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公務員こそ資格取得に励む理由がある! 取得後すぐに役立つ資格も紹介

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公務員こそ資格取得に励む理由がある! 取得後すぐに役立つ資格も紹介

2022年12月末、全国の自治体で初めて「リスキリング促進に関する連携協定」を行った石川県・加賀市役所。「行政機関がリスキリング促進?」と、驚いた方も多いのではないでしょうか。

その立役者となったのが、現役公務員であり、「公務員は向務員であれ!」がモットーの庄田秀人さん。(向務員とは、庄田さんの造語であり、“前向きに、向上心をもって取り組むことを任務とする人”を指す)。

庄田さんが声を大にして言いたいのは、「公務員こそ資格を取得し、リスキリングをすべき」ということ。そしてその想いを多くの仲間に広めたいと、『公務員なら挑戦したい資格ガイドブック やりたいことから探す50のスキル』を上梓しました。

なぜ、庄田さんは資格取得を強くススメるのか。理由を伺うとともに、取得すればすぐにでも役立つ資格を教えてもらいました。

お話を伺ったのは・・・

加賀市役所職員 庄田秀人さん

横浜国立大学を卒業後、加賀市役所に入庁。人事担当課、障がい担当課、DX推進担当課などを歴任し現在に至る。人事担当課ではメンタルヘルス予防体制の構築や新規採用職員指導制度の策定、障がい担当課では虐待対応体制を構築。DX推進担当課では、全国初となる市内生活圏全域を高精度3Dでマップ化したり、ARを活用した観光プロジェクトを推進。取得資格は、社会保険労務士、FP2級など。2021年より加賀市内資格取得活用アドバイザーの講師を務めている。

上司の一言でビジネススキルが向上

ーーーまずは資格を取得しようと思ったきっかけについて聞かせてください。

人事担当に配属された入庁4年目のことでした。

当時の上司から「自分が若い時に取得した、『衛生管理者』の資格が役に立っているから、庄田君も勉強してみたらどう?」と助言を頂いたことがきっかけです。

仕事と並行して資格を取得するなんて思ってもみなかったので、今までにない挑戦の始まりでした。


ーーー日々の業務をこなしながら勉強をする……簡単なことではないですよね。コツなどあればぜひ教えてください。

基本は自宅で勉強することが多いのですが、気分転換に場所を変えるのもいいかと思います。

あとは、勉強中どうしても眠くなったときは、我慢せず、15分くらいと決めて仮眠をとるように。ただ、ベッドだと寝過ぎてしまうため、机で突っ伏して眠るようにしました。

最近は、スキマ時間の活用のため昼休みの過ごし方を見直しています。食事を15分ほどで済ませ、残りの時間は勉強に充てています。

ーーー無理をせずコツコツと進めていったのですね。そこからなぜ、他の資格も取得していきたいと思ったのでしょうか。

「衛生管理者」の資格を取得したことで、衛生管理者として運営を任されるように。

衛生管理者は職場環境を整える役目ですから、責任とやりがいも生まれましたし、以前と違って、広い視野で業務に取り組むことができていると感じました。

資格を持っていたことで、仕事の幅が広がったことも大きいです。


また、以前、大学教授と仕事をご一緒した際に、私が「社労士」の資格を持っているという話になり、そこから大学生を対象にしたキャリア形成の講演を依頼されました。

まさか自分が大学生を前に講演をするなんて……。ですが、講演の段取りや心構えを学ぶことができ、のちのちの業務で司会やプレゼンをする際にも活かすことができました。

このような経験をきっかけに、自信がついた、という“成功体験”も、資格取得の後押しをしてくれたと思っています。

ーーーまさに、資格取得がチャンスを呼びこんでくれたのですね。

はい。公務員という職種は、民間企業と違って利益を生み出すことを第一に考えているわけではありません。

営業職のように、明確な数値目標が常に存在するわけでもないので、仕事に対する達成感ややりがいを抱きづらいんです。にもかかわらず、ミスが無くて当たり前、聞いたらなんでも応えてくれるだろうという市民の方からの期待、担当する業務への専門性も求められます。

それらの問題を解決するのが、「資格取得をきっかけにして、自身のスキルを磨くこと」だと思うんです。

自らのポジションや職種にあった資格を取得することで、専門性が高まるのはもちろんのこと、そこから生まれるアイデアも組織の内外と仕事をする上で役立つはずです。

そして成功体験を積み、自信をつけていく……とてもいい循環だと思います。

今後、公務員はどうなっていく?


ーーー総務省が発足させた研究会では、地方公務員の雇用や働き方に関する議論が行われているそうですね。また、これまで容易ではなかった転勤がしやすくなるよう「共通資格」を導入する考えもあるとか。

今までは、目の前の業務をミス無くこなしていれば良かったかもしれません。

しかし現代は、官民問わずデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が叫ばれ、社会は目まぐるしく変化……。我々公務員もイノベーションの波にのる必要があると感じています。

また、人生100年時代、年を重ねても楽しく働くというのは重要なキーワードですよね。

例えば若いうちは都会で公務員をしていても、故郷のために働きたいと思う日が来るかもしれません。そうなったときにも、持っている資格によっては転勤の希望が通りやすくなったり、活躍の場がすぐに見つかったりと、強みになると思っています。

COLUMN:取れば明日すぐにでも役に立つ資格3選!

『公務員なら挑戦したい資格ガイドブック やりたいことから探す50のスキル』では、興味のあることをきっかけに資格を検索することができます。

ここからは、庄田さんが取得して役に立ったという3つの資格をご紹介。

◆ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定

ファイナンシャル・プランナーはお金の専門家です。資格を取得することで、税金から私的保険、公的保険などありとあらゆるお金に関する知識を網羅的に身に付けることができます。

実際、ケースワーカーとして働いていた際、FPの知識を活かして担当していた方のお金の整理をし、すぐに専門家に繋げることができました。

そして私生活でも自分のライフプランにあったお金の出費が把握できるので、お金の心配がぐっと減ります。

◆ご当地検定(加賀ふるさと検定)

「ご当地検定」は、地元の歴史や文化、特産品などを学ぶことができます。

地方公務員であれば地元のことを知ることは基本中の基本なので、採用が決まって入庁する前に取得するのがベストです。また、視察に来られたお客様に地元のことを説明できるので、寄せてくださる信頼度も変わります。

地元の文化施設や歴史の跡地をプライベートで訪れた際にも、勉強した知識がリンクすると、いつもと違った楽しみが味わえますよ。

私は「加賀ふるさと検定」を取得しました。

◆年金アドバイザー

「年金アドバイザー」は、年金について網羅的に学ぶことができ、支給額をシュミレーションできるようになります。

年金担当者としてはもちろん、福祉担当者としても年金の知識はなくてはならないものなので、体系的に年金の知識を習得できるこの資格は非常におススメです。

私も市民の方に年金の相談をされた際に、即座に答えることができ、信頼を得ることができました。

年金は、自分自身の老後の収入の中心になりますので、業務以外でも知っておいて損はないでしょう。

専門家に説明を聞く際にも、前提知識があるのとないのでは、理解度が全く違ってきますし、受給についても、納得して選択できるようになります。

年金アドバイザーの詳細を見る


コロナ禍を経て、官民問わずビジネスモデルは急激に変化しています。庄田さんからのメッセージは、公務員の皆さんだけではなく、企業やフリーランスで働く人すべてに当てはまりますね。

まずは興味のある分野から、資格取得の勉強を始めてみませんか。


文=日本の資格・検定編集部

『公務員なら挑戦したい資格ガイドブック やりたいことから探す50のスキル』 

庄田秀人 著(加賀市役所職員) 学芸出版社 1,980円

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