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試験が中止になっても、挑戦を終わらせない。荒天時でも受験機会を守る「CBT」という選択肢

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試験が中止になっても、挑戦を終わらせない。荒天時でも受験機会を守る「CBT」という選択肢

台風の進路や大雨などの荒天の予報を見ると、「予定どおり出かけられるかな」と気を揉んでしまうもの。もし、その日に控えているのが、ずっと勉強を重ねてきた資格試験だったら……。

もちろん、災害時は安全の確保が最優先です。ただ、勉強を重ねてきた試験が急に受けられなくなれば、落胆は大きいでしょう。しかし、中止になった試験を、状況が落ち着いてから別日に受けられたら。それは大きな支えになるはずです。

豪雨や台風などが相次いだ2026年の夏。実際に、荒天で紙の試験が中止となった際、別日の受験に繋ぐために活用されたのが、パソコンで受ける「CBT」という試験方式でした。

学びのメディア『日本の資格・検定』を運営する株式会社CBTソリューションズ(以下、CBTS)は、この「CBT」のシステム開発や運営を手掛けています。今回は編集部が、テストセンターサポートを担う、オペレーション統括本部マネージャー高橋 将太さんを取材。災害時の対応を手がかりに、試験を「CBT化」する意義と、それが私達の学びや挑戦にどう繋がるのかを考えます。

「CBT」で変わる、試験の受け方

荒天のため中止となった試験の新たな受験機会を支えた「CBT」。そもそも、どのような試験なのでしょうか。

「CBT」とは、コンピュータを使って問題を読み、解答する試験方式。「テストセンター」と呼ばれる試験会場に足を運び、そこに設置されたパソコンで受験するもので、自宅のパソコンで受ける試験(IBT)とは異なります。

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受験者にとってのメリットは、日時や会場を選びやすいこと。紙の試験が指定された日に一斉に受験するのが一般的なのに対し、「CBT」は受験期間の中から都合の良い日を選べます。

「テストセンターは全国47都道府県、北は稚内、南は石垣島、父島や佐渡島などの離島にもあります。試験ごとに設定された受験期間の中で、空席のある日時や会場を選んで受験できるので、仕事の休みの日はもちろん、仕事帰りに受験したり、自宅や職場から通いやすい会場を選んだりできることで、受験のハードルがさがっているのではないでしょうか。

同じテストセンターで、隣の人が別の資格試験を受けていることもあります。さまざまな試験を実施できる会場とシステムが、受験の選択肢を広げているのです」(高橋さん。以下同)。

実は、「CBT化」の意義は、受験の選択肢が広がることだけではありません。試験問題や配信の仕組みがあらかじめ用意されていることは、災害などで予定していた試験を実施できなくなったときにも役立ちます。

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荒天で受けられなかった紙試験を、別日の「CBT」試験へ

この夏、ある資格試験で、荒天の影響により一部の会場で紙の試験が中止となりました。受験予定だった人たちに、安全を確保したうえで、改めて試験を受ける機会を用意できないか。そこで活用されたのが、「CBT」でした。

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「試験のCBT化は、受験者の可能性を守ることにも繋がる」と語る、CBTSオペレーション統括本部マネージャー高橋 将太さん。

「中止になった資格試験は、もともと紙で行う試験に加えて『CBT』でも実施している試験でした」。

CBTSは、すでにあった「CBT」の仕組みを活用し、振替受験の申込システムと全国の会場を提供。対象となる受験者が、受験期間内の空席のある日時・会場を選んで受験できる形をととのえました。「CBT」での受験がかなわず、返金対応となった方もいましたが、改めて試験に臨む機会を用意することができました。

とはいえ、やむを得ない事情で中止となった試験を、別の日に実施し直すのは簡単ではありません。特に、紙で実施の試験では、会場やスタッフを再び手配し、試験問題についても検討する必要があります。他の地域ですでに試験が行われていれば、公平性を保つため、同じ問題をそのまま使うことが難しい場合も。受験者に次の機会を届けたくても、すぐには準備をととのえられない。主催者も、難しい対応を迫られるのです。

こうした準備の負担を軽減し、別日の受験につなげる選択肢となるのが「CBT」です。複数日にわたって実施する「CBT試験」では、試験ごとに複数の問題を用意したり、一定のルールで問題を組み合わせて出題したりするなど、公平性を保つための設計が行われます。この「日をずらしても成り立つ」設計が、災害時の振替のしやすさにもそのまま活きています。

もちろん、「CBT」であれば、どの試験でもすぐに振り替えられるわけではありません。実施には主催者の判断に加え、試験ごとの条件や会場の受け入れ状況などの確認が必要です。それでも、別の日に受けられる仕組みを備えておくことは、受験機会を守るための支えになります。

「資格によっては、次に受けられるのが半年後や1年後になってしまうこともあるでしょう。その資格がなければ、予定していた仕事に就けないこともある。試験を一度逃すことが、その人の働き方や、これからの生活を大きく左右してしまうこともあると思うんです」。

受験機会をどう守るか。試験の「CBT化」には、日頃の受験を便利にするだけでなく、万一のときにも次の機会を用意し、学んできた人の挑戦を支える意味があるのです。

「別の日に受けられる」を支える、人の仕事

ただし、「CBT」の仕組みがあれば、自動的に振替ができるわけではありません。会場の状況を確認し、主催者と相談し、受験者に案内する。実際の受験に繋げるには、関係者の連絡や調整が欠かせません。

高橋さんは日頃から天気予報を確認し、全国の会場への影響を気にかけているのだそう。前述の事例に限らず、試験の中止が決まったら、まず急ぐのは、受験者への連絡だといいます。

「勉強を重ねてきた受験者の方は、なんとしても受けようと、大変な状況の中でも足を運ぼうとされる方が少なくありません。だからこそ、中止と決まれば、それをなるべく早く伝えることが、受験者の方の安心と安全に繋がると思うのです」。

会場との連絡、主催者との相談、受験者への案内。荒天などイレギュラーな事態のたびに、こうした対応を1つずつ重ねています。会場、営業、カスタマーサポートなどが迅速に情報を共有し、それぞれの持ち場で対応する。その積み重ねによって、受験者に次の機会の提供を可能にしているのです。

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「CBT試験」の導入が広がり、受験者数も増えるにつれて、会場との調整や受験者対応など、運営側が担う業務も増えている。忙しい日々の励みになるのは、自分たちの仕事が誰かの人生に関わっているという実感だと、高橋さんは話します。

「『あのとき、あの試験を受けられなかったら』と、自分に置き換えて考えると、人それぞれ、人生が変わるような瞬間があると思うんです。今回のような対応が、誰かのこれからの生活や、人生の分岐点にいい影響を与えられたと思える。それは、自分の励みになっています」。

試験日を1日に集中させないという備え方

今回ご紹介した今夏の事例は、荒天で紙での試験が中止になったあと、「CBT」による振替受験と返金対応が行われたケースでした。一方で、「CBT」には、そもそも災害の影響を受けにくいという特徴もあります。

「CBT試験」は、決められた1日に全国の受験者を集めるのではなく、2週間から1カ月、あるいは通年といった一定の期間の中から、受験者が日時と会場を選ぶ方式です。ある地域で大雨や地震、交通障害が起きても、別の日・別の会場に変更できる余地が残ります。

実際、2026年の夏は大雨や地震が相次ぎましたが、CBTSが運営する300団体以上の「CBT試験」では、災害を理由とする中止は0件でした(2026年7月1日〜8月31日に受験期間が設定されていた試験。一斉開催・紙方式の試験を除く)。

「重要なのは、単に試験をデジタル化することではありません。『試験日を1日に集中させない』という設計そのものが、災害時に受験者の機会を守ることに繋がります。災害そのものを防ぐことはできませんが、別の日、別の会場で受験できる仕組みをあらかじめ持っておくことが、資格試験に励む人の支えになれると思っています」。


会場や主催者と連絡を取り合い、受験者へ次の機会を届ける。その先には、誰かの人生の分岐点がある——高橋さんの言葉には、日々の対応に込めた想いがにじんでいました。

資格を取ったら、こんな仕事をしたい。新しいことに挑戦したい。試験に向けて勉強する時間には、その先への期待も込められています。災害時には安全を優先しつつ、状況がととえば、また力を発揮できる。そんな備えを、「CBT」は静かに支えています。

株式会社CBTソリューションズ
「CBT試験」の配信を中心に、一貫した試験委託サービスを提供。全国に「CBT試験」の提携会場を持ち、「日商簿記検定」や「漢検」をはじめとするさまざまな資格・検定の運営を行う。学びのメディア『日本の資格・検定』の運営元。
https://cbt-s.com/

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