日本の出版物をほぼすべて所蔵!知識と文化の宝庫「国立国会図書館」へ
国内で発行されたほぼすべての出版物を集めて保存している日本唯一の法定納本図書館――それが国立国会図書館。本や雑誌だけでなく、地図や楽譜、新聞、さらにはCD-ROMなどの電子媒体まで、さまざまな出版物が集まってくる場所だ。
東京本館、関西館、国際子ども図書館の3館があり、国会議事堂のすぐそばに佇む東京本館を紹介する。
きょうも図書館日和です。
全国の足を運びたくなる図書館を巡る企画。第6回は東京都・千代田区にある「国立国会図書館 東京本館」をピックアップ。
国立国会図書館は日本の知の宝庫! 絶版本から新刊まで約4,811万点を所蔵
東京本館の建物は本館と新館に分かれている。画像は新館ホール。全体の延べ面積はおよそ14万8,000平方メートルで、そのうち半分以上が書庫となっている。
1948年に開館した国立国会図書館は、日本の出版文化を丸ごと保存し続けている。
戦後に発行された出版物はもちろん、戦前の貴重な資料も一部所蔵。令和5年度末の時点で、所蔵品は全館で約4,811万点に上る。
毎年約60万点の新しい出版物や資料が発行されているが、国立国会図書館はそれらほぼすべてを収集対象としており、知のアーカイブは今も拡大中だ。
書庫の中は温度や湿度がきちんと管理され、資料に優しい環境で丁寧に保存されている。照明も低紫外線タイプの蛍光灯を使用。
市場で入手困難なものや江戸時代の文献など貴重な資料はデジタル化されていて、インターネットからアクセスできるものも多い。なお、江戸時代の資料は誰でも閲覧可能で、その他の資料は利用者登録をすると利用できる。“保存と公開”を両立する工夫が詰まっていて、誰でも利用しやすいのが魅力的だ。
出典:国立国会図書館「電子展示会『本の万華鏡』」(参照 2025年7月23日)
国立国会図書館では、資料を読むだけでなく“見る楽しみ”も用意されている。「推し活」「鉄道」「探偵小説」などユニークなテーマを設け、電子コンテンツ『電子展示会』や新館と本館の間の国立国会図書館ギャラリーなどで展示。
どの展示も図書館が持つ膨大な資料を生かして企画されており、新しい発見があるのがうれしい。
満18歳以上なら無料で利用可能!
混雑状況によっては手続きに時間がかかることもあるので、時間に余裕を持って訪れたい。
館内で書庫内の資料を閲覧するには、まず利用者登録を。登録は無料で、満18歳以上であれば誰でも申し込みOK。本人確認書類を持参すれば、新館にある利用者登録カウンターで手続きできる。また、オンラインでの利用者登録も可能なので、ぜひ活用したい。
荷物はロッカーに預け、貴重品とパソコンなど必要なものだけを透明な袋に入れて館内へ持ち込むスタイル。
資料を検索できる端末がずらりと並ぶ、本館ホール。
利用の流れはとてもシンプル。探したい資料は、スマートフォンや館内の端末で検索できる。閲覧申込をすると、20~30分で資料が到着するので、時間になったらカウンターで資料を受け取る。
初めてでもスムーズに使えるよう、図書館公式YouTubeチャンネルでは利用手順の紹介動画も公開されているので、予習してから行けばさらに安心!
国会図書館の資料はすべて館内閲覧が原則。ただ、「時間がないので持ち出したい」「家に持ち帰ってゆっくり読みたい」という場合も。そんなときは、複写サービス(有料)がおススメだ。著作権の範囲内であれば複写した資料を持ち帰ることができ、利便性が高い。
館内には電源付きの座席や、Wi-Fiが備わっている場所もあり、パソコンを使って調べものや作業ができる環境が整っている。
来館しなくても使える、もうひとつの図書館
出典:国立国会図書館サーチ (参照 2025年11月02日)
国立国会図書館には、来館しなくても利用できるオンラインサービスも充実している。そのひとつが、所蔵資料を検索できるだけでなく、閲覧や複写の申込なども行える『国立国会図書館サーチ』。来館時の利用申込にも使われるなど、資料へのアクセスを幅広くサポートしている。
全国の都道府県立・政令指定都市の図書館における所蔵状況まで一度に調べることができて便利だ。また、国立国会図書館が所蔵する中には、ネット上で複写申し込みが可能なもの(有償)も。古い資料や専門書を探したいときにも頼りになる存在だ。
国立国会図書館「国立国会図書館デジタルコレクション」(参照 2025年11月02日)
デジタル化された資料は約480万点(2025年9月末現在)。ログインなしで誰でも利用可能なものが67万点、利用者登録すればインターネットで利用可能なものが232万点、図書館の専用端末でのみ読めるものが181万点と、公開範囲は3段階に分かれている。
デジタル化資料を提供することで閲覧の利便性向上を図ると同時に、資料原本の劣化も防げるのだとか。利用者としては、来館せずに使えてとても便利だ。
浮世絵や明治期の雑誌まで! 「NDLイメージバンク」が楽しい
国立国会図書館「国立国会図書館デジタルコレクション」(参照 2025年11月02日)
ちょっと変わったサービスとしておススメしたいのが「NDLイメージバンク」。ここでは、浮世絵や明治・大正時代の雑誌など、ビジュアルで楽しめる資料を厳選して紹介している。著作権が切れているものばかりなので、個人的な使用も商用利用も可能。
出展:国立国会図書館「国立国会図書館デジタルコレクション」(参照 2025年7月23日)
気になる画像をクリックすれば国利国会図書館デジタルコレクションへ遷移し、画像が載っている元の資料にアクセスもできる。ビジュアルを入口として新しい資料に出会い、深く学ぶ。そんなふうに図書館の所蔵する資料がぐっと身近になる、“とっかかり”のような存在だ。
図書館の裏側をのぞく「参観ツアー」の開催も!
新館書庫は地下1〜8階にあり、地下8階の深さはなんと約30m!
もっと図書館を深く知りたいなら、事前予約制の「参観ツアー」に参加を。
本館と新館をめぐり、資料がどのように保管されているか、書庫はどれほど深く広いのか――図書館スタッフの案内で、普段は入れない場所まで見学可能。図書館の舞台裏を覗くことができる、貴重な体験に。
新館書庫中央に設けられた「光庭(ひかりにわ)」からは、自然光が最下層まで差し込む。地下書庫で働くスタッフの心理ストレスを軽減し、停電時の備えにもなっている。
読書の合間にうれしい休憩スペースが充実
本館6階食堂の窓から、日比谷方面のビル群や皇居の緑を望める。
本館6階に食堂、本館3階と新館1階に喫茶スペースがあり、読書や調べものの合間にリラックスできる。本館6階の食堂の名物は「国会図書館カレー」。大ぶりなジャガイモがごろっと入った、どこか懐かしい味わいが人気。
国立国会図書館には、知を守り、伝え、つないでいくための工夫と情熱が詰まっていた。本に出会い、自分だけの興味を深め、静かに思索を巡らせる時間。そんな贅沢なひとときを、この場所で過ごしてみては。
DATA
国立国会図書館東京本館
東京都千代田区永田町1-10-1
開館時間:9:30~19:00(土曜日は~17:00)
休館日:日曜日、国民の祝日・休日、年末年始、第3水曜日(資料整理休館日)
https://www.ndl.go.jp/index.html
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