プロが教える、絶対やってはいけない収納。片付けベタさんが陥りがちな3つの罠!
片付けても、すぐにまた部屋が散らかり、終わりが見えない状態にうんざり……。「自分は整理整頓が苦手なのかもしれない」と、片付けそのものにマイナスなイメージを持ってしまっている人も少なくないだろう。
整理収納アドバイザーの安藤 秀通さん(以下、ひでまるさん)は、片付けは得意、不得意の問題ではなく、効果的な手順を踏めていないことが原因だと言う。つまり、正しい知識を身につければ、誰でも片付け上手になれるのだ。
今回は、片付けベタさんが陥りがちな「絶対やってはいけない収納」を3つのポイントに絞ってご紹介。
【やってはいけない収納①】スペースを埋め尽くす「詰め込みすぎ収納」
――片付けベタさんが、一番やってしまいがちなNG例とは?
ズバリ「収納スペースへの詰め込みすぎ」です。引き出しや棚に、スペースの限界までモノをぎゅうぎゅうに詰め込んでしまう。これは多くの方が無意識にやってしまいがちな代表例です。
ーースペースがあるなら、たくさん入れた方が効率的な気もしますが……。
そう思われるかもしれませんが、実は逆効果なんです。めいっぱいまで詰め込んでしまうと、奥にあるモノが取り出しにくくなります。
その「取り出しにくい」という一手間が面倒になり、結局使わなくなってしまったり、何を収納しているかさえ忘れてしまう……。
大切なのは、収納スペースに対して8割程度にモノの量を抑え、「余白」を作っておくこと。
モノを収納スペースの8割程度に収めたカゴ。確かにモノの配置が一目で把握でき、使いやすそう。
この余白があるだけで、モノの出し入れが驚くほどスムーズになり、どこに何があるか一目で分かり、管理しやすい収納が実現できます。
【やってはいけない収納②】非効率を生む「種類別収納」
ーー他にもありますか?
「モノの種類」で分けて収納することです。例えば、「洋服は全部このクローゼットに」「お箸は種類を問わず全部この引き出しに」といった収納の仕方。
ーー合理的で分かりやすい収納のように感じます。
一見、整理されているように見えるこの分類法ですが、日々の暮らしの効率を考えると、実は落とし穴があります。
例えば、お箸がすべて収納されたキッチンの引き出しを想像してみてください。その中には、毎日使う家族のお箸だけでなく、たまに来るお客様用のお箸、頂き物でまだ使っていないお箸など、さまざまな用途のお箸が混在。
そうすると、毎日使うお箸を取り出すたびに、来客用のお箸をかき分けなければならず、引き出し内はぐちゃぐちゃに。地味にストレスも溜まってしまうでしょう。
そこでおススメしたいのが、「使用頻度」で分けるという考え方です。 毎日使うお箸は、一番アクセスしやすい一軍の引き出しへ。使用頻度の低い来客用のお箸は、来客用の食器と一緒に、吊り戸棚の上段など二軍の場所に保管する。こうすることで、普段の動作がとてもスムーズになります。
ひでまるさんのお宅では、キッチン用品はすべて、使用頻度によって収納場所を分けている。毎日使う1軍は、取り出しやすい上段の引き出しへ。使用頻度が下がる2軍は、しゃがんで引き出す下段の引き出しへと収納。
ーー「種類で分ける」のではなく「使用頻度」で分けるのですね。確かに、その方が断然使いやすそうです!
これは洋服も同じ。
「トップス」「ボトムス」とアイテム別に分けるのではなく、「春夏によく着る服とバッグ」「秋冬によく着る服とバッグ」というように、使うシーズン(=使用頻度)でまとめ、その場所だけでコーディネートが完結するようにすると、クローゼットもキレイなまま保てます。朝の支度も格段に楽になり一石二鳥!
さらに、この方法だと「これはもう1年以上使っていないな」ということが可視化され、手放すかどうかの判断もしやすくなるんです。
【やってはいけない収納③】「まだ使える」基準でモノを選別!
――他にも片付けベタな人がやってしまいがちなことはありますか?
これは収納以前の、モノを選ぶ段階の話になりますが、「使えるか、使えないか」という基準だけで要・不要を判断してしまうことです。
片付けコンサルタントをしていると、多くの方が「まだ使えるから捨てられない」という理由で、本当は好きでないモノまで溜め込んでしまっていると思います。
――「もったいない」という気持ちは、誰にでもありますよね。
以前は私もTシャツだけで700枚も持っている程だったので、気持ちはよく分かります。だからこそ、私はモノを選ぶ基準を「使いたいか、使いたくないか」「好きか、好きじゃないか」に変えることを提案したいです。
例えば、昔もらった手紙や、退職時に書いてもらった寄せ書き。これらは物理的には「使えない」モノかもしれません。でも、それを見ると元気が出たり、頑張ろうと思えたりするなら、それはあなたにとって「好き(大切)」なモノだと思います。
「おもいでボックス」を用意し、大切なものを収納するのも◎。
片付けとは、「大事なモノを残すために、不要なモノを手放す作業」。使えるけれど好きではないモノを手放すことで、本当に大切にしたい思い出の品や、大好きなモノのためのスペースが生まれるんです。
「①余白をもたせる」「②使用頻度別で分ける」「③好きかどうかを基準に選ぶ」。ひでまるさんが教えてくれた3つの金言を元に、家の収納を点検してみよう!
お話を伺ったのは……

安藤 秀通さん
アパレルや雑貨の商品開発、ミュージアムショップのディスプレイ担当を経て、コロナ禍を機に片付けに開眼。2020年に「整理収納アドバイザー」の資格を取得後、2021年に起業。現在は整理収納アドバイザー、ルームスタイリストとして、個人宅のコンサルティングやセミナー、執筆など幅広く活動中。「hidemaroom」代表。東日本大震災の経験から、防災備蓄の啓発にも力を入れている。
【暮らしと学びをアップデートする、プロ直伝の整理収納術】
片付けや収納の知識を活かした「勉強がはかどる部屋づくり」のコツを、プロが優しくガイド。環境を味方につけて、試験合格と心地よい暮らしをどっちも手に入れよ!
この記事の連載
◆小さな家でもできる防災グッズ3箇条!
◆整理収納で人生を変えたプロが語る“片付け上手になれる資格”とは?
◆「絶対やってはいけない収納」3つの罠……今回はコチラ
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撮影=新澤 遥
文=SUGARBOY








