医学部のリアル! シビアな単位事情にキャンパスライフや恋愛も【現役医師インタビュー】
インタビュー #医師免許、取るには?取ったら? この記事をあとで読む
特集【憧れの医師免許、取るにはどうする?取ったらどうする?】
医師といえば、高い年収と大きなやりがいで、いつの時代も憧れの職業。
この特集では、医師免許の取得方法や医師として活躍するまでの道のりに加え、なかなか聞けない医師という職業の裏話をお届けします。
医学部と聞くと、勉強漬けのハードなイメージがありますよね。実際のところはどうなのでしょうか?
そんな疑問を解消するため、現役の医師に医学部時代の裏話を聞いてみました。
勉強や実習の実態から、意外な課外活動の様子まで、医学部の真の姿に迫ります。
この特集の記事
第1回【医師になるまでの流れ】……公開中
第2回【中学受験から始まる医師への道】……公開中
第3回【医学部で何する?何学ぶ?】……今回はコチラ
第4回【医師の働き方と裏話】……coming soon
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医学部6年間の道のり。基礎知識の座学から臨床実習まで
——まず、医学部6年間の過ごし方について教えて下さい。
6年間を大まかに分けると、4年目くらいまでは座学中心。医学的な知識をガッツリと頭に入れていきます。
5年目からは臨床実習がメインになって、実際に病院で患者さんを診る経験をするんです。
——なるほど。ちなみに、医学部生が一番最初に学ぶことって何なんでしょうか?
まず最初は、細胞レベルの動きについて学びます。ナトリウムやカリウムが細胞の中にどう出入りするか……とか。
そのときは「こんな細かいこと必要かな?」と思うんですが、何科の医師になるにしても、ここで学ぶことがすべての土台になるんです。
それに、医学部といっても、1年目は高校の延長線上みたいな感じで、一般教養も学びますよ。
——意外です! では講義の内容で印象に残っているものは?
法医学と解剖学の実習は印象的でしたね。
法医学は『科捜研の女』とか『アンナチュラル』といったドラマを見ていた人ならイメージがつきやすいかも。
ご遺体の死因を調べたり事件解明に携わる内容は、一般的な”治す医療”とは異なる視点があって興味深かったです。
解剖学の講義も、ご遺体を解剖して人体の構造を学んでいきます。
3カ月くらいかけて1体のご遺体を見ていくんです。例えば今日は肝臓、今日は肺、みたいな……。
——血が苦手な方は体調を崩してしまいそうですね……。
はい。中には体調を崩す学生もいました。解剖は肉体的にも精神的にもキツかったです。
ただ、医療に役立てるためにご遺体を提供してくださった方々のおかげで学べるので、本当に貴重な経験です。
——5年目と6年目の臨床実習では、どのようなことを?
それぞれ病院に赴いて、内科、外科、小児科、産婦人科……など、各診療科を1カ月ごとにローテーションしながら実践的な学習をします。
基本的には見学が中心で、患者さんに問診をとったりすることも。
——臨床実習中に印象に残っている経験はありますか?
そうですね。実習中でも、患者さんの死に直接向き合うことはありました。
救急科にいたとき、心肺停止の患者さんが搬送されてきて……。そのときはもう、ドラマで見るような光景です。
でも実習中の身では免許もなく、治療のサポートもできないので、ただ見学するだけ。とても心苦しかったし、人はこんなにあっけなく亡くなってしまうんだな、と衝撃を受けました。
あと、1カ月間とはいえ同じ科の先生に付いて毎日過ごすので、相性が悪かったり、意地悪な先生に当たると地獄のようです(笑)。
挑戦の連続。厳しい試験と進級システム
——一般的な大学生活では半期に1回試験がありますよね。医学部も同様ですか?
基本的には同じです。しかし、医学部は1つでも単位を落とすと留年になってしまいます。
普通の大学生なら3分の1くらい単位を落としてもなんとかなりますけど、医学部は全部合格しないとダメ。
留年率は大学によって違いますが、3割くらいの学生が留年する大学もあるみたいですよ。
——なんという過酷さ……! 留年した場合、どうなるんですか?
基本的にその学年をもう一度やり直すことになります。
ただ、大学によっては追試験制度があって、1科目1500円から3000円くらい払えば再試験を受けられるところもあります。
でも、これも簡単には合格できないので油断禁物です。
ーー他にもパスしなければならない試験があるのでしょうか?
はい。まず、4年次にCBTと臨床実習前OSCE(オスキー)という2つの大きな試験があります。
CBTはPC上でランダムに出題される320問を解く試験で、知識量が問われる一方、臨床実習前OSCEは問診や診察の実技試験。
両方に合格できなければ、次の学年に進級できなかったり、次年度からの病院実習に参加することが認められないといった決まりがあります。
次の大きな試験は6年次の卒業試験。(現在は6年次の臨床研修後OSCEも実施されています)
卒業試験は、これまで6年間習ってきた内容が問われる試験。1~3カ月かけて20科目以上の試験を受けます。
これに受からないと大学を卒業したり、医師国家試験を受けることができないんです。
——どの試験もプレッシャーがかかりそうですね。この後に医師国家試験を受験する流れですか?
はい。医師国家試験は合格率9割と、ほとんどの学生が合格します。
私が通っていた大学の場合、医師国家試験よりも卒業試験の方が難しいので印象が薄いかも(笑)。それくらい卒業試験の方が大変でした。
意外と充実? 医学部生の課外活動からバイト、恋愛まで
——在学中の勉強時間はどれくらいですか?
人によりますが、1年から4年くらいまでは、テスト前の1〜2カ月間に、1日12時間くらい勉強する感じだったような。
でも5、6年になると実習に卒業試験に臨床実習前OSCE……と、忙しくなるので、かなりハードです。
——サークル活動やバイトなどをする時間はあるんですか?
ありますよ。むしろ、4年生くらいまではけっこう自由な時間があります。アルバイトをしたり、部活やサークル活動をしたりする人も多いです。
実際に私も女子バスケ部のマネージャーとして練習のサポートをしたり、遠征をしたりと大学生活を満喫していました(笑)。
——サークル活動もしっかりできるんですね! ちなみに、医学部生ならではのアルバイトはありますか?
家庭教師が人気です。「医学部に行きたい」という高校生向けの指導をすると、けっこういい報酬がもらえるんです。
ただ、有名大学の医学部じゃないと、なかなか需要がないかもしれません。
——医学部専門の家庭教師となるとかなりシビアなんですね。他にも、医学部ならではの“あるある話”があれば!
うーん、医学部生同士のカップルは多いです。学年の半分くらいがそうだったかも? 同じ環境で長時間一緒にいるから、自然とそうなるんでしょうね。
ただし、就職すると破局する人たちも多いのが現実(笑)。
——え! 半数がカップルに!? しかも、せっかく共に頑張って医師になったのに破局してしまうんですか!?
医師の男性ってモテるから、就職した途端に”調子に乗る”みたいなところはあると思います。
私の周りでも、大人しかった男の子が看護師の女性にモテて激変していたり……(笑)。
反対に、女性の医師って「医者だからモテる!」みたいなことも無いし、職場で一緒に働くのが女性の看護師さんや医療事務さんばかりで出会いもないんです。
そういう男女間のギャップが別れの元になるんでしょうね(笑)。
6年間のキャンパスライフは「とても充実していた」というA子さん。
医学部生としての勉強は確かに大変ですが、医学部でなければできない経験はかけがえのないものでしょう。
次回は医師としての働き方や副業事情について伺います。お楽しみに!
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