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介護はまだ先?でも心のどこかで気になるあなたへ。加藤綾菜さんに聞く「親の介護の入口」ガイド

インタビュー #気になるあの人を深堀り

介護はまだ先?でも心のどこかで気になるあなたへ。加藤綾菜さんに聞く「親の介護の入口」ガイド

親の介護なんて、正直まだ少し先のことのように思える。でも、親の年齢を考えると、なんとなく気になり始めている……。とはいえ、何から始めればいいのかよく分からず、漠然とした不安だけがある、そんな人も多いだろう。

タレントの加藤 綾菜さんは、「専門的な知識よりも、まずは相手を“理解しよう”とする気持ちが大切」と話す。そこで今回は、いざという時に慌てないために、今のうちから無理なく始められることについて、加藤さんに聞いた。

【加藤 綾菜の“私らしい介護”のカタチ。愛する人を支えるための学び】
愛する夫・加藤 茶さんを支えるために数々の介護資格を取得してきたタレントの加藤 綾菜さん。資格取得を通じてどんな学びや発見があったのか。本連載では、加藤さんの実体験から介護と向き合うすべての人に役に立つヒントをお届け。

家族の小さな変化に気づいた時の“心構え”

ーー読者には、30代、40代の方も多くいらっしゃいます。親の将来を考えたときに、漠然とした不安を感じ始める年代かもしれません。まだ悩みや不安が「顕在化していない時期だからこそ、できること」はあるでしょうか?

私自身もそうでしたが、いざという時に慌てないためには、少しでも介護の知識や心構えを持っておくことをおススメしたいです。 不安の正体は、実は「分からない」ことにある場合が多い。だからこそ、少しでも不安を感じたら、まずは調べてみてほしい。それが第一歩だと思います。

ーー家族の変化にイラッとしてしまい、予兆を見逃してしまいそうな不安もあります。

家族だからこそ、つい「さっきも言ったでしょ!」「すぐ横にならないで手伝ってよ」と強い口調になってしまう……。ありますよね。 でも、それは仕方のないこと。だからまずは、イラッとしてしまう自分を責めないであげてください。

ただ、もし「最近、イライラする回数が増えたな」と感じて、その原因が相手の「できないこと」にあるのなら、一度立ち止まってみてください。「もしかして?」と疑って、一緒に病院へ行ってみるのも1つの手かもしれないですよね。

ーー検査などの結果、もしそれが「老化」や「介護の始まり」だと分かった場合は、どう接すればいいのでしょうか?

 もしそうだとわかったら、ちょっとだけ考え方を変えてみてほしいんです。「できなくなったこと」を責めるのではなく、「今できていることを、1日でも長く続けられるようにサポートする」。そんな意識を持つと良いと思います。

例えば、ジャムの瓶の蓋が開けられなくなったとき。 全部やってあげるのではなく、「蓋を開ける」という力のいる動作だけ、さりげなく手伝う。そのくらいで十分です。

小さなことですが、相手の尊厳を守りながら「できない部分だけを補う」。 それが、お互いにとって一番良い形なのでは。

ーー相手の尊厳を守るというのは、今の変化を否定せずに「受け入れる」ということでしょうか?

そうですね。だって、誰だって完璧ではありませんから。私自身も物忘れが激しくて、加トちゃんに「同じ話を3回してるぞ」って言われるくらいなので(笑)。

夫婦でも親子でも、「できない部分はお互い様」で良いと思うんです。 「あぁ、これが老いなんだな」と割り切ってみるのも手です。そうやって、まずは相手の今の姿をありのまま受け止めてあげることで、介護への不安が1つ少なくなるのではないでしょうか。

知っておきたい“食”と“身体”の基礎知識

ーー心構えと同時に、具体的な知識も知っておきたいです。例えば食事面で、今から学んでおくと役立つことはありますか?

食事は本当に大事ですね。私は「介護食アドバイザー」の資格も取りましたが、そこで学んだ知識には何度も助けられました。

一番驚いたのは、「食べ物を小さく刻めば安全だろう」というのは、実は思い込みだということです。

ーーーーそうなんですか?介護食というと、小さめに切ったり、裏ごししたりするのかと思っていました。

私もそう思っていました。でも実は、中途半端に小さく刻むと、かえって口の中でバラついてしまい、「誤嚥(ごえん)性肺炎」のリスクが高まることがあるんです。だから、ある程度の大きさがあったほうが、「しっかり噛んで飲み込もう」という意識が働くので、安全な場合もあるんですよ。

もちろん個人差はありますが、「小さく切る=安全」とは限らない。これを知っているだけでも、対応はずいぶん変わってくると思います。

ーー身体のケアについてはどうでしょうか?

専門的な内容になってしまうのですが、体のケアで絶対に知っておいてほしいのは「床ずれ(褥瘡)」の怖さです。

寝たきりになると、同じ場所に体重がかかり続けて、皮膚が壊死してしまう。「そんな簡単になるはずない」と思いがちですが、本当にあっという間になってしまうんです。

ーー聞いているだけで痛々しいです。

本当に、本人はすごく痛いんですよ。だから、こまめに体の向きを変える「体位交換」が重要になります。 私が義妹の介護をしていたときは、彼女が床ずれの痛みで苦しまないように、自分の手をクッション代わりに、お尻の下へ2時間も3時間も入れ続けていたことがありました。

大変でしたけれど、「どうすれば少しでもラクになるか」を必死で考える。その「相手を思う気持ち」と、「床ずれ」のような具体的なリスクの知識。この2つが揃って初めて、適切なケアができるんだと思います。

学びは未来を守る“お守り”

ーー具体的な知識があるだけで、いざという時の対応は全く違ってきますね。

本当にそうです。ただ、いきなり「介護の資格を取ろう!」と意気込む必要はありません。まずは気軽な情報収集から始めてみてほしいんです。

実は私も、最初はYouTubeで介護の発信をしている人の動画を見て、「へぇ、こういう世界があるんだ」と知るところからのスタートでした。もし認知症のことが気になるなら、関連する本を1冊読んでみるだけでもいいと思います。

そうやって少しずつ調べていくうちに、自然と「もっと深く知りたいから、この資格に挑戦してみようかな」という道筋が見えてきたら、そのときに資格にチャレンジすれば良いのでは。資格取得に関わらず、学びは、いつ誰に訪れるか分からない「もしも」のときに、自分と大切な人を守ってくれる、一番の「お守り」になると思います。


少しずつ介護の知識を蓄えておくことが、未来の自分と大切な人を守ることに繋がるという。まずは、できることから、小さな一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

次回は、数々の困難を乗り越えてきた綾菜さんに、「折れない心の作り方」について伺う。

お話を伺ったのは……

加藤 綾菜さん
1988年広島県生まれ。23歳のとき、当時68歳だったタレントの加藤 茶さんと結婚。夫を支えるために、「ヘルパー2級」(現:「介護職員初任者研修」)や「ヘルパー1級」(現:「介護福祉士実務者研修相当」)、「介護食アドバイザー」、「介護予防運動指導員」など数々の資格を取得。現在は、ボランティアで介護を行うほか、講演や執筆活動などマルチに活躍する。Instagram:@katoayana0412, YouTube:加藤家の日常

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撮影=河野 優太
文=SUGARBOY

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