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日本語教師の気になる収入事情は?国内外の就職状況に迫る!

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日本語教師の気になる収入事情は?国内外の就職状況に迫る!

日本語教師の国家資格化とは……

2023年5月に日本語教育機関認定法が成立。これによって2024年度以降より、国が認めた機関で日本語を教えるためには、国家資格となった「日本語教師」の資格を取得する必要が生じることになり、今注目を集めています。

前回は、日本語教師が国家資格になることで変わるポイントを解説。

そして今回は、ベテラン日本語教師でKEC日本語学院・ 新宿校所長の関 大輔さんの実体験をもとに、日本語教師になろうと考えている人が気になる点や、実際に日本語教師として働く環境などについて教えてもらいました。

【日本語教師の国家資格化でココが変わる】……公開中
【収入事情と国内外の就職状況に迫る】……今回はコチラ

お話を聞いたのはこの方

KEC日本語学院  新宿校
所長 関 大輔さん
日本語教育歴20年のベテラン日本語教師。北京師範大学経済系国際経済専攻卒業。関西を中心に展開しているKEC日本語学院で2003年より日本語教師として約10年間留学生を指導。その後、新宿校で日本語教師養成の講師として実践演習や教育実習を行う。


日本語教師に必要な要素はコミュニケーション力

――はじめに、関先生が日本語教師になったキッカケをお聞きしたいです。

私は中国・北京の大学を卒業した後に日本に戻り、企業に就職したのですが何か物足りない。

思い返せば大学の寮で、中国語や英語、日本語など、多言語が飛び交う場が楽しかったんですね。

当時は日本への留学生の9割が中国の方だったので、日本語教師の仕事に就けば、中国での経験も活かせると思いました。

――実際に日本語教師として働き始めてからはどうでしたか?

日本語教師として20年働いていますが、今でも一番楽しいのは授業中です。

いろんなバックボーンを持つ生徒が集うので、思考もリアクションもさまざま。この国出身の方にはこんなアドバイスが効果的なんだな、といったように、リアルなやりとりから発見できることが多い。

ですので、臨機応変な対応ができる方が日本語教師に向いているのではないかと思います。

相手は外国人で習慣の違いもあるので、思ったように授業が進まないのが当たり前。完璧を求めすぎず、上手くいかないことを楽しむくらいの姿勢でいられる方が向いていると思います。

いい日本語教師養成校の条件とは?

――続いては、日本語教師になるための養成学校について。いい学校の見分け方やポイントはあるのでしょうか?

自分の目的に合うところがベストですが、教師を目指すのであれば、実際に自身が教師として模擬授業を行うことができる実技の回数や中身がポイントに。

模擬授業の回数は養成学校によってまちまち。少ないところでは2〜3回、多くても10〜15回といったところになります。

KEC学院は即戦力を重視しているので模擬授業は50回程。

日本語学校の日本語教師採用試験では必ず実技が入ってくるので、資格をもっていても、この実技をパスできないと採用されません。

――なるほど。実技試験が重要なのですね。現在、日本語教師の需要は高いのでしょうか。

今は、コロナ禍で待機していた外国人学生などが、いっぺんに日本に留学し始めていて、空前の日本語教師不足と言えます。

ですので、外国人留学生に日本語を教える学校も大繁盛。それに伴い、学校で教える日本語教師の需要がとても高まっています。

――「日本語教師」が国家資格になることで活躍の場も広がりそうですね。

おっしゃるとおり。

現在の日本語学校の教育内容は留学生向けであることがほとんどなのですが、今後は学生向けだけでなく、就労者や生活者向けの日本語教育も重要に。

ですので、技能実習生向けのクラスや外国人生徒が増えている公立学校への派遣など、日本語学校以外で「登録日本語教員」が活躍できる範囲は広がると思います。

日本語教師の海外就職事情を深堀り!

――日本語教師というと、国内だけでなく海外で働く人も多い印象です。

KEC日本語学院の修了生の場合、海外へ就職する方はコロナ禍以前で4割程。現在は3割程となっています。

行き先はビザの関係もあり、アジアが中心。就職先として最近多いのは、台湾やタイ、ベトナム、韓国です。

ただ、収入は国によって物価の違いもあるので一律ではありません。

ベトナムで日本語教師として就職すると、住居が提供され、現地の平均月収の数倍の額を支給されたりします。

韓国は物価も高いので、生活するのにギリギリのラインだったりすることも。就職先の学校によっては、悪い条件を提示される場合もあるので、しっかり契約書を確認することが必要です。

――国によって待遇が異なるのですね。正直、国内の日本語教師は給料があまり良くないイメージが……。

日本語教師にはフルタイム勤務と非常勤の2タイプの働き方があります。

日本語学校においてフルタイム勤務というのは正社員を指すので、それ相応の給料を得ることができるかと思います。

一方で、日本語教師は非常勤として従事する方の割合が多いです。非常勤講師は授業1コマ単位の報酬なので、高収入を得ようとすると、効率良く担当授業数を増やさなければなりません。

実は、日本語学校の正社員教師は生徒数に対して人数が決まっていますが、その割合を増やすように法務省の入国管理局から通達がでました。そういう意味でも正社員の求人は増えてきています。

――正社員の枠が増えているとは朗報です。

養成講座の生徒は圧倒的に女性が多いのですが、最近は男性も増加傾向。生徒のバックグラウンドも年齢層も千差万別です。

――日本語教師として活躍するポイントはありますか?

「誰に教えたいのか?」という点を明確にすることが大切。

日本での就職を目指す学生に、日本で生活する人に、子ども向けに、などをイメージしてみましょう。そうすることで、"日本語を教える”というスキルにプラスすべき要素が見つかります。

例えば、就職を視野にいれた学生に向けて教えたい場合は、外国人の需要がある就職市場などを把握しアドバイスできれば、それが強味になります。

――日本語教師の活躍の場が広がりそうですね。

日本はこれからさらに共生社会になっていくはず。そんななかで、日本語教師の果たす役割もより重要になっていくと思います。

やりがいだけでなく報酬のレベルも徐々に上がってくることが予想されますので、目指す価値のある職になるはずです。


コロナ禍が収まったこともあり、現在かなり不足していることが明らかになった日本語教師。そんな今こそ、日本語教師を目指す絶好のタイミングなのかもしれません。

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取材・文=池田裕美


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