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1日中楽しめる「那須塩原市図書館 みるる」へ。読書に勉強、アート鑑賞、カフェでおしゃべりも

勉強するならこんなところ #きょうも図書館日和です。

1日中楽しめる「那須塩原市図書館 みるる」へ。読書に勉強、アート鑑賞、カフェでおしゃべりも

きょうも図書館日和です。
全国の足を運びたくなる図書館を巡る企画。第4回は栃木県・那須塩原市にある「那須塩原市図書館 みるる」をピックアップ。

栃木県那須塩原市、黒磯駅前のシンボルとして居心地の良い空間が広がる「那須塩原市図書館 みるる(以下、みるる)」。

2020年9月のオープン後、図書館としてだけでなく、カフェやアート展示スペース、テラスなどを備えたまちの交流拠点として地元住民に愛されている。

年々利用者が増加し、今や観光客までもが訪れるその魅力をご紹介。

まるで那須の森に抱かれるよう。格子状の本棚が印象的な温もりあふれる空間

設計デザインを手掛けたのは建築スタジオ「UAo」の伊藤 麻理さん。那須出身の伊藤さんは、地元の自然豊かな“森”をデザインに取り入れたそう。


館内に一歩足を踏み入れると、まず出迎えてくれるのが、木の温もりいっぱいの開放的な空間。天窓から差し込む光が木漏れ日のように感じられる。

2021年度のグッドデザイン賞を受賞した「みるる」は、図書館に機能以外にも、交流の場やアート拠点としての役割を担う。

主に1階は交流の場として、どこでも会話や打ち合わせが可能。話しやすい雰囲気づくりのためにBGMが流れているのも、図書館としては珍しい。

スタイリッシュな中にも温かさを感じる2階。画像1/2⇒窓際は自分だけの読書時間を楽しみたい人にぴったり。オーダーメイドの椅子は座り心地抜群。画像2/2


図書館としての利用がメインの2階は、打って変わって静かな環境だ。

利用目的別にゾーニングされ、それぞれ個性の際立つスペースが約400席用意されている。

アクティブラーニングスペースは机と椅子が自由に動かせるので、ひとりでもグループでも使いやすい。画像1/3⇒個人学習や読書を行えるサイレントラーニングスペースも完備。画像2/3⇒書架の奥にひっそりと構えるのは、2〜4人のグループ用学習ブース。学習室は予約端末で予約すると利用できる。画像3/3


中でも特徴的なのは、階段状になっているアクティブラーニングスペース。

取材時は、一人でのんびりと本を読む大人や、グループディスカッションをする学生まで、幅広い層が思い思いに過ごしていた。

左から、「森林ノ牧場」のミルクを使ったソフトクリーム(500円)とプリンパフェ(750円)。駅前にいながら牧場ならではの濃厚な味わいを楽しめる。画像1/2⇒1階の中央に構えるカフェ「モリコーネ」は、穏やかな時間が流れる「みるる」を象徴するよう。画像2/2


1階のカフェ「モリコーネ」も「みるる」を語る上で欠かせない。

「モリコーネ」は那須町の「森林ノ牧場」が運営しており、美味しいコーヒーをお供に読書をしたり、スイーツや軽食を食べながらおしゃべりをしたりと、癒しの空間だ。

カフェメニューのみならず、那須のお土産も手に入るので、観光途中で立ち寄る人も後を絶たないのだそう。

言葉の彫刻は圧巻!新たな本との出会いが生まれる工夫がそこかしこに

「言葉の彫刻」は1年に1回刷新される。2024年は10月にリニューアルし、白い手書き風文字から黒いゴシックフォントに刷新。


館内でひと際目を引くのが、1階の本棚を彩る「言葉の彫刻(アフォリズム)」。

美術やマテリアル、建築、雑誌、暮らし、子育てなど、ジャンルで分けられた本棚ごとに、代表的な本の中の一節を大きな文字にして展示している。

「言葉の彫刻」のそばには、展示内容が掲載されている本が置かれていて、借りることも可能。気になった言葉が載っているとなると、まったく知らなかった本にも俄然興味が湧いてくる。これも新しい本との出会いだ。


「言葉の彫刻」は、“通り過ぎるだけでは気づかない本に気づいてもらうこと”を目的にしていて、ブックディレクターの幅 允孝さんが選定。毎回テーマに沿ってふさわしい言葉を選んでもらっているそう。

本の「ジャケ買い」ならぬ、「ジャケ読み」を楽しめるのは、「みるる」ならでは。


言葉の彫刻のみならず、館内には新しい本と出会える工夫がたくさん。まず、取材チームが歩いていて感じたのは、圧倒的に本が手に取りやすいということ。

「みるる」では、“気軽に読書に親しんでもらいたい”という想いから、多くの本が表紙の見える状態で並べられている。一般的な図書館というよりも、おしゃれな本屋に訪れた印象だ。

フェムテックの特集では、性別関係なく気になる本が並ぶ。画像1/3⇒地域との関わりの深さが分かる特集も。画像2/3⇒エントランス部に大きく展示してあったのは、映像化された本の特集。画像3/3


また、書架を通ると「映像化作品」や「フェムテック」「かわいい」「新幹線開業60周年」「農家さんに教えてもらおう」など、琴線に触れるワードが次々と目に飛び込んでくる。

各特集コーナーはトレンドや時事などを考慮し、2、3カ月おきにスタッフが入れ替えていて、利用者は訪れるたびに新たなテーマの本を知ることができるのも嬉しい。

ワークショップや企画展示も。アート拠点としての「みるる」

アート拠点にふさわしく、窓にかかるカーテンまでこだわりぬかれたオーダーの逸品。柔らかい曲線が美しい。


建物自体も建築アートとして楽しめる「みるる」だが、アートで地域を盛り上げる「ART369プロジェクト」の拠点でもある。

「ART369プロジェクト」とは、那須塩原市の黒磯駅周辺から板室温泉までの板室街道(県道369号)沿いをアートで盛り上げるプロジェクトのこと。

新進気鋭のアーティストを招いた作品の展示や公開制作、ワークショップなどもが行われている他、映画祭や夜市なども開催されている。

イラストレーターの永山 恵さん。ポップな色彩のペイントで、広告やプロダクト、書籍、ミュージックフェスなど多岐に渡るアートワーク制作を中心に活躍。画像1/2⇒永山さんによるライブペイントの様子。取材時は永山さんのイラストによる服やバッグ、靴などのコラージュパーツがたくさん作られていた。週末には、それらを使って”着せ替えコラージュ”のワークショップが開催されたそう。画像2/2


取材当日は永山 恵さんによるライブペイントを見ることができたが、過去にはコンテンポラリーダンスの上演もあったそう。

館内のギャラリーやラボでも、約2カ月ごとにさまざまな企画展示を実施。こちらでは那須にゆかりのある人物の作品を中心に開催している。


「みるる」は、読書や勉強をするだけではなく、アートに触れたり、おしゃべりやカフェを楽しんだりしながら自由に過ごせて、新たな知識と出会うこともできる場所。

過ごしているだけで感度がアップするような素敵な空間に、ぜひ一度訪れてみては。

DATA
那須塩原市図書館 みるる
栃木県那須塩原市本町1-1
開館時間:10:00〜21:00(火〜金曜)、10:00〜18:00(土・日曜、祝日)
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)、特別整理期間、12/31~1/3
https://www.instagram.com/nasushiobara_miruru/

取材・文=鈴木 希

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