日本の資格・検定|学びのメディア

読みもの

「簿記は生きるために必要」。父の言葉が現実に。家族を支えた「簿記2級」の力

資格・検定のこと ☆Googleの優先ソースに追加>

「簿記は生きるために必要」。父の言葉が現実に。家族を支えた「簿記2級」の力

「簿記は、生きていくために必要な知識だよ」。

子どもの頃、父親からそう教えられたフリーランスの簿記講師の柴本 玲菜さん。しかし、その言葉が思いもよらない形で現実になるとは、当時は想像もしていませんでした。社会人になる直前、父親が倒れ、家計が一変。まだ学生の兄弟もいるなか、家族を支える必要に迫られます。

社会人経験はわずか1年。そんな柴本さんの人生を切り開いたのが、学生時代に夢中で学んだ簿記でした。現在は、自分を支えてくれた簿記を人に伝える立場となった柴本さんに、資格が人生の転機を支えた経験を伺いました。

お話を伺ったのは……

柴本 玲菜さん
フリーランス講師として、専門学校では簿記・財務分析などの会計分野、企業では経理・営業研修を担当。東京都立第一商業高校の簿記部で学び、簿記の楽しさに浸る。学習院大学卒業後は、化粧品メーカー、税理士法人での勤務を経て、2019年に独立。趣味は資格取得。日商簿記ネット試験を毎月受験するほどの簿記好き。
x:https://x.com/lumanabu


裕福だった実家が一変。社会人1年目で迫られた決断

「父は長年銀行員として勤め、海外赴任の際には家族で現地に暮らしたこともあります。父のおかげで海外生活という貴重な経験ができ、経済的にも不自由のない環境で育ててもらいました。ところが、私が社会人になる直前に父が倒れ、家計が一変したんです。当時、私は新卒として化粧品メーカーの営業職に就職することが決まっていました。まだ学生の兄弟もいる中で、自分が家計を支えられるのか、とても不安に思ったのを覚えています」(柴本さん。以下同)。

予定どおり化粧品メーカーに入社した柴本さん。しかし、新入社員の収入だけで家族を養い続けるのは難しく、約1年後、より収入を得られる仕事への転職を考え始めます。

「とはいえ、社会人経験はまだ浅く、仕事で身に付けた専門性もありません。そこで、自分には何ができるのか、分析して全部リストアップしてみたんです」。

自分にできることは何か。これまで何を学び、どんな経験を積んできたのか。1つずつ書き出していくなかで、思い当たったのが「簿記」でした。

「リストを見て、『そうだ、私、簿記ができるじゃん』って思い出したんです(笑)」。

柴本さんは商業高校の簿記部に所属し、大学でも財務分析に熱中していました。ただし、もともと会計の専門家を目指していたわけではありません。簿記は、将来の独立に役立つ知識であり、何より大好きな学問の1つだったのです。

仕事のためではなく、好きだから学び続けてきた。その積み重ねが、思いがけず自分の強みになっていた柴本さん。簿記の知識を活かし、さらには家族を養える収入を目指し、税理士法人への転職を考えるようになりました。

未経験から税理士法人へ。転職後の給与は倍以上に!

undefined

税理士法人での実務経験はゼロ。それでも、柴本さんには「日商簿記2級」の資格に加え、商業高校や大学で会計を学んだ経験がありました。面接では、それらを自分の強みとしてアピールし、見事、税理士法人への転職が決定し、その結果、転職後の給与は、なんと以前の倍以上に。

「家族を養えるようになりました。簿記に人生を助けられたんです」。

とはいえ、資格があればすぐに仕事ができるわけではありません。実務は一から覚える必要があり、苦労もあったそう。それでも、仕訳や決算書の仕組みを理解していたことで、学んだ知識と実際の仕事を結び付けながら、比較的スムーズに業務を覚えられたといいます。

「簿記は、学問と実務がはっきり結び付いている資格だと思います。試験問題と実際の仕事はまったく同じではありませんが、勉強した知識が仕事の土台になったことは確かです」。

「日商簿記2級」と、それまでに積み重ねてきた学び。それらが、未経験の世界に踏み出すための足がかりとなりました。

 

「簿記は生きるために必要」。父親の言葉が現実になった

そもそも、柴本さんが簿記に興味を持ったきっかけは、銀行員として働いていた父親の言葉でした。  

「小学生の頃、父から決算書のサンプルを見せてもらったことがありました。そのときによく言われていたのが、『簿記は、社会人として生きていくうえで必要な教養だよ』という言葉です」。

当時は、その言葉を深く意識していたわけではありません。けれど大人になり、簿記の知識を頼りに仕事を掴み、家族を支えることになったことで、その言葉はまったく違う重みを持つようになりました。

「父が伝えたかったのは、簿記は会社やお金の流れを理解するための基礎教養だ、ということだったと思います。けれど私の場合は、簿記を学んでいたことで仕事の選択肢が生まれ、実際に家族を支えることができた。文字どおり、“生きるために必要な知識”になったんです(笑)」。

父親から何気なく教わった簿記が、好きな学問になり、やがて自分と家族を支える力になる。柴本さんにとって簿記は、この経験を境に、単なる知識や資格以上の存在になっていきました。

 

自分を助けた簿記を、今度は誰かのために

undefined

税理士法人で実務経験を積んだ後、柴本さんは再び興味のあった化粧品業界で働き、その傍ら、副業として講師の仕事もスタート。継続して依頼が寄せられるようになったことをきっかけに、2019年、フリーランス講師として独立しました。

「簿記のおかげで家族を支えられた経験があるので、今度は私が簿記の楽しさや役立ち方を伝えたい。助けてもらった分を返しているような感覚があります」。

現在は専門学校で簿記や財務分析を教えるほか、企業で経理・営業研修を担当。学生時代に学んだ知識に加え、税理士法人や一般企業で培った実務経験も講義に活かしています。

教える立場になった今も、柴本さん自身が学ぶことをやめたわけではありません。今でも柴本さんは、今でも日商簿記の試験を毎月受験するほどの大の「簿記」好き。簿記に限らず、さまざまな資格を取得することも趣味なのだとか。だからこそ、「結局、どんな資格が役に立つのか」と聞かれる機会も多いそうです。多くの資格に挑んできた柴本さんにとって、「役に立つ資格」とは、どんな資格なのでしょうか。

「資格取得が趣味だというと、『キャリアアップや収入増につながる資格は?』と聞かれることがよくあります。でも、資格は、持っているだけで自然と役に立つものではないと思うんです。  

『この資格を取ったから、こんな知識があります』『こんなことができます』と、自分から仕事や強みに繋げていく。資格の価値は、取ったあとにどう使うかで変わるのではないでしょうか」。


学生時代に夢中で学んだ簿記を、家族を支える仕事につなげた柴本さん。今では、その経験を生かし、簿記の魅力を伝える側に立っています。

資格を取ったら、次はどう活かすか。これまで学んできたことを振り返ってみれば、自分でも気付かなかった「武器」が見つかるかもしれません。


【簿記オタク・柴本さんに聞く「簿記の本当の魅力」】
◆毎月簿記を受験するほどの簿記オタクが語る「簿記の魅力」
◆「簿記は生きるために必要」。父親の言葉が現実になった…今回はコチラ
◆簿記は経理以外の人にこそ役立つ
◆簿記を学ぶと、物事の見方が変わる

取材協力:CPAエクセレントパートナーズ株式会社

「人の可能性を広げ人生を豊かにする応援をする」をミッションに、会計ファイナンス人材の学習から就職、キャリア形成までを支援。

公認会計士資格スクール「CPA会計学院」、無料eラーニング「CPAラーニング」、求人サイト「CPAジョブズ」、転職エージェント「CPASSキャリア」、生涯支援プラットフォーム「CPASS」などを展開している。

文=SUGARBOY

関連タグ
#日商簿記検定


記事を保存するにはログインまたは会員登録が必要です

学びのヒントを、Google検索でも。
『日本の資格・検定』の記事を見つけやすく
☆Googleの優先ソースに追加>

新着記事一覧へ

人気記事ランキング

関連記事