1回【医師になるまでの流れ】……公開中
第2回【中学受験から始まる医師への道】……今回はコチラ
第3回【医学部で何する?何学ぶ?】……公開中
第4回【医師の働き方と裏話】……coming soon
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お話を伺ったのは……

医師 A子さん
地方私立医学部を卒業後、大学病院に就職。皮膚科医局にて従事し、現在はフリーランスとして活動中。K-POPとピラティスにハマり中。

 

医師への道は長期戦!中学受験から12年

——そもそも、A子さんはいつから医師を目指していましたか?


両親が医者だったこともあって、幼い頃から「自分もお医者さんになるんだろうな」とは思っていました。

小学校の卒業アルバムにも、将来の夢として「お医者さん」って書いたので(笑)。

本格的に医師を目指し始めたのは中学受験から。医学部進学を見据えて私立の中学を受験してみようということになったんです。

——幼い頃からの夢だったんですね。私立中学ではどれくらい勉強していましたか?


一般の公立校の友人よりは勉強しましたが、そんなに過酷ではなかったかと。

とはいえ中高一貫校だったため、早めに高校までのカリキュラムを終えるように授業が組まれていて、1日7時間授業+補修授業といったハードな日も。

その甲斐あって、中学2年までに公立中学の3年分の内容を終え、高校1年の頃には高校3年の内容を先取りして学んでいました。

——早弁ならぬ、“早勉”だったんですね!


今思うと、そのシステムは結構良かったですね。早めに授業を進めてくれたのはありがたかったです。

ただデメリットもあって、中学入学から大学受験まで6年間とあまりに時間がありすぎる! 中学の後半~高校の前半は”中だるみ”もありました(笑)。

医学部入試は独特。私立は小論文や面接も

——高校に上がってからは、具体的な大学選びもスタートしますよね。医学部生はどうやって志望大学を選んでいるんですか?


基本的には他の学部と同じように、自分の偏差値にあった学校の中から選びます。

ただ、大学によって外科が強いとか、法医学のような特殊な分野に強いとか、それぞれ特色があるので、将来のキャリアに強い希望がある人はその条件で選ぶことも。

ーーちなみに、A子さんの大学選びの条件は?


私は偏差値とキャンパスの周りの住みやすさで志望大学を選びました。あとは入試方法も重要!

ーー大学によって入試方法が違うんですか?


大学によっても異なりますが、私立大学の場合、基本的には一般的な理系科目(数学・英語・理科2科目)に加えて、面接や小論文があります。

国公立大学は当時のセンター試験(現在の共通テスト)の後に、二次試験として学科試験や面接、小論文などがありました。

私は私立大学の、しかも推薦入試だったので、より面接や小論文が重要だったんです。

——医学部にも推薦入試があるんですね! それにしても、医学部の面接って緊張しそう……。

「推薦入試の良いところは他の受験生よりも早く受験の緊張感から解放されるところ。私は12月に合格が出たので、クリスマスもお正月も例年と変わらず過ごせました(笑)」とA子さん。


面接官は大学の教授陣で、結構プレッシャーを感じた記憶があります(苦笑)。

地方大学の推薦入試では「卒業後もこの地域に残る意思があるか」といった質問も。

あらかじめ塾で面接に向けた対策を何度も繰り返し、ある程度テンプレート化した回答を用意して臨んだので、本番では落ち着いて受け答えができました。

合格への近道? 医学部専門塾の実態

——塾では”医学部コース”のようなカリキュラムを受講していたんですか?


大手の塾や予備校には”医学部コース”も用意されれいますが、私が通っていたのは医学部専門の塾です。

隣の県まで片道1時間半かけて通っていました。

ーー医学部専門塾! どんな授業を受けるんですか?


通塾は毎週土曜日の週1回でしたが、朝9時から夜9時まで缶詰め状態で、小論文対策、面接練習、医学部特有の問題演習など、みっちり詰め込まれましたね。

——小論文や面接対策の内容が気になります。


受講生の志望大学に合わせて異なるとは思いますが、私の場合、小論文対策では、医療に関するトピックの練習が主流。

地域医療についての考え方や、その時々の医療に関する時事問題について意見を求められる傾向だったので、とにかくさまざまなテーマで小論文を書きました。

面接対策は、質問へのテンプレート回答を作って模擬面接をする練習が中心です。

本番の面接では倫理観や地元への思いを問われるケースも。私立大学の場合は特に、医師としての適性を見極めるための質問が主だったので、その答え方を中心に対策しました。

——ちなみに、塾にかかる費用はどれくらいでしたか?


正直、人生で一番お金がかかったと言っていいくらいです。


具体的な金額を親に聞いたところ、”トップシークレット”なのだとか。でも、あれだけの手厚いサポートがあったということは……(汗)。

ハードな受験期でも、リラックスする時間は大切と語るA子さん。勉強漬けにならないよう、適度に気分転換することを意識していたのだそう。

——ご両親に感謝ですね。塾以外ではどのような勉強を?


自宅学習もかなりしました。徹底的に過去問を解いたり、医学部向けの参考書を何冊も読み込んだり。

医学部を志望する友達と勉強会を開いたのも良かったです。お互いに刺激をもらえて、モチベーションの維持にも役立ちました。

学費から奨学金まで、医学部の金銭事情

——大学入学後の費用はどれくらいかかりましたか?


地方の大学で、なおかつ寮に入れたので、生活費は家賃込みで月4〜5万円程度。東京などに比べるとかなり安いと思います。

とはいえ私立大学の医学部の学費は6年間で2000万円を超えることがほとんど。高い大学では4000万円なんてところも! 本当にお金がかかりますよね(笑)。

——親からの経済的サポートはいつまで必要になるのでしょうか?


研修医になれば自立できます。研修先によってピンキリですが、初任給はそこそこいいです。

私の初任給も25万円くらいだったかな……。残業代もつくので生活には困りません。

ただし、残業時間が100時間を超えることもあるので、体力的にはきついです。

——奨学金は利用しましたか?


はい。医学部は6年間と長いので、奨学金は大きな助けになりました。

ただ、返済のことも考えると、あまり多額の借り入れは避けた方が良いと思います。

地方の医師不足対策として、地元に戻ることを条件に返済免除になる奨学金制度もあるので、そういったものを活用するのも1つの手だと思います。

——不合格だった場合の対策は考えていましたか?


正直、現役合格にこだわりすぎず、浪人も視野に入れていました。実際、周りにも浪人して志望校に合格した人が多かったです。

ただ、浪人する場合は親の経済的負担も大きくなるので、そのあたりは事前に家族でよく話し合っておくべきだと思います。


医師になるまでの道のりは、長く険しいもの。受験する本人にも保護者にも、覚悟が必要です。

しかし、早い段階から計画的に準備を進め、適切なサポートを受けることで、夢の実現に近づくことができるでしょう。

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文=倉持 佑次

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