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心を満たす“脱・デジタル滞在”を「星のや東京(東京・大手町)」で体験。都心のビル群に潜む日本旅館の底力に感銘【ととのうスタディケーションリスト vol.7】

スタディケーションリスト

心を満たす“脱・デジタル滞在”を「星のや東京(東京・大手町)」で体験。都心のビル群に潜む日本旅館の底力に感銘【ととのうスタディケーションリスト vol.7】

【ととのうスタディケーションリスト】
「日本の資格・検定」が考えるスタディケーションとは、自分好みの非日常な環境に滞在し、“脳と身体をリフレッシュさせて勉強にも勤しむ!”というもの。脳身ととのう仕掛けが詰まった「日本の資格・検定」編集部の推し宿をご紹介。

「星のや東京」は“塔の日本旅館”をコンセプトに建てられた、地下2階、地上17階の宿。黒を基調としたスタイリッシュな外観で周囲の高層ビルに溶け込みながらも、随所に江戸の趣が息づく。まさに、都会の隠れ家といえる。

ここには、心と身体をととのえ、自分と向き合うための1泊2日の特別プログラムがある。その名も、「脱デジタル滞在・東京~武士の鍛錬~」。

どんな仕掛けが隠されているのか? リアルな体験レポートと共にお届けしたい。

扉を開けた瞬間、和の静寂へ没入

壁一面に美しい竹細工が施されたモダンなエントランス。

樹齢300年の青森ヒバの一枚板で作られた重厚な扉。開けた瞬間、せわしない都会から一変して静かに時が流れる非日常の世界へと誘われる。

ふわりと白檀の香りが漂う玄関は天井高5.5mの奥行ある空間。奥には、季節の生花がスタイリッシュに生けられ、圧倒的な美しさを放つ。

靴を預け、畳の感触に癒されながら裸足で館内へ。和やかな空気に自然と気持ちも解きほぐされる。

デジタル機器を預ける“儀式”がユニーク。まずはオリジナルの桐の木箱に収めてもらう。画像1/3⇒スタッフが江戸時代に刀の下げ緒や鎧兜着用時に使われていた真田紐で箱を縛る。画像2/3⇒桐の箱にリボンがかけられ、チェックアウト時までデジタル機器としばしのお別れ……。画像3/3

今回のプログラム、「脱デジタル滞在・東京~武士の鍛錬~」では、チェックイン時にスマートフォンやPCなどのデジタル機器をフロントに預けることからスタート。SNSやメールから強制的に解放されることで、心と身体をととのえる第一歩が始まる。

剣術稽古に没頭し、精神統一

手元にスマホはないけれど、時間を持て余す心配は無用だ。部屋に入ってひと息ついたら、次なる仕掛けへ。

今回の滞在の目玉となる剣術の稽古へ、いざ挑戦!

まずは部屋で袴に着替え、道場へ向かう。

江戸時代から続く「北辰一刀流」師範による剣術稽古は、到着した日の午後と翌朝にトータルで約3時間にわたって行われる。

手合わせの前に礼。相手に隙を見せないよう、視界の端で相手を捉えながら頭を下げる。

ただのリフレッシュプログラムと侮るなかれ。

緊張感に包まれた道場での稽古は、剣術動作の基本につながる雑巾掛けから始まり、模擬刀を使った素振りなどの基礎稽古へと続く。

相手ののどもとに刀の先を向けて、刀と刀を合わせる。

集中するうちに、剣術以外のことは考えられなくなり、無心の境地へ。剣を振り上げる動作などを行ううちに凝り固まっていた肩がほぐれ、パンパンだった脳も次第にクリアになっていく。この時点でデジタルへの欲求はゼロになる。

麩の試し斬り。理想は、凸凹のないまっすぐな斬り口だ。

稽古の集大成は麩の試し切り。

2日目の稽古では、師範が見守る中、道場の中央に体幹を意識してひとりで立ち、集中力を高め、模擬刀を構える。そして、刀を抜き、麩に向かって振り下ろす。

見事に斬ることができたときの達成感と高揚感は、試験に合格したときと似ているような気がした。

夕食、そして朝食。極上の美食で脳心解放

「星のや東京」での食事は、宿泊者だけが楽しめる特別なもの。そのため、“食”のために宿泊する美食家も少なくない。

そんな価値ある食体験も、今回のプログラムのお楽しみのひとつ。

“キャビア”×身欠きニシン。アオリイカの甘味とキャビアの塩味のバランスが絶妙。贅沢なアペリティフからコースがスタートする。画像1/3⇒“蟹”×やたら・がん漬け。アクセントに長野の伝統漬物「やたら」を使用。佐賀の塩辛「がん漬け」によって、蟹の濃厚な旨味が際立つ。画像2/3⇒“牛”×鮒ずし。メインディッシュは、炭火でじっくりと火入れされた牛肉。ゆり根とトリュフのソースでいただく。滋賀の郷土料理「鮒ずし」の風味をまとわせたハンバーグを添えて。画像3/3


「星のや東京」が建つかつての“江戸”は、全国各地から人々が集い、それぞれの食文化を持ち寄った場所。まさに全国の食文化が融合し、集大成となった地である。

こうした歴史的背景を踏まえ、星のや東京ダイニングのディナーでは、日本各地の食文化をフランス料理の技法を用いて表現。

素材の魅力を活かしながらも、独創的なアイデアによってバランスのとれた味わいに仕上げた料理は、一品ごとに驚きと感動があり、次第に心が満たされていく。

さらにワインのペアリング(別料金)をお願いすれば、その感動が何倍にも膨らむだろう。

朝食は和洋から選択。写真はある日の和朝食。「星のや東京」オリジナルのブレンド米で炊き上げた白米に色とりどりのおかずが並ぶ。

このような豊かな食体験も、脳と心のデトックスに繋がる、そう確信した。

スパ、温泉、黙想…、魅力が溢れる体験の数々

今回体験した「脱デジタル滞在」のプログラムには、剣術稽古や贅沢な食体験に加え、スパトリートメント、黙想、貸切り温泉も含まれる。

スパトリートメントでは、季節の植物を練り込み、蒸しあげた葉玉を使用。凝り固まった筋肉を温めながらほぐしていく。

剣術稽古、ディナーのあとに待っているのは、スパトリートメント。デジタルから解放されることによるリラックス効果だけでなく、優しいタッチで全身の緊張を解きほぐしてもらうことで、より深い眠りへと導かれる。

翌朝6時半からは黙想の時間。

黙想は、静寂に包まれたロビー奥の畳敷きの空間にて。

早朝の大手町を前にあぐらで姿勢を正し、静かに目を閉じる。すると次第に呼吸が深まり、心もととのう。散らばった思考もまとまっていく……。

この黙想がもたらす効果は、日々の勉強の前後や合間にも活かせるはずだ。

内風呂から続く露天風呂。四方は壁に囲まれているが、天井がなく、都会の空を仰ぐことができる。滞在中は何度でも入浴可。

宿の最上階には、大手町の地下約1500mから湧き出る天然温泉があり、このプログラムの仕上げには貸切りでの入浴時間が用意されている。

人目を気にすることなく、フローティングポールに身を預け、2日間の体験を振り返る時間だ。デジタルから離れて過ごした2日間での身体と心の変化に気付かされるだろう。

「脱デジタル滞在・東京~武士の鍛錬~」

【スケジュール例】
1日目

14:00 チェックイン、デジタル機器を預ける
14:45 北辰一刀流剣術稽古
17:00 温泉
18:00 夕食(星のや東京ダイニング)
21:00 スパトリートメント(90分)

2日目
06:30 黙想
07:30 軽食(おむすび)
08:45 北辰一刀流剣術稽古
10:30 朝食
11:30 貸し切り温泉
13:00 チェックアウト、デジタル機器を受け取る

【料金】
99,440円(税サ込み)
含まれるもの:剣術稽古、袴レンタル、夕食、朝食、スパトリートメント、貸切温泉  ※宿泊費は別途
定員:1日1組(1~2名)
※14日前までに要予約

このように「脱デジタル滞在・東京~武士の鍛錬~」には、最後の最後まで自分と向き合う仕掛けが組まれている。

少し贅沢なプログラムだけれど、充実した内容を考えればこの金額は納得だ。勉強に疲れたときのリフレッシュに、集中力を高めたいときに、ぜひおススメしたい。

DATA
星のや東京

東京都千代田区大手町1-9-1
料金:1泊1室182,000円~(税サ込み、食事別)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyatokyo/

文=菊田 純子

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