学習費用が年間最大70%返ってくる!新しくなった教育訓練給付制度を知っていますか?
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みなさんは「教育訓練給付制度」を知っていますか?
教育訓練給付制度は雇用保険を財源としており、働く人の資格取得や新しいスキルの習得をサポートするためのとてもお得な制度です。
現在の職場で働きながら受給することもできるため、「人生100年時代」や昨今話題になっている老後の年金不足問題を受けて、キャリア・収入の複線化や「いかに手に職を付けて長く働くか」を考え始めた方にもおススメです。
2018年1月の制度改正で受給条件が緩和されたほか、2019年10月には「特定一般教育訓練給付」の制度が追加され、学習者へのメリットはさらに増加していますが、実際にこの制度を理解して活用している方は少ないといわれています。
そこで今回は、この教育訓練給付制度をピックアップ!これから資格・検定の学習を始めようと考えている方はぜひ参考にしてください。
【教育訓練給付制度とは?】
教育訓練給付制度とは、一定の条件を満たした方が資格試験の予備校に通ったり、通信教育を受けたりする場合に、厚生労働大臣の指定を受けた教育講座を使用すれば、負担した受講費用の一部がハローワークから支給されるものです。
この教育訓練給付制度には「一般教育訓練給付制度」と「専門実践教育訓練給付制度」の2種類に加え、2019年10月に開始された「特定一般教育訓練給付制度」があります。
一般教育訓練給付制度は語学学習やPCスキルのような手軽なものから難関資格・検定まで幅広いスキル習得が対象です。
一方、専門実践教育訓練給付制度は、看護師・調理師などの専門学校への入学や一部の士業資格取得のための予備校・大学院への入学といった専門性が高いスキルの習得を目指す方に向けた制度となっています。
初めて専門実践教育訓練給付金を受給する際に、離職中であることなどの一定条件を満たせば、所得を補填するための「教育訓練支援給付金」を受け取ることができるのも嬉しいポイントです。
また、特定一般教育訓練給付制度は働く人々の速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ資格やスキルの習得が対象とされています。
【一般教育訓練給付制度について】
●もらえる給付金はどのくらい?
基本的に一般教育訓練給付金は、スクールや予備校のような教育訓練施設に支払った受講費用の20%、最大10万円が支給されます。ただし、その20%の金額が4,000円を下回ると支給対象外となります。
●どんな人が受給できるの?
受講開始日に雇用保険の被保険者期間が通算3年以上※あれば受給の対象となります。
※初めて一般教育訓練の給付を受ける方は、通算1年以上の加入で受給対象になります。
雇用保険の加入期間(1年以上もしくは3年以上)を満たした上で、すでに退職している場合には退職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。
ただし、妊娠・出産などの理由があれば受講開始期間を最大20年以内まで延長することが可能です。
●どうやって申請すればいいの?
ご自身の住所を管轄するハローワークの窓口に必要書類を提出することで申請を行います。申請期間は受講修了日の翌日から1カ月以内と短いため注意が必要です。
【専門実践教育訓練給付制度について】
●どこが変わったの?
2018年1月より、専門実践教育訓練給付制度が拡充され、さらに受給者側のメリットとなる点が増えました。
●もらえる給付金はどのくらい?
専門実践教育訓練給付金は、教育訓練施設に支払った受講費用の50%、年間最大40万円が原則で2年間(資格の取得に繋がる場合には最大3年間)支給されます。ただし、一般教育訓練給付金と同様に、50%相当額が4,000円を下回ると支給されません。
加えて、受講修了翌日から1年以内に目標としていた資格などを取得して、かつ雇用保険に加入した(=正職員などとして雇用された)場合には、追加で受講費用の20%が支給されるため、合計で70%、年間最大56万円が手元に戻ってくる計算になります。
●どんな人が受給できるの?
受講開始日に雇用保険の被保険者期間が通算3年以上※あれば受給の対象となります。
※初めて専門実践教育訓練の給付を受ける方は、通算2年以上の加入で受給対象になります。
雇用保険の加入期間を満たした上で、すでに退職している場合には退職日の翌日から1年以内に受講しなければなりません。ただし、妊娠・出産などの理由があれば受講開始期間を最大20年以内まで延長することが可能です。
●どうやって申請すればいいの?
専門実践教育訓練給付金の場合、受講開始日1カ月前までに、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けます。
そこでジョブ・カードを交付してもらい、コンサルティングを受けた証明となるものや必要書類と併せて、あらかじめハローワークに提出しておかなければなりません。これを忘れてしまうと給付の対象から外れてしまうためご注意ください。
申請期間は年間で受講する場合、受講開始日から6カ月ごとを1タームとし、その末日の翌日から数えて1カ月以内が支給申請の期間となります。受講を修了した場合にも、受講修了日の翌日から数えて1カ月以内に申請を行いましょう。
また、資格試験合格・就業後の追加給付(年間受講費用の20%)を受け取るための申請期間も、専門実践教育訓練を修了、資格などを取得して、かつ被雇用保険者として雇用された日の翌日から数えて1カ月以内です。
●教育訓練支援給付金とは?
離職中であることや、初めて専門実践教育訓練を受講すること、45歳未満であることなどの条件を満たすことで受給できる教育訓練支援給付金。原則として、離職する直前の6カ月間に支払われた賃金額から基本手当(失業給付)の日額を算出し、その80%相当額が支給されます。
※支給額には上限があります。
当初、2022年3月31日までの時限措置とされていましたが、期間が延長され、2025年3月31日までとなりました。
専門実践教育訓練給付金と同様に、受講開始日から1カ月前までに必要書類をハローワークに提出することで申請ができます。※
※原則として、2カ月に1回ハローワークに失業の認定を受ける必要があります。
「新しいスキルを身に付けたいけれど離職中の生活が不安」と考えている方も、ぜひ一度お近くのハローワークで相談してみてください。
【特定一般教育訓練給付制度について】
●特定一般教育訓練給付制度の特徴
特定一般教育訓練給付制度の特徴は、給付制度の対象となる講座が他の教育訓練給付制度よりも限られている点です。
特定一般教育訓練給付制度で対象となる講座は以下となっています。
(1)業務独占資格、名称独占資格もしくは必置資格といった養成課程など。またはこれらの資格取得を訓練目標とする課程。
例:税理士、社会保険労務士、介護職員初任者研修など
(2)情報通信技術に関する資格のうちITSSレベル2※以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程。
※ITSSとは各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標です。
例:基本情報技術者試験など
(3)短時間のキャリア形成促進プログラムおよび職業実践力育成プログラムの一部
●もらえる給付金はどのくらい?
特定一般教育訓練給付金は、教育訓練施設に支払った受講費用の40%、最大20万円が原則で2年間(資格の取得に繋がる場合には最大3年間)支給されます。ただし、他の教育訓練給付制度と同様に、支給額が4,000円を下回ると支給されません。
●どんな人が受給できるの?
受講開始日に雇用保険の被保険者期間が通算3年以上※あれば受給の対象となります。
※初めて専門実践教育訓練の給付を受ける方は、通算1年以上の加入で受給対象になります。
雇用保険の加入期間を満たした上で、すでに退職している場合には退職日の翌日から1年以内に受講しなければなりません。ただし、妊娠・出産などの理由があれば受講開始期間を最大20年以内まで延長することが可能です。
●どうやって申請すればいいの?
特定一般教育訓練給付金の場合、受講開始日1カ月前までに、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けます。
そこでジョブ・カードを交付してもらい、コンサルティングを受けた証明となるものや必要書類と併せて、あらかじめハローワークに提出しておかなければなりません。これを忘れてしまうと給付の対象から外れてしまうためご注意ください。
受講修了後は、受講修了日の翌日から数えて1カ月以内に申請を行う必要があります。
いかがでしたか?
冒頭で触れた年金の不足問題はもちろん、キャリアパスのあり方の変化や産業の急速な発展など、働き方や収入に関する懸念は増すばかりです。
そのような中では特に、今回ご紹介したような教育訓練給付制度をはじめとしたお得な制度にアンテナを張ったり、賢く活用したりすることは現代社会を生き抜くために必要なスキルなのかもしれません。
この機会にぜひ自分のキャリアや将来の生活について考えてみてはいかがでしょうか?
注)制度に関する詳しい内容は管轄のハローワークにご相談・お問い合わせください。