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登録販売者とは?どんな人が受けてる?ニーズ急上昇中の理由も

資格・検定特集

登録販売者とは?どんな人が受けてる?ニーズ急上昇中の理由も
★今回は、資格の総合スクール(株)東京リーガルマインドと日本の資格・検定のコラボ企画第6弾として、登録販売者にスポットを当てました。

現在、最も注目されている資格の1つである登録販売者。手に職を付けたいという方から圧倒的な支持を集め、ここ数年で急速に受験者数を伸ばしています。

<図1>

出典:厚生労働省

上記の表からも分かるように、2017年度からは大規模な国家試験である看護師試験や衛生管理者試験と並ぶ年間6万人超が受験しており、登録販売者資格の「一大ブーム」が巻き起こっていると言っても良いでしょう。

「登録販売者」という資格名からはその実態が見えづらいですが、主な業務は一般用医薬品(OTC医薬品)の販売や医薬品に関するお客様への相談対応など、実はとても身近な存在なのです。今後も活躍の場の拡大や社会的ニーズの増加が予想されているため、就職・転職を考える方にはイチオシの資格となっています。

そこで、今回の記事では満を持してこの登録販売者を特集!今注目されている理由や取得後のキャリアパスなど気になるポイントをLECの講師である唐沢隆弘氏に伺いました。

唐沢 隆弘 氏
株式会社東京リーガルマインド 執行役員
同社新商品事業部・顧客サービス部・提携校事業部 部長

株式会社東京リーガルマインド(LEC)にて、教材制作・資格試験対策の講師・人材採用・講師養成研修・法人営業・新規事業企画・開発等の業務を経て、現在、新規事業・顧客サービス部門・提携事業部門の責任者を務める。

Q1 登録販売者とはどのような職業ですか?

現在、国内において医薬品を扱うことが認められた公的な資格は薬剤師ともう1つ、この「登録販売者」のみです。薬剤師が処方箋に基づく調剤をする傍らで医薬品全般の販売を行うのに対して、登録販売者は第2類・第3類医薬品の販売を主な仕事としています。

<図2>



この第2類・第3類医薬品は一般用医薬品の約9割と大半を占める上、かぜ薬や鎮痛剤、ビタミン剤など購入頻度が比較的高いものがほとんどです。
また、登録販売者は単に第2類・第3類医薬品を販売するだけでなく、お客様の症状や悩みをもとに相談に乗ったり、購入しようとする医薬品について情報提供をしたりする機会も多く、私たちの生活に密着した存在であると言えます。

Q2 登録販売者資格が人気の理由を教えてください。

試験が開始された2009年から10年余りで、近年急激に注目が集まる登録販売者。その背景にはまず、超高齢化により年々上昇する日本人の「健康意識」があります。「人生100年時代」の掛け声のもと、医薬品に限ることなく健康食品や健康に関する情報番組など、健康商材へのニーズとそれに対応する商材のバリエーションが増加していることはみなさんも実感しているのではないでしょうか。

また、「セルフメディケーション」推進の影響も無視はできません。セルフメディケーションとは怪我や病気になった際に自分で医薬品を使用して治療を行うことを指しますが、一定の条件を満たせば税控除が受けられるなど、国を挙げて推し進められている制度です。これにより自主的な服薬の機会が増加した分、副作用や誤飲などのリスク管理が重要視されはじめました。

こうした社会の流れにより、今まで以上に医薬品を扱う際の専門性および信頼性が求められるようになりました。自分や家族の健康に知識を活用できるだけでなく、社会的にも、公的資格でありながら健康や医薬品について身近な場所で気軽に相談ができる登録販売者に大きな期待が寄せられています。

Q3 どのような方が登録販売者試験を受験していますか?

受験者全体の属性や年代等のデータは厚生労働省等で公表はされていないのですが、LECに限って言えば、年齢や性別に左右されなることなく、さまざまな方が受講しているのが登録販売者講座の特徴です。
年齢層でみると、働き盛りの30代から40歳代の方を筆頭に、セカンドキャリアを目指す60代から70歳代の方も多数受講されています。また、男女比ではおおよそ4:6で少し女性の方が多いでしょうか。

男女別の特徴として、女性の場合は30代から40歳代の方が多く、受講者の約7割を占めます。勤務形態もフルタイムやパートタイムなど幅広く、家庭や育児と仕事を両立したいという方が目立ちます。

一方で男性の場合は、「生涯現役」意識の高まりから、60代から70歳代で登録販売者資格を取得し、店舗管理者や医薬品を扱う経営者として積極的に自らの活躍の場作りに踏み出す方もいるようです。

Q4 医薬品の販売や接客が未経験なのですが…

資格取得後は、勤務先のある都道府県に販売従事登録の申請が必要です。登録証を交付してもらうことで、登録販売者として店頭に立つことができます。しかし、すぐに一人で業務にあたることはないので接客をしたことがない、医薬品を扱ったことがないという未経験の方でも心配は不要です。

登録販売者として一人で医薬品の販売を行うには直近5年間で2年(月80時間)以上の実務経験と年間12時間以上の研修受講※が必須となっています。これは登録販売者資格の大きな特徴でもあり、先輩登録販売者や薬剤師のもと、より深い医薬品の知識や接客のノウハウ、店舗の運営方法などを習得することで晴れて一人前の登録販売者となります。

※正規の登録販売者として従事する場合も同様に年間12時間以上の研修受講が必須です。

また、義務付けられたもの以外にも、企業内での研修やスクールによるレベル別のフォローアップ講習が開催されるなど、職場の外でも学びの機会が用意されているため未経験の方も安心して登録販売者への一歩を踏み出すことができるでしょう。

Q5 資格取得後はどのように活躍できますか?

一度資格を取得すれば一生涯登録販売者として働くことができるため、転居や転職の際にも活躍の場を見つけやすいと言えます。
薬局・ドラッグストア以外の小売業、特にホームセンターや家電量販店、コンビニエンスストアなどが積極的に医薬品の販売に乗り出したことや2014年から一般医薬品の通信販売が開始されたこと、また、介護の現場でも医薬品のアドバイスが求められていることから、資格を生かせる場面はさらに広がり続けています。

資格取得後の勤務先ケース

1. 薬局・ドラッグストア

登録販売者の最もオーソドックスな活躍の場です。医薬品の販売や接客と併せて在庫管理などの店舗運営業務も行います。登録販売者として従事した後、経験年数などの一定条件を満たせば店舗管理者になることも可能です。パート・アルバイトや正社員など雇用形態もさまざまなので、自分のスタイルに合わせて働くことができるでしょう。

2. コンビニエンスストア、家電量販店、スーパー、通信販売などの小売店

近年、店舗の一部で医薬品を販売している小売店や通販サイトでの医薬品の取り扱いを多く見かけるようになりました。これらは薬局・ドラッグストアが少ない地域において、医療を支える存在になると言っても過言ではありません。今後さらに拡大していく小売店での医薬品販売に向けて、各社がこぞって登録販売者の確保に乗り出しています。

3. 製薬会社

登録販売者というと、店舗で接客をするイメージが強いですが、製薬会社への就職・転職にも有利だといわれています。特に営業職では販売店舗への商品紹介など医薬品の知識が必須となります。実際に登録販売者として店舗で経験を積んだ後に製薬会社へ転職するケースや、資格を持つ学生が就職活動で優遇されるケースもあるようです。

4. 介護施設やエステサロン、整体院、コスメカウンターなど

アドバイザーとして登録販売者の知識を活用できる場も増えています。特に介護系資格やエステティシャン、整体師とのWライセンスとして登録販売者資格を取得すれば、利用者の方やお客様の相談により深く対応することができます。また、化粧品関連資格と併せて取得をすることで、コスメカウンターや化粧品業界での活躍も期待されます。

Q6 登録販売者が目指しやすいといわれるのはなぜですか?

登録販売者試験の合格率は毎年40~45%と決して高くはありませんが、比較的合格を目指しやすいといわれています。

この理由として真っ先に挙げられるのが、受験資格の制限がないという点です。
2015年より登録販売者試験の受験資格が廃止になったことで、学歴や実務経歴に関係なく誰にでも門戸が開かれています。これにより、就職・転職を目指す若い世代だけでなく、パートを考える主婦(夫)層の方から、定年退職後の再就職を希望する年配の方まで、幅広い層の方にチャンスが与えられるようになりました。
これは企業にとってもプラスに働いており、それぞれの立場から共感を持ってお客様の相談に乗ることができるため、各店舗のサービス面において大きな強みになっているのです。

また、受験機会の豊富さも登録販売者を目指しやすいといわれる理由の1つでしょう。全国の都道府県で実施されている登録販売者試験ですが、各都道府県によって試験実施日が異なります。そのため自分の条件に合う地域を探して受験したり、複数都道府県の試験を掛け持ちしたりすることも許可されています。
もちろん、自分の受験会場の試験に限って対策するよりも他会場の試験も視野に入れて学習を進めた方が多角的な知識も身に付きますし、場数を踏んで試験慣れができるということは受験時のアドバンテージになるのではないでしょうか。ぜひこの試験制度の活用を検討してみてください。

Q7 どのような問題が出題されますか?

登録販売者試験は医薬品の知識をもとに全て択一式の問題で構成されています。一言で医薬品の知識と言っても、科学的な作用や人体への影響など理系の問題から関連法規など文系の問題まで分野の振り幅が大きいため、気持ちを上手く切り替えて学習を進めましょう。

Q8 登録販売者の今後について教えてください。

登録販売者の今後を考える上で欠かせないのがインバウンド対策です。日本の医薬品は海外、特にアジアの方から大変人気があります。都心のドラッグストアに行くと、インバウンド客の方が買い物かごいっぱいに商品を抱えている姿を見かけることも多いです。

東京五輪やその先の大阪万博ではさらに多くのインバウンド客が見込まれているので、当分の間は医薬品取り扱い店、そして登録販売者のニーズが減ることはないのではないかと考えます。特に、語学に強い方には今後ぜひ受験をおススメします。


いかがでしたか。

登録販売者は職業としてニーズが高いだけではなく、資格としても身に付けて損のない内容となっています。人生100年時代、人は生きている間に平均200回、時間にして約5年間も風邪をひいているといわれています。風邪だけではなく、生まれてから最期の時までそれぞれのライフステージにおいて医薬品に頼る機会はきっと少なくないはずです。医薬品の知識を学べば自分や家族の健康に一生涯役立てることができるでしょう。

登録販売者試験は出題分野も幅広く、決して簡単な試験ではありませんが、活用場面やキャリアパスも多く、何よりお客様や周囲の方に寄り添い、その悩みを改善に導くやりがいのある職業です。就職・転職を見据える方はもちろん、健康に関心があるという方もぜひ登録販売者の学習を始めてみてはいかがでしょうか。

登録販売者の基本的情報

〇試験時期
・年1回以上(8月~12月頃)
※各都道府県により異なります

〇試験内容
・医薬品に共通する特性と基本的な知識:20問(40分)
・人体の働きと医薬品:20問(40分)
・主な医薬品とその作用:40問(80分)
・薬事関連法規・制度:20問(40分)
・医薬品の適正使用・安全対策:20問(40分)
午前・午後各2時間ずつ実施
※各都道府県により科目名が異なります

〇出題形式
択一式問題

〇受験資格
どなたでも受験できます

〇合格基準
総得点の70%以上が合格の目安
※5項目のうち1項目でも各都道府県が認める基準点(35%あるいは40%)を下回る場合は不合格となります

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