挫折しない難関資格の目指し方!250以上の資格を持つ資格ソムリエが伝授【連載はやしかく】
資格取得にあたって、順番を考えたことはありますか?
目標とする資格が1つだけあった時、それを直接目指すのが基本的には最短ルートです。
ただし難易度の高い資格の場合、いきなり目標とする資格を目指しても、難しすぎて全く歯が立たないといったことも起こりがち。それでも寄り道をするよりは直接目指したほうが早いのかもしれませんが、モチベーションが下がりやすいという課題もあります。
資格取得の『ステップアップ法』
難関資格に挫折してしまうのを解決するために有効なのが、徐々にステップアップしながら資格取得を重ねていく方法。高い山にハイペースで一気に登るのではなく、山小屋に泊まったりしながら着実に山頂を目指すというわけです。
実際、私も難易度の高い資格はこの『ステップアップ法』で取得してきました。
実はこの方法のメリットは他にもあり、
・途中で諦めてもいくつかの資格が手に入る
・「勝ちグセ」をつけることで勢いがつく
・資格試験の場数を踏むことで、慣れ・ノウハウが身に付く
・幅広い知識が身に付くので、仕事に直接役立ったり、勉強の効果が出やすくなる
このように、まさに『急がば回れ』といえるのではないでしょうか。
ただし、ステップアップしていく方法は、一定のデメリットもあります。
・簡単なはずの資格で失敗した場合に、かえってモチベーションの低下につながる
・本来取りたい資格に辿り着く前に「この辺でいいかな」と妥協してしまう可能性がある
・自分の状況が変わり、最終的に目指す資格を諦めざるを得なくなる可能性がある
どちらがいいとは一概には言えないのですが、直接目指すのがハイリスク・ハイリターンだなと思った時には、ステップアップしながら進んでみても良いでしょう。
ステップアップ例とおすすめの取得順
ステップアップしながら資格取得する場合、資格の方向性ごとにおすすめの順番があります。
法律関係の資格・検定の場合
法律関係の場合、目指す資格としては行政書士、社会保険労務士、司法書士といったものが挙げられます。どれも合格率は1割を切る試験ですので、直接目指すのは気が引けてしまうかもしれません。
そんな場合、以下のようなステップアップがあります。
①ビジネス実務法務検定:
幅広い法律分野について学ぶことができ、日常生活や仕事の場面でも役立つ知識を身に付けることが可能。法律学習の第一歩として、手軽に学ぶことができる。
②宅地建物取引士(宅建):
法律系の国家資格の登竜門とも言われるのが宅建。国家資格で、不動産関係では必須の資格であるため、取得により一定の箔もつく。
ビジネス実務法務検定とは異なり、民法など対象の分野は限られるものの、原則・例外・特例といった法律学習で重要な考え方をしっかり身に付けることができる。
③行政書士:
法律系の士業の中で、比較的取り組みやすいのが行政書士。他の士業の分野以外が行政書士の分野となる仕組み上、憲法をはじめ基本的な法律全般、さらには一般教養にいたるまで試験範囲も幅広い。受験資格がないので、行政書士を直接目指すことも可能ではある。
ただ法律のスタンスなどをしっかり理解したほうが、実は効率がいいという法律学習のコツを身に付けるために、宅建などを取ってからのほうが挑戦しやすくなる。
④社会保険労務士(社労士):
古くは行政書士のカバーする分野だった労働・社会保険関係が独立するような形で出来た資格。そういった経緯もあってか、試験範囲は行政書士と重複せず、労働や社会保険関係に特化している。
ただし、広さも深さも必要で難易度は高い。暗記だけで取り組むのは難しい量なので、勉強の仕方や感覚をつかむ意味で、ビジネス実務法務検定などからステップアップすると取り組みやすい。
IT関係の資格・検定の場合
①ITパスポート:
情報処理技術者試験の12区分(情報処理安全確保支援士を含めると13区分)の中で、入門編となるのがITパスポート。
ITそのものだけではなく、活用する舞台となる企業の仕組みや法規制など、幅広い知識が身に付けられる。IT関係では入社前に取得を推奨することも多く、広く社会人全般に役立つ試験となっている。
②情報セキュリティマネジメント試験:
ITパスポートと同じく、ITを利用する側に位置づけられている区分。情報セキュリティのリーダーに求められる、セキュリティについての基礎的な知識が身に付く。ITの基礎知識があることは前提になるので、ITパスポートからのステップアップが基本となっている。
③基本情報技術者試験・応用情報技術者試験:
ITパスポートと情報セキュリティマネジメントがIT利用者側なのに対して、基本情報技術者からはITベンダーなどの情報処理技術者側となる。求められる知識レベルも高度になるため、しっかりと基礎を身に付けてからの挑戦がおすすめ。
④高度情報処理技術者(情報処理安全確保支援士含む):
情報処理技術者試験の中で、データベースやネットワークなど分野別のスペシャリストに位置づけられる難関。論文や事例を読んでの記述など、一定の経験が無いと難しい試験でもあり、実務経験を経てから臨むのがベスト。
・高度情報処理技術者試験の一覧
※参考:情報処理推進機構(IPA)試験区分一覧
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html
資格取得のステップアップ、いかがでしたでしょうか?
ご自身の目指す資格も、直接目指す方法以外に、ステップアップというやり方も検討してみても良いかもしれません。
執筆者:はやし先生(林 雄次さん)
大手企業にてITエンジニア職を経験後、IT活用&DX推進に注力する新世代の社労士・行政書士として独立。企業の働き方改革や業務改善、IT導入などを支援する「デジタル士業」として活躍。
また、その他の士業を含む250以上の資格を持ち、「資格ソムリエ」としてさまざまなメディアに出演中。
・Twitter:https://twitter.com/yujihys
・はやし総合支援事務所:https://h-office.biz/