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工場勤務からエンジニアへ転身!人生を変えたG検定&E資格取得【潜入!となりのカンパニー】

注目企業訪問

工場勤務からエンジニアへ転身!人生を変えたG検定&E資格取得【潜入!となりのカンパニー】

【連載】潜入!となりのカンパニー
社内の教育制度に資格・検定を活用している注目の企業・団体にインタビュー。独自の社内ルールや企業風土を伺います。
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今回は、100年以上続く老舗企業、西川コミュニケーションズにフィーチャーします。

かつては電話帳の印刷業務が主力の印刷会社でしたが、時代の流れと共にデジタル化を取り入れ、IT関連の事業領域拡大に成功。

リスキリングという言葉が浸透するだいぶ前……、10年程前から社を挙げて、社員のスキルアップのために資格取得を後押ししていたそうです。

独自の人材教育プログラムとは? その効果は? 実際にリスキリングを経て、「G資格」取得後、ラベルやシールを生産する部署から、同子会社のIT関連会社SODAへと異動し、さらに難易度の高い「E資格」を取得した方と人事部の方に、お話を伺いました。

お話を伺ったのは


株式会社SODA AI開発部門
國田圭佑さん


2015年、西川コミュニケーションズ ラベル開発部門入社。2020年2月に子会社のIT関連会社SODAへと異動し現在に至る。


西川コミュニケーションズ株式会社 人事部門
神谷昌宏さん


2003年、西川コミュニケーションズ 制作部門入社。外部出向を経て、2021年2月に人事部門へ異動し現在に至る。

部署異動のきっかけになった「G検定」取得

ーーかなり前から、西川コミュニケーションズは社員のリスキリングに積極的ですよね。リスキリングの先駆者的なイメージすらあります。


当時、リスキリングという言葉は使っていませんでしたが、人材教育のプログラムを立ち上げたのは10年程前です。

人材教育のサポート体制として、「講座の受講費や試験代などを会社が負担」「業務時間内に勉強を行える制度や資格手当の導入」「講師を会社に招いて講座を開催」などを行っています。

また、全社員に「ITパスポート」と「ウェブデザイン技能検定」の取得を推進。社長自身も、AI関連資格である「G検定」を取得しています。


ーーなるほど。社長が先陣を切って資格取得されているのですね。


そうなんです。社員としても、社長の後に続かなくては……という気持ちになりますよね。


確かにそんな風潮はあります。

私は2015年に入社して、西川コミュニケーションズのラベルシール開発部門でラベルやシールの生産に携わっていました。

業務は主にラベルなどの裏に使用する粘着剤の開発。毎日、粘着剤の原料を大きな機械に投入して作業する工場での業務に3年程従事しました。

ただ当時から、これをずっと続けていて良いのかな、と疑問がありまして……。ちょうどその頃に、AI関連の部門を立ち上げるという話を社内で聞いたんです。

私は理系出身でAIにも興味があったので、関連の勉強をしてみたいと思ったのが発端。当時はデジタル領域の知識が一切なかったので、まずは、会社で推奨している「G検定」の取得を目指しました。


ーー知識があまりないところからの「G検定」取得は大変でしたか?


そうですね。社会人になってからは初となる勉強でしたので……。毎日、朝5時半から7時半の2時間を勉強時間に充て、試験までの3カ月程取り組みました。


國田さんが取得した2015年位は、公式テキストのみで勉強する社員が多かったように思います。

いまは、Youtubeなどで「G検定」攻略ガイドなどの配信があるので参考にしてみても良いかもしれませんね。


ーー「G検定」の取得が部署異動のきっかけに?


はい。「G検定」を取得後、デジタル領域の業務に携わりたいという気持ちが募り、本社のICT部門に希望を出して、異動が叶いました。

そして、その1年後に西川コミュニケーションズの子会社のAI開発部門に出向という形で異動。現在はこちらの部署で、AIの開発業務を行っています。

興味が広がり「E資格」にもチャレンジ!

ーー念願のAI業務に携われているなんて素晴らしいですね!


確かに。「G検定」を取得していなかったら、人生は違ったものになっていたかと。

現在は、マーケティングに利用可能な売上予測AIや、人がテキストを入力するだけで絵が完成する画像生成AIの開発を行っています。

画像生成AIとは、例えば「猫」とテキスト入力するとAIが近しい画像を作成してくれるというもの。


画像生成分野はセンシティブな部分も多く、開発では、AIの仕組みやアルゴリズムに関する知識が不可欠です。

もともと、「G検定」取得の前から、画像生成AIの分野に興味を持っていましたが、AIの理論的な背景をきちんと理解したいな、と思い、始めたのが「E資格」の勉強です。

ーー仕事と平行しながらの「E資格」取得。どのように勉強を進めたのですか?


勉強期間は半年程。毎日3〜4時間、合計で500時間程勉強して挑みました。

このときは業務時間内での勉強も認められていましたが、仕事量自体は変わらなかったので、業務中に大体1時間から多い時で2時間、あとは仕事前に2時間程、というのが毎日のルーティンでした。


仕事量自体は変わらない……。耳が痛いですね。会社としても、資格の勉強中の仕事量をどう調整するかが課題となっています。

ーー「E資格」の勉強で難しく感じる点はありましたか。


「E資格」はAIに関する勉強なので、アルゴリズムの理解が一番難しかったです。

理論で理解したつもりでも、実際に実装コードと照らし合わせて考えると、とんでもなく複雑な構造になっていて理解しにくいところがありました。


「E資格」は応用数学なども範囲に入ってくるので、ハードルは高く、数式を見るのも苦手という人にはなかなか大変だと思います。


そうですね。ただ「E資格」が取得できれば、それ相応の知識が頭の中に入ったという証明になるので、難しければ難しいほど、勉強に熱が入りました(笑)。


ーー園田さんは、モチベーションコントロールが上手ですね。


いえいえ。ヤル気が出ない日はもちろんあるので、そういうときは思い切って勉強から逃避(笑)。

ただ、2日連続でサボるのは禁止にして、1日休んだら次の日から1週間位はサボらず勉強するなど自分ルールを決めていました。

あとは、勉強に行き詰ったときに、ゲーム開発をしたり。Unityという個人でゲームを作れるツールがあるのですが、息抜きにもなりましたし、ゲームAIのシミュレーションなどもできるので、AIアルゴリズムの理解を深めるのにも役立ちました。

資格取得の手厚いサポート体制こそリスキリングの要!

ーー西川コミュニケーションズのように、IT系資格講座の受講費や試験代などを負担する会社も増えているようです。


どの会社でも、IT領域の知識を持った社員は必要不可欠ですからね。

弊社では、資格取得のための講座の受講料は、業務に無関係でない限りは会社が負担します。業務時間内の勉強に関しては、上長の許可がおりればOKというのがルール。


「E資格」は受験をするのに認定の講座を受講する必要があるのですが、結構高額なんです。講座費用は今ではだいぶ安くなってきてますが、私が受講した2020年位は、20万円程。ですので、講座費用を会社が負担してくれるという制度が、取得へのハードルを低くしてくれたことは間違いありません。

工場勤務の頃にも、製品の品質管理のために「品質管理検定」を取得したのですが、そのときにも30万円程の講座費用を会社が負担してくれました。


資格の難易度レベルに合わせた資格手当ての制度も導入しています。


「E資格」は高レベルに位置しているので、お給料もアップしました。会社全体でリスキリングが推奨されているので、資格取得に励む社員は年々増えている印象です。


「今後は、一般の方々に広く使ってもらえるような精度の高い画像生成AIを開発したい」と話してくれた國田さん。

これからは、クラウドによるAIサービスがより一層流行っていくことを見込んで、「マイクロソフトアジュールのAI900」という資格に向けて勉強しているのだそう。

次回は、会社で推奨されている「G検定」と「ITパスポート」を取得した、西川コミュニケーションズ人事部の女性社員にインタビュー。こちらもお楽しみに!


取材・文=池田裕美

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