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ワインを実践的に学べる宿「坐忘(山梨・甲州)」で至福の体験を【ととのうスタディケーションリスト vol.08】

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ワインを実践的に学べる宿「坐忘(山梨・甲州)」で至福の体験を【ととのうスタディケーションリスト vol.08】

【ととのうスタディケーションリスト】
学びのメディア『日本の資格・検定』が考えるスタディケーションとは、自分好みの非日常な環境に滞在し、“脳と身体をリフレッシュさせて勉強にも勤しむ!”というもの。脳身ととのう仕掛けが詰まった編集部の推し宿、プログラムをご紹介。

ワインの香りを感じ、味わいを言語化する。そんな“実践的な学び”が旅先で叶うと聞き、編集部が訪れたのは、山梨県は甲州市。

都心からそう遠くない場所にありながら、喧騒とは無縁の自然豊かな山里に佇む日本旅館「坐忘」。

現存する日本最古のワイナリー「まるき葡萄酒」と提携する「坐忘」は、まさにワインを学ぶのに理想的な宿。ただ“味わう”だけではなく、ワインを学び、感じるための仕掛けが随所に散りばめられている。

そんな「坐忘」で過ごした、ワイン尽くしの宿泊をご紹介。

ライブラリーで始まる、五感を使ったテイスティング

「坐忘」での滞在を語る上で、欠かせないのが、甲州ワインだ。

「まるき葡萄酒」の協力により、滞在のあらゆる瞬間で、ワインを味わい、学び、楽しむため工夫と環境がととのっている。

天井が高く落ち着いた趣のライブラリー。

滞在中に何度も足を運んだのが、ロビー奥の階段を上った先にあるライブラリー。

最新刊の雑誌や食に関する蔵書に囲まれた空間で、大きな窓の外の樹々を眺めながら、常時7種類の甲州ワインを自由に堪能することができる。

食後の一杯に、湯上りに、寝る前のチルタイムにと、ライブラリ―に寄っては、五感をフルに使ってワインを味わう。部屋飲みならぬ、ライブラリー飲み、これが最高(笑)。

そんな極上のライブラリータイムを、さらに特別なものにしてくれるのが、毎週火曜日のテイスティングイベント。

「まるき葡萄酒」のスタッフによる解説を聞きながら、ワインを試飲できる(15:30~16:45/無料・予約不要)。

イベントでは、普段ライブラリーには並ばない銘柄を中心に、数種類のワインの試飲が可能。今回は、6種の銘柄を味わうことができた。

ワインを注いでもらうたびに、スタッフが醸造法や味わいの特徴、製造工程などを語ってくれるので、学びが多く、興味も尽きない。

ワイン好きから人気の宿とあって、皆熱心に質問をスタッフに投げかけていた。

同じぶどうのワインでも製法によって味が変わることは知っていたものの、細かな醸造方法のレクチャーを受けると、その後のテイスティングで味の深さや細かな違いを明確に捉えられるように!

翌日は、学びを深めるワイナリーツアーへ

現存する日本最古のワイナリー「まるき葡萄酒」は「坐忘」から車で20分程。2階のテラス席からは甲府盆地と南アルプスを一望できるカフェダイニング「イワイテラス」も併設されている。

前日のテイスティングで高まった知的好奇心を、今度は現場で満たす時間。

それが「まるき葡萄酒」のワイナリーツアー(無料・前日までに要予約・送迎付き)。「坐忘」の宿泊者であれば、無料で参加することが可能だ。

「まるき葡萄酒」の自社ぶどう畑では、極力農薬を使わないように羊を放牧。雑草を食べてくれるし、排泄物は土に帰って肥料になる、といいこと尽くめ。

ぶどうが仕込まれる場や自社畑、発酵タンクに囲まれた醸造所、オーク樽が並ぶ貯蔵庫など、ワイン造りの舞台裏を見学。

写真はオーク樽が美しく並ぶ貯蔵庫。樽熟成に頼りすぎず、ぶどう本来の味わいを大切にするよう心掛けているそう。

同行するスタッフが細かく解説してくれるので、樽やホーロー、ステンレス、それぞれの熟成法の違いや、一升瓶での熟成という「まるき葡萄酒」ならではのこだわりまで学ぶことができ、ワインの奥深さを改めて実感できる。

ワイナリーツアーの締めくくりには、試飲会が。造り手に会い、畑を歩き、工程を目にした後に味わうワインは格別だ。シュールリー製法(澱を残した状態で熟成させる方法)で熟成させたものと、澱引きしたものを飲み比べるなど、知識をリアルに体感できる貴重な機会となった。

夕食は、甲州ワインとのマリアージュを“味わいながら学ぶ”時間

「坐忘」の滞在のなかでもワイン体験について紹介してきたが、食事もこれまた格別だ。

食事は、築140年の古民家か、離れの個室でいただく。

ここで供されるのは、一汁三菜から始まる茶懐石。茶器や美しい設えと共に、繊細で滋味深い料理の数々が供される。

地元の旬の食材にこだわっていて、甲州市と山梨市にまたがる乾徳山の麓で育った天魚(あまご)の炭火焼きも。山女(やまめ)に似た川魚で身はふっくり、ホワホワ。新鮮だから、頭から尻尾まで美味しくいただける。白ワイン「いろ甲州」とのマリアージュで、炭火焼きの香ばしい風味がいっそう際立つ。

肉料理は甲州牛の杉板焼き。脂の少なく旨味がたっぷりの赤身肉を焼かずに低温でじっくり仕上げた逸品で、ほのかに杉の香りが漂い、上品な味わい。

ゆずワインの製造過程で残ったゆずの皮を活用した柚子胡椒と、秘伝の合わせみそを添えていただく。赤ワイン「ラフィーユ樽甲州」と相性◎。

「まるき葡萄酒」のワインは、それぞれの料理の旨味や甘みをうまく引き出せているのを感じる。このマリアージュを実感するのも、貴重な体験だ。

一日の最後は、源泉かけ流しの温泉で心身リラックス

ワイン体験や食事の素晴らしさもさることながら、温泉にも触れておきたい。

22室中、15室が源泉かけ流しの風呂付き。離れタイプの部屋は露天風呂となっている。

ここ笛吹川温泉は、pH(水素イオン濃度)が9.6と、高アルカリ性が特徴で、とにかくなめらかな湯触りが心地良い。

美肌の湯として有名で、古い角質を落とすクレンジング効果があるそうだ。

湯温は、やや低め。だからこそ、長く浸っていても疲れない。ワインの余韻に浸りながら、静かに学びを振り返りたい……。


ワインを味わい、造り手の想いを知り、学びを深めて、美味しい食事と温泉で心身を解きほぐす。「坐忘」での滞在は、ワインを親しむ人にとって、そして「ワイン検定」などの資格取得を目指す人にとっても、またとない“体験から学べる時間”となるはずだ。

坐忘
山梨県甲州市塩山三日市場2512
料金:別邸離れ(露天風呂付き) 45,100円~(1室2名利用時1泊2食付きの1名料金、入湯税込み)、本館離れ(露天風呂付き) 33,800円~(1室2名利用時1泊2食付きの1名料金、入湯税込み)
https://www.zabou-yamanashi.com

文=菊田 純子

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#スタディケーション


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