子育てを終えて始めた、学び直し。石田ひかりが自分に合った勉強法を見つけるまで
映画『さとこはいつも』は、世代の違う3人の「さとこ」の日常を描いた物語だ。石田さんが演じるのは、子育てを卒業した専業主婦の飯島 里子。
かつて抱いていた“作家になる夢”を思い出し、自分の初恋の物語を綴る等身大の女性を軽やかに演じている。
映画、ドラマと多方面で活躍を続けるベテラン俳優の石田さんだが、私生活では里子と同じように子育てが一段落し、ずっとやりたかったことをスタートさせたのだとか。
「里子の物語は、子どもたちのお弁当作りを終えたところから始まりますが、実は私も16年間にわたる娘たちのお弁当人生を終えたばかりなんです。毎朝5時半起きの習慣がなくなり、ぽっかりと自由な時間が戻ってきた感覚は、里子と全く同じでしたね」と石田さんは語る。
劇中で昔の夢を思い出し、小説を書き始める里子に深く共感したという石田さん。今回は、そんな彼女が現在実践中だという、学び直しについて話を伺った。
お話を伺ったのは……

石田 ひかりさん
東京都出身。1991年、初主演映画『ふたり』ほか『咬みつきたい』『あいつ』の演技で第15回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか数々の新人賞を受賞。1992年、連続テレビ小説『ひらり』(NHK)のヒロインに抜擢され人気を博す。以降、数々の映画、ドラマで活躍。近年の映画作品は『ブルーピリオド』(2024)、『リライト』(2025)、第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作『ルノワール』(2025)。YouTube『まぁるい生活 石田ひかり』を配信中。トリプル主演映画『さとこはいつも』が2026年9月18日より公開。Instagram:hikaringo0525 YouTube:まぁるい生活 石田ひかり
毎日5分、気が向かない日は休む。「無理しない」が継続のコツ
映画『さとこはいつも』で演じた里子と同じように、子育てがひと段落して自身の時間をもてるようになった石田さん。幼少期を台北で暮らしていたこともあり、もともと親しみのあった中国語を、最近は学びなおしているのだとか。
中国語のほかにも、ピアノのレッスンを始めたいと意欲的な石田さん。
「子どもの頃、人から『やりなさい』と言われてしぶしぶやっていた習い事と違って、自分から『やりたい!』と思って改めて取り組んでみると、こんなにも楽しくてやりがいを感じられるんだと驚きました。
自分で目標設定ができるのも、大人になってからの学びの面白さですね」(石田さん。以下同)。
しかし、作品の撮影に入るとどうしてもプライベートなスケジュールが組みにくくなってしまう。そこで中国語の先生のレッスンが受けられない期間は、語学アプリのDuolingoなどを使って学びを補っている。
「アプリはスキマ時間に5分間だけやったりと、時間を気にせず自分のペースで取り組んでいます。
マイルールは『無理はしない』こと。嫌いになってしまったら続けられないので、気が向かないときはやらなくてもいいというスタンスでやっています」
語学や資格の勉強は、何より継続させることが重要。
いつでもどこでも、空いている時間に楽しみながら勉強ができるアプリは、学習習慣をつけることに一役買ってくれそうだ。
「毎日じゃなくてもいい、1日5分でもいい。それでもコツコツと続けることが、私には向いているんだと思います」と、石田さんは自身の性格を分析。
万人に共通する正解の学習法を追い求めるのではなく、まずは自分の性格やスケジュールと相談する。無理をして挫折するくらいなら、1日5分でも機嫌良く続けること。彼女のスタンスからは、大人の学び直しにおいて、自分に合った学習スタイルを見つけることがいかに大切かが浮かび上がってくる。
「This is a pen」では身につかない。自分の日常を語る勉強法との出会い
最適な学習スタイルを見つけるうえで、石田さんの場合は本業での経験がひとつのヒントになっているよう。俳優が撮影に入る前に必ずやらねばならないのが、セリフの暗記だ。
石田さんの暗記術は、演じる役と物語を自分の中に落とし込み、自分自身の体験も込めながら実感として覚えるというもの。
だからこそ、自分とは異なる価値観を持つ役柄に挑む際は、難しさを感じることもあるという。「それでも、自分なら選ばない言葉に思いを乗せて口にできたとき、お芝居ならではの面白さを感じるんです。今回の里子役もまさにそうでした」。
そうやってセリフを自分のものにしてきた彼女にとって、自分の日常とはかけ離れた教科書通りのシチュエーションをただ丸暗記するような勉強法は、どうしてもリアリティが持てず戸惑いがあったという。
「以前、フランス語を習っていたときのこと。たとえば、『クロワッサンをオーダーする』という場面を想定して、言い回しや発音を繰り返し練習するレッスンがありました。でも、私の日常では、クロワッサンを注文する機会はそれほどないんですよね。自分の生活とかけ離れた言葉を繰り返し覚えることに、『これで本当に身につくのだろうか』と少し戸惑ってしまって。まさに“This is a pen”の世界ですよね。普段の生活で『これはペンです』とは言わないじゃないですか(笑)」。
そんな経験を経て、いま習っている中国語の先生が取り入れているのが、「あなたの1週間の出来事を中国語で教えて」というスタイルだ。自分の身に起こったことを自分の言葉で語らせるこのやり方が、石田さんにピタリとはまったという。自分のリアルな体験を言葉にするからこそ、外国語を単なる暗記ではなく、生きた言葉として実感できる。これはまさに、自身の体験をセリフに重ね合わせていくという石田さんならではの暗記法そのものだ。
大人になってからの学びは、最初からうまくいくとは限らない。「ちょっとやってみる」「やり方に違和感を覚えたら、別の方法を試してみる」。そんなトライ&エラーを繰り返すことこそが大切。
石田さんがフランス語での違和感を中国語のレッスンで軌道修正できたように、いろいろなやり方に挑戦していくうちに、自分に合った心地良い勉強法が見つかるかもしれない。
映画『さとこはいつも』
人生のふとした瞬間にそっと背中を押してくれる、愛とユーモアにあふれた物語。沖田 修一監督のもとに豪華キャストが集結し、誰もが共感できる等身大の悩みや喜びを鮮やかに切り取る。年齢もまちまち、生きてきた時間も道もまるで違う3人の“さとこ”たちが、胸に秘めた想いを書き始めたとき、動き出した彼女たちの人生が少しずつ交差していく。
2026年9月18日(金)より、全国ロードショー。
監督・脚本:沖田 修一
出演:有村 架純、石田 ひかり、姫野 花春/
吉田 羊、オダギリジョー、筒井 道隆ほか
©2026「さとこはいつも」製作委員会
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撮影時衣装
シャツ 39,600円、ジャンプスーツ 64,900円/ともにMURRAL(ザ・ウォール ショールーム 050-3802-5577) ピアス 17,600円/e.m.(e.m.青山店 03-6712-6797) シューズ 159,500円/sergio rossi(セルジオ ロッシ ジャパン カスタマーサービス 0570-016600) その他 スタイリスト私物
撮影=奥村 恵子
取材=斎藤 香
スタイリング=Lim Lean Lee
ヘアメイク=神戸 春美








