アパレルPRからアロマの道へ。キャリアチェンジの舞台裏。アロマテラピーライフスタイリスト・川野菜穂さん【シカクがキッカケ】
資格をきっかけに、人生の新しい扉を開いた人に迫る連載「シカクがキッカケ」。今回はアパレル業界からアロマの世界へ転身した、アロマテラピーライフスタイリスト・川野 菜穂さんにインタビュー。
アパレルブランドのPRとして、華やかなファッションの最前線で活躍していた川野さん。海外出張や雑誌撮影など、憧れのキャリアを歩んでいた彼女が、なぜ香りの道へ進むことを決めたのか。その“転身のキッカケ”を聞きました。
【シカクがキッカケ】
資格はただのスキル習得ではなく、“別の地図”を手に入れることかもしれない。資格を取得したことで、それまでとは異なる方向に人生の舵を切った人たちにフォーカスするインタビュー連載。
憧れのアパレル業界で感じた、時代の変化
――現在はアロマのプロとして活躍されていますが、もともとのキャリアはアパレルだったそうですね。
はい。新卒でアパレルメーカーの「ワールド」に入社しました。最初は人事を経験し、その後はずっと「アクアガール」というブランドのプレス(PR)を担当させてもらって。 ブランドの世界観をどうやって世の中に伝えるか、雑誌の撮影に立ち会ったり、スタイリングを組んだり……。学生時代からファッションが好きだったので、とても充実していましたね。
――自分がやりたかったことが仕事に! にも関わらず、なぜそこから離れようと思われたのですか?
10年ほど勤めた頃、業界全体の空気が変わり始めたのを感じたんです。 それまでは、ブランドの「世界観」や「イメージ」を雑誌を中心に伝える広告が主流だったのですが、ファストファッションやオンライン時代の到来で、広告のあり方や求められるものが大きく変わっていきそうだなという感覚があって。
そろそろ次世代にバトンタッチするときなのかもと考えるようになりました。
パリでの"香りとの出会い"が、価値観を変えた
――そこで「アロマ」を選ばれたのはなぜですか?
実は、会社員時代のある体験がずっと心に残っていたんです。 パリへの出張中、街を歩いていたら、ふとすごく惹かれる香りが漂ってきて。その香りに導かれるようにお店に入ったら、そこは「ジョン・ガリアーノ」のブティックでした。
正直に言うと、当時の私はガリアーノの個性的で尖った世界観をまとうことはなかったんです。でも、その香りに包まれた瞬間、その空間がすごく素敵に感じられて。「香りひとつで、ブランドのイメージってこんなにも変わるんだ!」と衝撃を受けました。
川野さんが手がけるオリジナルアロマブランド「ART organic」。100%天然処方。
──香りがブランドのイメージを変えてしまった。
そうなんです。その後、箱根の「富士屋ホテル」に滞在した時も、ロビー全体に広がる香りが心地良くて。 「香りがあるだけで、空間の質が変わる」。 その体験から、香りはただの癒やしではなく、ブランディングや空間づくりの重要な要素になると確信して、趣味としてスクールに通い始めました。
妊娠、そして友人の結婚式で見つけた「私の役割」
──そこから、どうやって仕事にしていったのですか?
最初からアロマで独立しようとしていたわけではないんです。アパレルを辞めた後、別のアロマ関連会社への転職も検討していたのですが、その矢先に妊娠が発覚しまして。 妊娠初期は匂いに敏感になりますし、これからどうなるか分からない。そんな中で新しい就職先に行くのは、ご迷惑をかける気がして”転職”という選択肢は一旦やめようと。
そんなとき、私がアロマの勉強をしていることを知っている友人が結婚式を挙げることになり、「会場の香りの演出をお願いできない?」と頼まれたんです。
披露宴会場の入り口から香りを演出。
――それが最初のお仕事になったんですね。
とても大切な友人でしたし、安定期に入っていたこともあって、2つ返事で引き受けました。 当日、会場を香りで満たしたところ、披露宴が終わった後に新郎の方が駆け寄ってきてくださって。 「実は僕、最後の挨拶が不安ですごく緊張していたんです。でも、会場に入ったらすごくいい香りがして……おかげで緊張がほぐれて、リラックスして大切な1日を楽しく過ごせました。ありがとうございました」と言ってくださったんです。
その言葉を聞いた時、ハッと確信しました。「香りには、人の心をほどいたり、守ったりする力があるんだ」と。
――空間を良くするだけでなく、人の心も救ったと。
そうですね。結婚式場のスタッフの方も「香りでこんなに空気が変わるなんて」と驚いてくださって。「ぜひ、弊会場の演出プランとして香りの導入を検討したい」と正式に依頼をいただきました。 大きなお腹を抱えながらでしたが、数日後には企画書を持って提案に行き、そこから私のフリーランスとしてのキャリアがスタートしたんです。
PRもアロマも、根っこにあるのは「黒衣(くろこ)」の想い
──アパレルのPRとアロマ。一見違う仕事に見えますが、川野さんの中では繋がっているのでしょうか?
すごく繋がっていますね。 調香師の仕事というと「自分が表現したい香りを作る」アーティストのようなイメージを持たれることもありますが、私のスタンスは少し違います。
私がやりたいのは「自己表現としての調香」ではなくて、あくまで「その場所や人の”らしさ”を高める、引き出せる香りを作ること」なんです。
──あくまで主役は、その場にいる「人」や「ブランド」なんですね。
そうなんです。PR時代は洋服などの「視覚」で。今は香りという「嗅覚」で。 そのブランドが持つ魅力を届けることもあれば、そこにいる人が安心して過ごせるように、空気を整えてあげることもあります。 誰かの「らしさ」が輝くように、そっと下支えをする。そのための「最強の手段」を、アロマで見つけた感覚ですね。
アパレルのPRから、香りの仕事へ。 仕事の形は変わっても、その根っこにあるのは「その人(場所)の良さを、一番輝くかたちで支えたい」という黒衣(くろこ)としての矜持。 川野さんのキャリアチェンジは、"表現の手段"を変えることで、人や商品のもつ魅力を最大限発揮させるための新しい手段を手にする選択だったように感じます。
次回は、川野さんが語る、アロマが持つ驚きの効果と、その科学的な可能性について詳しく伺います。
お話を伺ったのは……
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文=堀池 沙知子





