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今注目の薬膳資格。どんなことを学ぶ?費用や活用法を深掘り!

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今注目の薬膳資格。どんなことを学ぶ?費用や活用法を深掘り!

人気を博したNHKドラマ『しあわせは食べて寝て待て』の影響もあり、薬膳への関心が深まっている昨今。予防医学への意識の向上も相まり、薬膳が学べる資格にも注目が集まっている。

薬膳に関する資格は、「薬膳・漢方検定」や「薬膳アドバイザー」「国際薬膳師」など数多くあるが、今回は薬膳の本場ともいえる中国で発祥した教えを学べる「国際中医薬膳師」をフィーチャー。

弊サイトで連載【まなびのキッチンから】を担当し、こども薬膳サロンも運営する国際中医薬膳師のさとう あいさんに、資格取得の道のりや活用法について詳しく伺った。

さとうさん(写真左)は、“薬に頼らず食のチカラで子どもの健康を守る”をモットーに、こども薬膳サロンを運営している。

資格取得のきっかけは、原因不明の頭痛

数年前、ひどい頭痛に悩まされる日々が続き、頭痛薬を毎日飲んでいたというさとうさん。

「薬を長期間服用するのは避けたい……という想いから、薬も食べものも境がないという考え方の薬膳に興味をもちました」(さとう あいさん。以下同)

もともと、料理業界でキャリアを積んでいたこともあり、自身の体調を改善すると共に、仕事でも薬膳を活かしたいと考え、資格取得前提で学びをスタート。

「数ある薬膳資格ですが、主催団体が違うだけで、学ぶ内容はほぼ同じなんです。

私は、“日本で初めて本格的な中国の薬膳を取り入れた”とされる日本中医学院が主催する『国際中医薬膳師』能力認定試験合格を目指しました」。

取得までの費用や勉強のすすめ方は?

国際中医薬膳師』は薬膳師の最高位に位置付けられる資格で、受験には、日本中医学院の中医薬膳専科(修学年限は1年)の修了が必要となる。190時間の集中講座で構成されるこの専科は11科目からなり、「中医学の理論」「薬膳の理論」「薬膳調理実習」を体系的に学ぶことが可能だ。

「リアルタイムでのオンライン受講とオンデマンド配信の動画受講とを自由に組み合わせて受講できるので、ライフスタイルに合わせた選択できるのも魅力ですね。

講座を受けるだけでなく、自宅学習も1年間で610時間程必要とされています。1週間に換算すると10時間程ですが、私の場合は、1日1時間のときもあれば、集中して長時間勉強することもありました」。

気になる受講費用を日本中医学院に問い合わせたところ非公開とのことだが、おおよそ私立大学文系の年間授業料の半額程だそう。

「費用はなかなか高いですが、『中医学の理論』は、中国の国立北京中医薬大学を卒業した中医師が、『薬膳の理論』については、中医学教育の専門家が講師を務めるので、本格的な学びができ、とても充実した講座内容でした」。

「見慣れない漢字の組み合わせ」に悪戦苦闘

薬膳では、自然界に存在する物質を5つに分類する「五行(ごぎょう)」という考え方があり、食材だけでなく、季節や感情、方位、色などさまざまなものを「木・火・土・金・水」の5つの性質に当てはめていく。これを人間の身体に応用することで、バランスの良い状態に近づけていく、というのが基本となる。

「どの性質に当てはまるかを覚えていくことも難しいのですが、その前段階として、薬膳用語を理解するのに時間がかかりました

薬膳用語とその効能を学ぶ中薬学という科目では、普段目にしない漢字がバンバンでてきます。蝉退(せんたい)や牡蛎(ぼれい)などもそれまで知らない用語でしたので、まずは読み方を理解し、効能を理解したあとに、五行を覚える、といった感じで記憶力が鍛えられました(笑)」。

国際中医薬膳師』試験に合格するには、学習時間の捻出と数十万単位の費用負担が必要になってくるが、「学べば学ぶ程に身につく知識であることが一番の魅力」とさとうさんは話す。

国際中医薬膳師となった現在も、日本中医学院の中医薬膳研究科と中医中薬専攻科にて薬膳の学びをさらに深めているさとうさん。

「世の中には才能やセンスが必要とされる学びの分野も多く存在しますが、薬膳は学んだ分だけ自分の力になっていくのが良い点だと思います。

また、得た知識がすぐに日常生活でも活かせるのも楽しい

例えば、中医診断学の科目で習う「実熱と虚熱」では、発熱にも種類があることを学びます。実熱だと、38度台まで一気に上がりますが、虚熱は微熱が長いこと続いてしまう。これは、熱を出す体力がないからなんです。

この発熱の仕組みを知っていると、虚熱の場合は体温を平熱に戻すことが重要でなく、体力がつく食事を摂ることが優先、といったことが分かります。

薬膳の学びは、子育てにもとても役立ちました」。

資格取得後の活用法は多岐に渡る

中医薬膳専科を修了すると受験資格が得られる、『国際中医薬膳師』能力認定試験。

年に2回、2日間に渡り行われ、中医薬膳専科で学んだ中医基礎理論、中医診断学、中薬学、方剤学、中医内科学、中医営養学、中医薬膳学、弁証施膳の8科目の試験で構成される。

合格率は9割程のコチラの試験に合格すると、晴れて国際中医薬膳師と名乗れるが、合格者はどのように活用しているのだろう。

「私は現在、『こども薬膳サロン』をメインに活動しています。アレルギーなどの不調に悩む子どもを持つ親御さんのための薬膳講座です。

その他、レシピライターのお仕事や、小学校や幼稚園での講演会、健康に悩む方への薬膳茶講座など幅広く行っており、薬膳の学びがダイレクトにビジネスに活かせていると感じます。

他の合格者は、薬膳カフェをオープンしたり、ポップアップで薬膳サロンを開く方も。もともと料理代行の仕事をされていた方は、薬膳の知識を活かした料理がとても好評を得ている、とおっしゃっていました」。


国際中医薬膳師』の学びは、ビジネスに活かせるばかりでなく、日常生活の質も上げてくれる。健康志向が高まる現代において、今後さらに注目度が高まる資格になりそうだ。

【“薬膳師”に聞く薬膳の魅力!】
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お話を伺ったのは……

さとう あい
レシピライターとして活躍する国際中医薬膳師。現在は、「こども薬膳サロン」を主宰し、アレルギーなどの不調に悩む子どもたちとその親に向けて、薬膳の知識を広める活動を行っている。新著に『薬に頼らずのびのび育てる! こども薬膳』(三笠書房)。公式HP:https://motto-cooking.com

文=倉持 佑次

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